『ズートピア2』公開
ディズニー映画『ズートピア2』が2025年12月5日(金) より日本公開を迎えた。2016年に公開された前作『ズートピア』から約9年ぶりの続編となる本作だが、すでに世界的なヒットを記録している。
「ズートピア」シリーズの人気の理由は、緻密に設計された世界設定、作中の膨大なオマージュ、硬派で社会的なメッセージと枚挙にいとまがない。だが、その魅力を強いて一つに絞るとならば、ウサギのジュディとキツネのニックのコンビにあると言っていいだろう。
そして、ジュディとニックをめぐって度々話題になるのが、「ふたりの関係」だ。『ズートピア2』公開に際しても、ふたりの関係に恋愛要素が持ち込まれるのか、それともバディとしての関係が続いていくのか、気が気でなかったファンも多かったはず。
今回は、『ズートピア2』の内容と、製作陣&キャストのコメントを踏まえて、ネタバレありでジュディとニックの関係について考察していこう。以下の内容は『ズートピア2』の結末に関するネタバレを含むので、必ず本編を元気場で鑑賞してから読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『ズートピア2』の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『ズートピア2』ジュディとニックはどうなった?
ふたりに入った亀裂
『ズートピア2』では、前作で誕生したズートピア警察初のウサギとキツネのバディのその後の姿が描かれた。ふたりは共にまだ新米で、冒頭では組んでまだ1週間で、ボゴ署長からパートナーセラピー行きを命じられている。
正義感の強いジュディは組織内で認められたいという思いはあれど、純粋に市民のためにと突っ走り続けている。一方のニックは、孤独に生きてきた一生の中で初めて出会えた大切な存在の勇み足に付き合い続けているように見える。
『ズートピア2』の中盤では、そのふたりの関係にヒビが入る。ジュディがズートピアの隠された秘密を暴こうとするヘビのゲイリーのために命知らずな行動に出る一方、ニックはあまり乗り気ではない。
ジュディはまともに会話をしてくれないニックに苛立ちを見せるが、それでもニックは本音でジュディと向き合おうしない。さらに、ふたりが小競り合いになった際に、ふたりがバディになった記念にジュディがニックにあげたペンが壊れてしまう。
そして、ヘビたちの歴史とリンクスリー家の陰謀に迫る中、ニックはそこに命を賭ける価値などないとまで言ってしまう。「変えられないこともある」と言うニックに、ジュディは「やっぱり私たちは違うのかも」と告げると、ニックは駆けつけたズートピア警察によって逮捕。『ズートピア2』ではふたりが決裂し、離れ離れになる辛い展開が待っていた。
深まった絆
それでも『ズートピア2』の終盤では、ニックはジュディを誰よりも大切に想っていると吐露する。ニックにとって、生きてきた中でジュディと出会えたことがいちばんの幸せだったと。だからジュディを失いたくなくて、無茶をするジュディに今回の件で「命を賭ける価値なんてない」と言い放ってしまったのだ。
一方のジュディも、ニックだけが自分を信じてくれていたからこそ、ニックの言葉にイラついてしまったが、本当はジュディにとってもニックがいちばん大切な存在だと伝える。ジュディが自分で自分を信じられなかった時も、ニックはジュディのことを信じてくれた。ふたりは違う考えを持っているからこそ、最高のバディになれるのだ。
『ズートピア2』のラストでは、ニックは壊れた録音機能付きのニンジン型ペンを修復し、ジュディに逆プレゼント。そして、ニックはジュディに「好きだぜ、相棒 (Love you, partner.)」と伝える。第一作目のラストでニックがジュディに言った「俺を好きだろ? (You know you love me.)」の応用で、今度はニックがジュディに委ねるのではなく、きちんと自分の本音を伝える形になっている。
この言葉を録音していたジュディは、部屋でも繰り返しニックの「好きだぜ、相棒 (Love you, partner.)」の声を聞き返している。ニックとジュディは恋愛関係にはならず、けれどこれまで以上に絆を深めている。では、「ズートピア」のキャストはふたりの関係についてどのように考えているのだろうか。
『ズートピア2』ジュディとニックの関係は?
声優が語るジュディとニックの関係
日本語版でニックの吹き替え声優を務める森川智之は、ニックとジュディの関係についてかねてから「友達以上恋人未満」と表現してきた。一方、ジュディ・ホップスの英語版声優を務めるジニファー・グッドウィンは、米Varietyのインタビューで「ふたりの関係についてどう考えているか」と、「『ズートピア2』はラブストーリーなのかどうか」について聞かれ、こう答えている。
その話(ファンの間でのふたりの関係を巡る話題)は耳にしています。私自身はその深みにハマったことはありませんが、私がディズニーでいちばん好きな点は、あらゆる愛の形が祝福されるということです。『アナと雪の女王』が姉妹愛を祝福する作品であるように、皆さんが『ズートピア』から何を読み取るかは自由です。
私たちはこの映画を観客の皆さんのために作ったのですから、どう受け取っていただいてもいいんです。観客として映画を観るとき、私たちは登場人物の精神状態に自分を重ね合わせますよね。私はそのすべてを受け入れます。
一つだけ言うなら、(ニック役の)ジェイソン・ベイトマンと私は、もしジュディとニックに子どもができたらどんな生き物になるかと冗談を言い合ったことがあって、彼はキツネとウサギの子は「ファニー(Funny = Fox + Bunny)」になると言っていました。
冗談はさておき、ジニファー・グッドウィンはニックとジュディの関係について、見方は観客の自由だとしている。ロマンスとして見る人、決してロマンスにはならない絆として見る人、それぞれに開かれているということのようだ。
ふたりは「ソウルメイト」
さらに、演じるにあたって、「熟年カップル」のように演じるよう指示があったのかという質問にはこう答えている。
ジュディとニックはいま、ちょうど“同棲を始めたばかり”の段階にいる、という話はしたことががあります。関係はまだ新しいのに、突然同じ家に住むことになって、どうすればいいか探っているような時期です。私が感じているのは、このふたりは間違いなくソウルメイトであるということです。それはわざわざ話し合うまでもないことでした。
確かに『ズートピア2』におけるジュディとニックは、前作のラストから1週間しか経過していない状況で、けれどかつてなく近い距離で行動を共にしている。本当はまだ互いにどう振る舞うべきかが分かっていない状態であり、そう考えるとボゴ署長がふたりにパートナーセラピーを受けさせた采配は正しかったのだろう。
そして重要なことに、ジニファー・グッドウィン個人としてはふたりを「ソウルメイト」と定義づけている。ソウルメイトとは、魂で繋がっているような運命的なふたりのことで、それは家族だったり、恋人だったり、友人でもあったりするが、いずれにせよお互いの人生において大事な相手だということだ。ジュディとニックが出会えた奇跡は、お互いの一生をこれまでになく豊かにすることになったのだ。
監督が参考にした意見は…
監督を務めたジャレド・ブッシュとバイロン・ハワードは、『ズートピア2』でジュディとニックの関係を描くにあたって、どれほど観客からの声を意識したかと米Colliderで聞かれ、こう答えている。
ハワード:第1作目から二人の関係について話題が絶えていないというのは気に入っている点の一つです。
ブッシュ:同意します。私はたまたま、このキャラクターたちについて最も意見が多いコミュニティーに足を踏み入れてしまいました——私の3人の子ども達です。この映画で何が起こるべきか、たくさんの考えを持っていて、何が良くて、何が良くないか、何がこの映画を永遠に台無しにしてしまうか。それが、ここ数年間、私が受け続けてきた絶え間ないフィードバックの源泉でした。
ジャレド・ブッシュは、自身の子ども達から、「何がこの映画を永遠に台無しにしてしまうか」も含めてフィードバックを受けてきたという。それを経て『ズートピア2』で明確なロマンスが描かれなかったのは、それにより「ズートピア」シリーズを台無しにしてしまう恐れがあると判断したと捉えることもできる。
ちなみに近年のディズニーのアニメ作品は、『ラーヤと龍の王国』(2021) や『ミラベルと魔法だらけの家』(2022)、『ウィッシュ』(2024)、2016年と2024年公開の「モアナ」二作と、異性愛を描く作品はほとんどなく、減少傾向にある。
姉妹愛を描きつつ、ロマンスも同時に描いた2013年と2019年公開の「アナと雪の女王」二作は、ディズニーアニメにおける興行収入ランキングのツートップに位置しているが、破竹の勢いを見せる『ズートピア2』が両作を上回る興行成績を残す可能性は十分にある。ニックは「好き=Love」という言葉を使ったが、多様な「Love」の形が受け入れられる時代は、確かに来ている。
映画『ズートピア2』は12月5日(金)より公開中。
コンセプトアートやイラスト、豊富なインタビューと共にズートピア誕生の裏側を紹介する『ジ・アート・オブ ズートピア』はKADOKAWAより発売中。
また、バゴプラでは2025年に公開された映画とドラマを振り返る「バゴプラ 2025年 お疲れ様会」を配信で開催することが決定! 2025年の良作・名作を一緒に振り返りませんか? 詳細はこちらから。
『ズートピア2』オリジナル・サウンドトラックは発売中。
『ズートピア2』2026年卓上カレンダーは発売中。
『ズートピア』MovieNEXは発売中。
『ズートピア2』ラストの解説&感想はこちらから。
『ズートピア3』についての情報と考察はこちらの記事で。
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