『ジェン・ブイ』シーズン2第3話ネタバレ解説&考察 オデッサ計画の片鱗、ヒーローとしての道、背後にいるのは…? | VG+ (バゴプラ)

『ジェン・ブイ』シーズン2第3話ネタバレ解説&考察 オデッサ計画の片鱗、ヒーローとしての道、背後にいるのは…?

ドラマ『ジェン・ブイ』シーズン2第3話はどうなった?

『ザ・ボーイズ』(2019-) のスピンオフドラマ『ジェン・ブイ』より、シーズン2が2025年9月17日(水) よりプライムビデオで独占配信を開始した。スーパーパワーを持つ能力者たちの大学生活と背後に潜む陰謀を描く本作は、『ザ・ボーイズ』最終章となるシーズン5へ向けた作品としても注目を集めている。

今回は初回3話が一斉配信された『ジェン・ブイ』シーズン2より第3話についてネタバレありで解説し、考察していこう。以下の内容はネタバレを含むため、必ずAmazonプライムビデオで本編を視聴してから読んでいただきたい。また、本作は16歳以上を対象とした作品で、過激な暴力描写と性描写を含むためご注意を。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ジェン・ブイ』シーズン2第3話の内容に関するネタバレを含みます。

『ジェン・ブイ』シーズン2第3話ネタバレ解説

ポラリティとエマ

『ジェン・ブイ』シーズン2第3話「HはHumanのH」の監督を務めたのは、『ザ・ボーイズ』シーズン4でも第2話と第6話を手掛けたカレン・ガヴィオラ。脚本のキャメロン・スクワイアズは、MCUドラマ『ワンダヴィジョン』(2021) でも『アガサ・オール・アロング』(2024) でも脚本を手掛けている。

『ジェン・ブイ』シーズン2第3話は、前話で登場したカフェテリアの店員の姿から幕をあける。抗不安薬を飲み、「人間」の札をつけて職場へ向かう店員。セキュリティーからセクハラを受けても抵抗することができず、何者かによって貼られる「RESIST」のフライヤーによって客からもハラスメントを受けている。前話からの繰り返しになるが、現実における外国人労働者の環境を反映しているような演出だ。

一方、前回自分がオデッサだと告げられたマリーは、次の行動についてミーティングを行なっている。この時点でチームのメンバーはマリー、ジョーダン、エマ、そしてポラリティで、会議の場所はポラリティの家となっている。悪くないチームだ。

エマが見つけたオデッサ計画の資料は出生記録ばかりだったが、マリー以外の記録は全て原因不明の死亡になっていたという。スターライトことアニーがマリーにオデッサ計画を調べさせたら、その正体はマリーだった、という展開にジョーダンは疑問を持っており、『ジェン・ブイ』シーズン2ではアニーの行動の真意もミステリー要素の一つになるようだ。

会議の後にはポラリティがエマの特性について話を聞いている。エマは、前回は緊急対応で吐いて小さくなったが、普段は自己嫌悪で縮むと、その能力について説明している。厳しく育てた息子を失ったポラリティと、ステージママに厳しく育てられたエマは、互いの存在を通して“やり直す”ことができるのだろうか。

マリーは、資料の写真に写っていたパムおばさん(血縁関係はなく母の友人)を訪ねることに。ジョーダンとマリーは、いわゆる「選ばれし者」的な展開に、ハリー・ポッターや「マトリックス」のネオ、「ロード・オブ・ザ・リング/指輪物語」のフロドの名前を挙げている。フロドだけFワードがつけられて「ピッタリだね」と言われているのは、「ロード・オブ・ザ・リング」のドラマ版が『ジェン・ブイ』と同じAmazonプライムビデオで独占配信されているからだろうか。

ケイトとサムの苦難

ゴドルキン大学には入院していたケイトが帰還。しかし、人の心の声を聞く力があるケイトが「何も聞こえない」と言っている。能力が使えないのだ。この場面で職員のステイシーは、ヴォートがビヨンセのと同じノルウェー人の髪のウィッグを用意したと言っている。ビヨンセがウィッグを愛用していることはよく知られているが、2022年にはビヨンセが14万5,000ドルを支払ってオーガニック食を徹底させたノルウェー人姉妹からウィッグ用の髪を調達したという噂が流れたことを踏まえたネタだ。

マリーが訓練を受ける強化セミナーでは、サイファーが能力者を「1,000万人に一人」と話している。現在の世界人口は約81億人いるので、単純計算で「ザ・ボーイズ」フランチャイズには約810人の能力者がいることになる。

サイファーは今のマリーは『17歳のカルテ』(1999) のアンジェリーナ・ジョリーだから『ソルト』になれと告げる。アンジェリーナ・ジョリーは『17歳のカルテ』でアカデミー助演女優賞を受賞した。『ソルト』(2010) は主演作だが、後でジョーダンが「平凡なスパイだ」と指摘している通り、チョイスとしては微妙である。

サイファーはマリーに期待をかけており、ケイトはそれを恨めしい表情で見ている。サイファーとマリーの関係はポラリティとエマの関係と対になっていくのだろうか。サイファーもポラリティも、他の学生が立ち去る中でマリーとエマを引き留めているが、サイファーはマリーに戦いについて教え、ポラリティはエマの体調を気にかけている。

サムは前回エマから言われた言葉、つまりケイトはサムを洗脳していて、サムも自分の行いの報いを受けると言われたことに囚われており、ついにシーズン1で苛まれていたパペットの幻影を見る。ケイトの力で抑えられていた症状が再発したのである。

ジャスティンとも別れることになり、サムはますます孤立していく。サンドウィッチのパペットが「以前、泣き叫ぶ女性を男から引き離したな」と言うのは、『ザ・ボーイズ』シーズン4最終話のラストでサムがフレンチーからキミコを引き離したことを指している。

パペットが「ヴォートやホームランダーの言いなり」と言ってくるのは、サムにその自覚があるからだろう。ちなみに「最悪のサマーインターンシップ」とも言われていることから、『ザ・ボーイズ』シーズン4のサムとケイトは夏休み限定のインターンシップとしてセブンを手伝っていたものと考えられる。インターンシップが終わり、秋学期が始まって二人はキャンパスに帰ってきたのだ。ちなみにアメリカの大学は秋が年度始まりなので、サム達はシーズン2から2年生(ソフォモア)になったことが分かる。

アンドレとルーク

マリーはジョーダンとの行為が初めてだったと告白するが、一方でジョーダンは「愛してる」と言われたくなかったということにこだわっている。改めて若人らしくぶつかる二人だったが、ここでジョーダンがランキング1位になったことを知る。シーズン1ではあんなにこだわっていたランキングだが、今では正直邪魔な要素でしかない。翻って、そこに登場人物達の成長が感じられる。

ケイトはジョーダンら3人が自分を重症に追いやったことをホームランダーに伝えるようサイファーに求めるが、サイファーはケイトが事故の衝撃で能力を失ったことを指摘。能力者で亡くなってしまえばケイトの地位が危うくなると指摘する。「能力を失えば君に価値はない」——衝撃的な言葉だが、それがホームランダーのアメリカの理論だ。

ランキング1位になったジョーダンには車をはじめとした様々な賞品が贈られる。ステイシーからは「トランスジェンダーとして」と言われるが、ジョーダンは「バイジェンダーだ」と反論。トランスジェンダーは生まれた時に割り当てられた性と自身の認識が異なる人のことで、バイジェンダーは二つのジェンダーを自認する人のことだ。広告塔として祭り上げられるジョーダンだが、ステイシーは「エルマイラに帰りたい?」を武器にジョーダンに言うことを聞かせるのだった。

エマはケイトに腕を掴まれたことでケイトが能力を失っていることに気づく。一方、コーヒーショップの店員が貼り続けられるフライヤーのせいで客から脅されるが、辞めれば仕事がないと問題を抱えていることを知る。自分も楽な状況ではないのに、エマは困っている人に手を差し伸べる。

フライヤーを貼っているスピードスターを追う場面では、エマは男子ロッカーで裸体の男性たちと遭遇。前回はエマが巨大化して裸になったが、続く第3話で男性の裸を出してバランスを取ってくるあたりが「ザ・ボーイズ」フランチャイズらしい。

ケイトは、学生たちに流行的に取り上げられていたビーニー(ニット帽)を取ると、側頭部には大きな傷ができていた。左手はシーズン1でマリーに吹き飛ばされて義手で、能力も失った。そんな中でもサムが能力で記憶を消して欲しいと頼ってくる。ケイトはヴィランだったシーズン1から一転し、かなり苦しい状況に置かれている。

一方のサムも精神安定剤だったケイトの能力が失われて暴走。それを止めたのはジョーダンだった。ジョーダンはアンドレが死んだ喪失感に苛まれていたが、サムもまた死んだ兄ルークへの想いを持ったまま生きていた。

ジョーダンが「ルークは間違っていた」と語るのは、ルークはサムを助けようとしてブリンク教授を殺し、自殺してしまったからだ。アンドレもまた自分が死ぬと分かっていて能力を使うという自殺行為に及んでおり、ジョーダンは二人の姿を重ね合わせていたのではないだろうか。

マリーと両親の真実

マリーはパムおばさんと再会。パムはオデッサ計画については知らなかったが、パムとモロー夫妻の写真は不妊治療の診療所で撮影されたことを明かす。ヴォートが費用を負担し、ゴドルキン大学による不妊治療を受けた結果マリーが生まれたのだという。しかも生まれてくるマリーを取り上げたのはサイファーで、「ゴールド先生」と呼ばれていた。

「ゼロ」という意味を持つ「サイファー」は明らかにコードネームだが、ゴールドが本名なのだろうか。いずれにせよサイファーはマリーを生まれた時から知っているということである。

エマはスターライトの象徴である星マークの黄色い塗料が指についた人物を発見。その人物は、尻尾を持つハーパーだった。実はハーパーの能力はカメレオンで、触れた相手の能力を1分だけコピーできるという。スピードスターの能力を持つ人物に触れてビラ貼りを繰り返していたのだろう。ちなみにハーパーを捕まえたエマは「正義は忘れない」と、前話で登場したリメンバラーの決め台詞を引用している。

マリーは、両親はお金のためにコンパウンドVを打ったと思っていたが、実際には子どもが欲しくてゴドルキン大学の実験を受けたのだと知る。それでも、妹のアナベスが最近までパムと暮らしていたこと、マリーに会いたがっていないということが分かると、自分に選択肢はなく、決めたのは親だと怒りを見せるのだった。

そもそも「子どもが欲しい」という願い自体が親のエゴではある。だから親には子を養う義務があるのだが、マリーは治療の“副作用”で残された親族からも忌み嫌われてしまった。両親は悪人ではなかったが、故に責めきれない、マリーにとっては辛い状況となっている。

エマの新しい道

サムとジョーダンが見ているのはヴォート・バーガーのCM。赤と黄色を基調にしたロゴマークは、アメリカの人気ハンバーガーチェーンのIn-N-Out Burgerのものにそっくりだ。配信の子ども番組なのに企業CMが入っているのは、配信なのにCMが入るようになったプライムビデオへの風刺だろうか。

サムは、亡き兄のルークと5分でも話せるならなんでもすると話す。ジョーダンは、アンドレと会えたらゲームをして好きだ(I love you)と言うと。前話までは喪失が分断を生んでいたが、『ジェン・ブイ』シーズン2第3話ではそれぞれの喪失を通して残された者同士が繋がっている。

同時にサムは母が自分を怖がっていることも吐露。親族から怖がられているという点ではサムにはマリーと共通する要素がある。サムとマリーが能力をコントロールできる状態で組めれば最強だが、果たして……。

エマはスターライターの活動をしていたハーパーの仲間のアリーを紹介される。二人はホームランダーの像にスプレーで「ファシスト」と書き、駐車場でフライヤーを貼ると言うが、エマは「もっと出来る」と、本格的な活動を始めるよう説得する。

ここでエマは「私たちはヒーローじゃない」と言う二人に「彼が信じてくれたからヒーローになれた」と話すが、実際には『ジェン・ブイ』シーズン1の最終回ではサムはエマに「君はヒーローじゃない」と言っている。だが、シーズン2ではエマはポラリティと手を組み、他の学生に「ヒーローになれる」と勇気を与えている。サムと離れ、エマは明確に新しい道を進もうとしているのだ。

ラストの意味は?

『ジェン・ブイ』シーズン2第3話のラストシーンは、トーマス・ゴドルキン・デーのワンシーン。流れている音楽はチャペル・ローンの「Super Graphic Ultra Modern Girl」(2023)。タイトルの通り現代の自立した女性を表現する内容で、「欲しいものは分かってる」「私に必要なのは私みたいな女の子」と歌われている。

サイファーのスピーチでは、ゴドルキン大学は60周年とされている。シーズン2第1話の冒頭シーンは1967年が舞台だったが、仮に『ジェン・ブイ』シーズン2の舞台が2027年であれば、あの冒頭シーンはゴドルキン大学が誕生した年だったということになる。もし劇中の舞台が現実と同じ2025年であれば、あの冒頭シーンの時点ではゴドルキン大学はすでに存在していたことになる。

マリーはジョーダンを見つけると「愛してる」と伝える。サムと一緒にルークとアンドレについて語り合った影響だろう。アンドレは死んでしまい、もう「I love you」と伝えることができない。生きているうちに、伝えられるうちに想いを伝えなければならないと、後悔しないためにジョーダンはマリーに愛を伝えたのだった。

そして、ランキング1位の学生として壇上に呼ばれたジョーダンは、「トランタスティック」という用意された広報上の文言を使いながらも踏みとどまると、二つの真実を明かす。アンドレは仲間を助けようとしてヒーローとして死んだが、ヴォートはその死を隠蔽しようとしていること、そして、ケイトを襲ったのは自分でヴォートがスターライターに濡れ衣を被せたということ。ジョーダンが自分を犠牲にしてでも真実を世間に伝え、『ジェン・ブイ』シーズン2第3話は幕を閉じる。

エンディングで流れる曲はセイント・ヴィンセント「Big Time Nothing」(2024)。サビでは「私は中身を見る」と繰り返し歌われている。

『ジェン・ブイ』シーズン2第3話ネタバレ考察&感想

背後にいる人物は…?

『ジェン・ブイ』シーズン2初週に配信された3話では、マリーたちをキャンパスに戻して舞台を整えつつ、なぜ戻されたのかということも含めてミステリー要素を提示する展開が用意されていた。一方で第3話のラストでは、ジョーダンがキャンパスで手に入れた地位を手放してでも正義を追求する姿を見せた。

エマもまた、シーズン2からはポラリティやハーパーたちを勇気づけ、ヒーローとしての道を歩もうとしている。その姿は、サムが言った「君はヒーローじゃない」という言葉を反証しようとしているようでもある。

そのエマが勇気づけたハーパーとアリーの反体制活動は、けれどカフェテリアで働く人間の店員を脅威に晒すきっかけになっていた。もちろん社会活動に取り組むことは良いことだが、当事者にどのような影響を及ぼすかということを考えない活動はただの自己満になってしまう。

マジョリティが取り組むべきは自己満の活動ではなく、当事者の意見も聞きながら連帯していく活動だ。そのあたりの塩梅が分かっていない白人学生による軟弱な学生運動の描写も現実を反映していて妙にリアルだ。

気になるのは、マリーが両親の不妊治療に伴うオデッサ計画で生まれた一方で、妹のアナベスは自然に生まれたという点。もしかするとアナベスにも能力があり、それが悟られないように身を隠しているのかもしれない。

そしてオデッサ計画の片鱗は徐々に見えてきつつある。ヴォートがオデッサ計画を再開させたのは、マリーと同じ能力を持つニューマンがブッチャーに殺されるというイレギュラーが発生したからだろうか。

しかし、自分の理想の状況を実現させたホームランダーが、自分の脅威にもなり得る能力者を生かしておくだろうか。スターライトでもなく、ホームランダーでもなく、外部からヴォートを操ってマリーを手に入れようとする人物がいるとすれば、ニューマンの養父でヴォートの元CEOスタン・エドガーか……。

シーズン1に続いてミステリー展開が面白い『ジェン・ブイ』のシーズン2。全8話で構成されるシーズン2は、翌週配信の第4話で早くも折り返しを迎える。少し大人になったマリーたちは、シーズン2でどんな結末を迎えるのか、そして『ザ・ボーイズ』のフィナーレに向けてどんな展開がを待っているのか、引き続き注視していこう。

ドラマ『ジェン・ブイ』シーズン2はAmazonプライムビデオで独占配信中。

『ザ・ボーイズ』原作コミックの日本語版は、G-NOVELSから発売中。

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『ジェン・ブイ』のベースになったチャプター〈We Gotta Go Now〉(23話〜30話)は日本語版の第2巻に収録されている。

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『ジェン・ブイ』シーズン2第4話のネタバレ解説&考察はこちらから。

シーズン2第2話のネタバレ解説&考察はこちらから。

シーズン2第1話のネタバレ解説&考察はこちらの記事で。

『ジェン・ブイ』シーズン1最終回のネタバレ解説&考察はこちらから。

キャストが登壇した2025年のサンディエゴ・コミコンの『ジェン・ブイ』パネルの模様はこちらから。

『ザ・ボーイズ』シーズン4最終回のネタバレ解説&考察はこちらから。

『ザ・ボーイズ』シーズン4最終回で残された11の謎についてはこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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