『プレデター:バッドランド』公開
映画『プレデター:バッドランド』が2025年11月7日(金) より日米で同時公開を迎え、興行成績において「プレデター」史上最高のスタートを切っている。本作は、配信された前2作に続き監督を務めるダン・トラクテンバーグが手がけ、シリーズで初めてプレデターを主人公に据えている。
『プレデター:バッドランド』のもう一つの特徴は、「エイリアン」シリーズでお馴染みのウェイランド・ユタニ社のアンドロイドが登場する点だ。『プレデター2』(1990) でエイリアンのものと見られる頭蓋骨が登場し、外伝映画やコミックスやにおけるクロスオーバーはあったが、本作ではついに本格的に「プレデター」と「エイリアン」のユニバースが同じ世界の流れで描かれることになる。
となると、気になるのは『プレデター:バッドランド』の物語が時系列的にどこに位置するのかということだ。『プレデター:バッドランド』公開後、ダン・トラクテンバーグ監督がその疑問に回答している。以下の内容は本作のネタバレを含むのでご注意を。
以下の内容は、映画『プレデター:バッドランド』の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『プレデター:バッドランド』時系列は?
舞台はかなり未来?
映画『プレデター:バッドランド』では、ウェイランド・ユタニ社から派遣されたアンドロイドと、それを指揮するマザーが登場。マザーは「エイリアン」第1作目から登場しているAIで、かつて「MU/TH/UR6000」だったユニット名が今回は「MU/TH/UR062578」となっている。
また、ウェイランド・ユタニ社が捕獲の標的としてきたエイリアンは「XX121」という番号が振られていたが、今回の標的であるカリスクには「XX0552」が振られている。単純に考えて、「6000」から「062578」と、「121」から「0552」まで品番が進んだということは、『プレデター:バッドランド』の時系列は多くの作品よりもかなり未来に位置していると考えられる。
映画『エイリアン:ロムルス』(2024) では、『エイリアン』(1979) に登場したアンドロイドのアッシュと同型のルークが登場した。『プレデター:バッドランド』のアンドロイドがエル・ファニングが演じる新しいモデルになっていることからも、時代の違いは読み取れる。
監督が明かした答え
『プレデター:バッドランド』の時系列については様々な予測が可能だが、ダン・トラクテンバーグ監督は米Varietyでその回答を示している。
意図的に、「プレデター」と「エイリアン」の両方のシリーズにおける最も未来を舞台に設定しています。制作している当時、『エイリアン:ロムルス』がどうなっているのかもよく分かっていませんでしたし、『エイリアン:アース』についてはそもそも意識にあったかどうかも怪しいくらいです。
そういう状況だったので、とにかく誰の足も踏みたくなかったんです。自分たちの作品は独立したものにしたかったし、個人的にはこれまで「プレデター」で色々な時代を舞台にしてきたので、今度は未来を舞台にするということにワクワクしていました。『エイリアン4』よりも先の未来をね。
ダン・トラクテンバーグ監督は、『プレデター:バッドランド』がこれまでの「プレデター」と「エイリアン」のどの作品よりも未来を舞台にしていることを認めている。『エイリアン4』の舞台は日本の公式では2470年と表記されているが、矛盾があるように思われることと、小説版の内容から2381年が舞台という説も有力だ。
いずれにせよ『エイリアン4』は『エイリアン3』の200年後が舞台となり、『エイリアン4』の時点で、2122年を舞台にした『エイリアン』第1作目からは250年以上が経過している。映画「プレデター」シリーズで最も未来を描いたのは第4作目『ザ・プレデター』の2018年だったが、『プレデター:バッドランド』はその360年以上後の出来事ということになる。
「エイリアン」と「プレデター」の時系列
時系列に矛盾も?
『プレデター:バッドランド』は、同時進行だった「エイリアン」シリーズも含めて、混乱を来さないように最も遠い未来を舞台にしたということだが、それによって矛盾も生まれている。『エイリアン4』の時点で、ウェイランド・ユタニ社は数十年前に経営破綻したという設定になっているのだ。
『エイリアン4』でエイリアンの兵器化を企んでいるのは地球の政府(軍)であり、主人公のエレン・リプリーもクローンとして登場するのみだ。さらにアンドロイドによって作られたアンドロイド2世も登場するなど、「エイリアン」シリーズの要素は残しつつ、200年が経過して世界が大きく変化したことも示されている。
『プレデター:バッドランド』のウェイランド・ユタニ社は依然として資本力と野心を見せつけており、高い再生能力を持つカリスクを捕獲して人類の進化を促進するという新たな目的も持っている。数十年以上前に経営破綻したとは思えない姿だ。
ウェイランド・ユタニの変化の理由
一方、『エイリアン4』の完全版ではウェイランド・ユタニ社は世界最大のスーパーマーケットチェーンのウォルマートに買収されたということが明かされている。ウェイランド・ユタニはウォルマートの傘下となったが一部門として生き延び、その後再び独立したか、現在もウォルマートの傘下として活動しているという可能性が考えられる。
ちなみに『エイリアン4』では、地球は荒廃して多くの人が地球を去っていることが明かされている。そうした状況で小売大手のウォルマートの経営が厳しくなり、相変わらず宇宙を目指すウェイランド・ユタニが再興した可能性は十分にある。
また、『プレデター:バッドランド』におけるウェイランド・ユタニ社は、アンドロイドのみでチームを編成しているという点も特徴の一つだ。かつてはエイリアン確保のために人間を宇宙に送り込んでいたが、地球が人手不足になったのか、失敗が多過ぎたのか、アンドロイドの大量生産に成功したのか、獲物の確保のために人間を送り込むのを止めたようである。
『最凶頂上決戦』との関係
『プレデター:バッドランド』の時系列が明らかになったことで、「エイリアン」だけでなく「プレデター」シリーズのストーリーも少し見えてきた。ダン・トラクテンバーグ監督が手がけた『プレデター:最凶頂上決戦』(2025) では、プレデターが地球から各時代の強者を集めて冷凍睡眠させていることが明らかになった。
その中には、『プレデター2』(1990) の主人公マイク・ハリガンの姿もある。つまり、『最凶頂上決戦』の舞台は、『プレデター2』の舞台となった1997年以降であることが分かる。また、『最凶頂上決戦』の冒頭ではヤウージャの書の引用が表示されるのだが、『プレデター:バッドランド』では、『エイリアン4』より後の時代でもヤウージャ族は健在であることが示される。
プレデターたちがなぜ地球から各時代の強者を集めていたのかという謎は答えが示されていないが、プレデターがより強大な敵に挑むための軍を作っていた可能性もあり得る。一方でシリーズの最も未来を描く『プレデター:バッドランド』でもヤウージャは健在なので、『最凶頂上決戦』の後にプレデターの滅亡といった極端な事態がただちに起きるわけではないということは確かだ。
余談だが、2025年8月に配信されたドラマ『エイリアン :アース』は『エイリアン』の2年前、2120年を舞台にしている。一方で同作は2093年と2104年を舞台に人類とエイリアンの起源に迫った『プロメテウス』(2012)、『エイリアン:コヴェナント』(2017) の物語と繋がりを持たないということも明言されている。
コミックやゲームシリーズのストーリーも含め、何が正史かということが明確にされていない点が「エイリアン」と「プレデター」の面白いところでもある。様々な言い伝えを通して、未来の神話を観るような楽しみ方が合っているのだろう。
今回、『プレデター:バッドランド』の時系列は「最も未来」に設定されることになった。現在製作が進められている「エイリアン」の新作映画、そしてダン・トラクテンバーグ監督が意欲を見せる「プレデター」の続編ではどの時代を舞台に、どんなストーリーが展開されるのか、次の展開を楽しみに待とう。
映画『プレデター:バッドランド』は2025年11月7日(金) より全国公開。
第1作目『プレデター』から第4作目『ザ・プレデター』までを収録した『プレデター クアドリロジーBOX』は発売中。
第5作目『プレデター:ザ・プレイ』ブルーレイ+DVDセットは発売中。
プレデター同士の戦いを描くコミック『プレデター バッドブラッド』は2025年11月7日発売。
Source
Variety
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