2009年放送の「顔の道」
2009年の『ほんとにあった怖い話 10周年記念 京都パワースポットツアーSP』で放送された「顔の道」は、佐藤健が主演を務め、脚本を三宅隆太、監督を鶴田法男が担当した作品だ。2025年8月16日(土) 放送の『ほんとにあった怖い話 夏の特別編2025』では“最恐選挙”で「ぶっちぎり」の得票数を獲得してリマスター版の放送が決定している。
今回は、『ほん怖』の中でも特に人気作品として知られる「顔の道」について、ネタバレありで解説&考察していこう。以下の内容は「顔の道」の結末までのネタバレを含むため、必ず本編を視聴してから読んでいただきたい。
以下の内容は、ドラマ「顔の道」の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『ほん怖』「顔の道」ネタバレ解説
佐藤健20歳の主演作
『ほんとにあった怖い話』の「顔の道」では、主人公の翔太郎が恋人の夏海と共に釣りに出かけるがその帰り道で怪異と遭遇することになる。舞台は山梨県の某所で、翔太郎は電話ボックスの中に立つ白装束の女を目にするのだった。
主人公の翔太郎を演じた佐藤健は2009年当時、なんとまだ20歳。2007年に『仮面ライダー電王』でドラマ初主演で注目を集め、2008年にドラマ『ROOKIES』、『ブラッディ・マンデイ』に出演し、満を持しての『ほん怖』初登場だった。
佐藤健はこの翌年、『龍馬伝』の岡田以蔵役で大河初出演も果たす。ちなみに「顔の道」は『ほん怖』10周年の作品だったが、2019年には20周年のタイミングで「汲怨のまなざし」の主演を務めている。「顔の道」で彼女の夏海を演じた高橋真唯は現在、本名の岩井堂聖子の名義で活動している。
トラウマ級のあのシーン
翔太郎が白装束の女を見た直後、夏海は急激な眠気に襲われて眠ってしまう。携帯も圏外で繋がらず、翔太郎は導かれるようにして電話ボックスに入るが使えず。電話を借りようとボックスの中から見えた施設を訪ねるが、そこに現れたのは白装束で首のない巨大な女だった。
夏海も眠ったまま女の人が追ってくるとうなされるが、目を覚ました夏海はあっけらかんとして翔太郎の方が寝ぼけてたんじゃないかと言い返してくる。このシーンの緩急は唸るほど見事だ。首のない女の異様さから観ている方もハラハラしている時に、何をそんなに怖がっているのかと唐突に突き放され、おかしいのはこちらだったのかと納得しそうになる。
そうして私たちを油断させたところで、車の前に笑顔の女の頭が現れるのだ。ジャンプスケア(突然大きな音や恐怖映像を出すことで驚きと共に恐怖を与える手法)もジャンプスケア、「顔の道」のトラウマ級のワンシーンである。二人は一目散に逃げ帰るが、帰宅して車体を見ると、そこにはいくつもの黒い手形が付いていた。
『ほんとにあった怖い話』「顔の道」ネタバレ考察
あの霊は何だった?
『ほんとにあった怖い話』の「顔の道」は、短いながらも『ほん怖』の中でもトップクラスに印象に残る怖い作品だった。登場人物は二人と幽霊だけというシンプルな作品だが、あの霊は一体何者だったのだろうか。
「顔の道」の放送時、ドラマパートの後に下ヨシ子による解説がついており、翔太郎たちが怪異に遭遇した場所は「魔界」とされていた。屋敷周辺が魔界と化しており、他にも霊が集まってきているというのだ。
屋敷の中で現れた巨大な霊は大きなエネルギーを持っており、そのエネルギーの力で巨大な身体を持っていたのだという。下ヨシ子は、巨大な霊は生前、交通事故で結婚を控えていた婚約者を失い、それでウェディングドレスを着ているのではないかと語っている。
つまり、あの巨大な霊が着ていた白装束はウェディングドレスだったというのだ。この霊は婚約者を失い自ら命を絶ったと見られており、故にこの世に未練を持ったまま成仏できず、屋敷の周辺一帯が魔界となってしまっているのだという。
幽霊は何人いた?
気になるのは、「他にも霊が集まってきている」という話についてだ。翔太郎が遭遇したのはボスの幽霊だけだったのだろうか。「顔の道」で翔太郎が幽霊を見たのは計4回。電話ボックスの中の女、電話ボックスから見えた窓の影、屋敷の中の巨大な女、そして車の前に現れた顔だけの霊だ。
この内、巨大な霊には頭がなかったことから、顔だけの霊と巨大な霊は同一の霊だと考えることができる。おそらく、死ぬ際に頭が取れるような死に方をしたのだろう。また、電話ボックスの位置から窓の中に見えた影も、頭がないように見えたことと2階にいたことから、この後に頭のない状態で階段を降りてきた巨大な霊と同一の霊と考えてよいだろう。
だが、電話ボックスの中の女はサイズ的にも小さく、頭もあったため、別の幽霊と考えることもできる。あの幽霊は通過したものを足止めする役割を担っていたのかもしれない。
眠った夏海がうなされていた幽霊や、帰宅した後にたくさんついていた手形の主もまた、別の幽霊達だと考えられる。この幽霊達は夏海や翔太郎の目に見えるほどは強い力を持っていなかったのかもしれない。だが、車体に多くの手形がついていたことから、あの場所には目には見えなかったたくさんの霊がいたことが示されている。
その後はどうなった? 舞台は2007年?
「顔の道」は、登場人物が除霊を受けるわけでもなく、死亡したというオチでもなく、車体の手形を見つけたところで割とあっさり終わってしまう。主人公はその後どうなったのだろうか。
実は、その答えは冒頭で明らかになっている。ナレーションで翔太郎が「これは2年前、彼女とドライブしていた時に体験した出来事です」と語っていることから、2年が経過した後も翔太郎が無事に生きていることが示唆されているのである。分かるとちょっとホッとする演出だ。
ちなみに「顔の道」では、電話がキーアイテムとして用いられる。車が止まった場所が魔界となっているため携帯電話が繋がらなくなるからだ。放送された2009年の2年前、つまり2007年が舞台ということで、ギリギリ今よりも公衆電話が選択肢に入るか入らないかという時代でもある。
公衆電話が使えなかった翔太郎は屋敷に家電を借りに行くが、一般家庭であれば家に電話を置いていないご家庭も最近は増えている。社会は便利になったものの、当時は色々な連絡手段があったものだと妙な関心も生まれる。
若き日の佐藤健がホラーに挑んだ『ほんとにあった怖い話』の「顔の道」。皆さんは目を背けずに最後まで観ることができただろうか……。
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