第57回ネビュラ賞 最終候補作が発表! 小説部門とゲーム部門の注目ポイントは? (作品リスト掲載) | VG+ (バゴプラ)

第57回ネビュラ賞 最終候補作が発表! 小説部門とゲーム部門の注目ポイントは? (作品リスト掲載)

SFWA

第57回ネビュラ賞のノミネート作品発表

米時間の2022年3月8日(水)、SFWA (アメリカSFファンタジー作家協会) が主催するネビュラ賞の第57回最終候補作品が発表された。ネビュラ賞は1966年に設立されたSFファンタジーの最高賞の一つで、作家や編集者などのSFファンタジー関係者で構成されるSFWAの会員が受賞作を決定する。SFファンの投票によって受賞作が決まるヒューゴー賞と対をなす存在であり、その結果にはヒューゴー賞に先駆けて発表されるノミネート作と受賞作には毎年注目が集まる。

小説部門の注目ポイントは?

長編小説部門では、P・ジェリ・クラーク『A Master of Djinn』がノミネート。P・ジェリ・クラークは、第54回ネビュラ賞では「The Secret Lives of the Nine Negro Teeth of George Washington」で短編小説部門、第56回ネビュラ賞では「Ring Shout」で中長編部門を受賞しており、3カテゴリー目のネビュラ賞受賞となるか注目が集まる。

ヒュゴー賞にもノミネートされたポッドキャストのPodCastleで共同編集者を務めていたC・L・クラークは、いくつものウェブ媒体での作品発表を経て、長編『The Unbroken』がノミネートされた。2020年のヒューゴー賞でEscape Podのメンバーの一人としてセミプロジン部門に、2021年の同賞でムア・ラファティと共に短編編集者部門にノミネートされたS・B・ディブヤが『Machinehood』で長編小説部門にノミネートされている。

また、アーカディ・マーティーンの新作『A Desolation Called Peace』も長編部門にノミネート。前作は2020年のヒューゴー賞長編部門を受賞し、日本では2021年8月にハヤカワ文庫SFより『帝国という名の記憶』(内田昌之 訳) が刊行されている。

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中長編部門では、ベッキー・チェンバーズの新シリーズ「Monk & Robot」の第一章となる『A Psalm for the Wild-Built』がノミネート。ベッキー・チェンバーズはクラウドファンディングで実現した個人出版からスタートした〈ウェイフェアラー〉シリーズが、2019年のヒューゴー賞でシリーズ部門を受賞した。 同シリーズは、日本でも2019年に創元SF文庫から『銀河核へ』(細美遥子 訳) が刊行されている。

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中編部門では、毎月1日に小説を配信するウェブジンのGigaNotoSaurus(ギガノトサウルス)からPH Leeの「Just Enough Rain」がノミネートされている。第56回ネビュラ賞で「Open House on Haunted Hill」が短編小説部門を受賞したジョン・ウィズウェルは、今年は「That Story Isn’t the Story」が中編部門にノミネートされている。

短編部門では、2019年に「A Witch’s Guide to Escape: A Practical Compendium of Portal Fantasies」で女性作家としては史上最年少でヒューゴー賞短編小説部門を受賞したアリックス・E・ハロウが「Mr. Death」でノミネート。第55回ネビュラ賞長編部門を受賞し、2021年に竹書房より『新しい時代への歌』(村山美雪 訳) が日本で刊行されたサラ・ピンスカーは、「Where Oaken Hearts Do Gather」で短編部門にノミネートされている。

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ゲーム部門はTRG中心に

第55回は『アウター・ワールド』が、第56回は『Hades』が受賞したネビュラ賞のゲームライティング部門では、『Coyote & Crow』『Thirsty Sword Lesbians』『Wanderhome』といったクラウドファンディングでの支援によって製作されたTRPG(テーブルトップRPG)中心のノミネートに。

1930年代から1950年代を舞台に、黒人居住区を脅かす警察や、偏見に満ちた描写で黒人を描くメディアと戦うゲームブック『Granma’s Hand: Superhero RPG』、Steamで発売されているシミュレーションRPG『Wildermyth』もゲームライティング部門にノミネートされている。

また、ネビュラ賞と同時に発表されるレイ・ブラッドベリ賞アンドレ・ノートン賞の候補も発表されている。映像作品等を対象にしたレイ・ブラッドベリ賞では、映画『ミラベルと魔法だらけの家』『ザ・グリーンナイト(原題)』等がノミネート。ドラマ『ロキ』『ワンダヴィジョン』、映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』もノミネートされ、7作中3作がマーベル作品となった。韓国のSF映画でNetflixで配信された『スペース・スウィーパーズ』もノミネートされている。

ヤングアダルト作品を対象にしたアンドレ・ノートン賞には、『空のあらゆる鳥を』が第52回ネビュラ賞が長編小説部門を受賞し、2022年3月10日に創元海外SF叢書から『永遠の真夜中の都市』(市田泉 訳) が刊行されるチャーリー・ジェーン・アンダーズの『Victories Greater Than Death』などがノミネートされている。

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登録者41.8万人(2022年3月9日時点)のYouTuberとしても活躍する中国生まれの作家 Xiran Jay Zhaoのデビュー作で、ニューヨーク・タイムズのベストセラーNo.1に輝いた『Iron Widow』もノミネートされた。

第57回ネビュラ賞の全ノミネート作品は以下の通り。

第57回ネビュラ賞最終候補

※括弧内は出版社または掲載媒体。

長編小説部門

『The Unbroken』by C.L. Clark (Orbit US; Orbit UK)
『A Master of Djinn』by P. Djèlí Clark (Tordotcom; Orbit UK)
『Machinehood』by S.B. Divya (Saga)
『A Desolation Called Peace』by Arkady Martine (Tor; Tor UK)
『Plague Birds』by Jason Sanford (Apex)

中長編小説部門

「A Psalm for the Wild-Built」by Becky Chambers (Tordotcom)
「Fireheart Tiger」by Aliette de Bodard (Tordotcom)
「And What Can We Offer You Tonight」by Premee Mohamed (Neon Hemlock)
「Sun-Daughters, Sea-Daughters」by Aimee Ogden (Tordotcom)
「Flowers for the Sea」by Zin E. Rocklyn (Tordotcom)
「The Necessity of Stars」by E. Catherine Tobler (Neon Hemlock)
「The Giants of the Violet Sea」by Eugenia Triantafyllou (Uncanny)

中編小説部門

「O2 Arena」by Oghenechovwe Donald Ekpeki (Galaxy’s Edge)
「Just Enough Rain」by PH Lee (Giganotosaurus)
「(emet)」by Lauren Ring (F&SF )
「That Story Isn’t the Story」by John Wiswell (Uncanny)
「Colors of the Immortal Palette」by Caroline M. Yoachim (Uncanny)

短編小説部門

「Mr. Death」by Alix E. Harrow (Apex)
「Proof by Induction」by José Pablo Iriarte (Uncanny)
「Let All the Children Boogie」by Sam J. Miller (Tor.com)
「Laughter Among the Trees」by Suzan Palumbo (The Dark)
「Where Oaken Hearts Do Gather」by Sarah Pinsker (Uncanny)
「For Lack of a Bed」by John Wiswell (Diabolical Plots)

ゲームライティング部門

『Coyote & Crow』by Connor Alexander, William McKay, Weyodi Oldbear, Derek Pounds, Nico Albert, Riana Elliott, Diogo Nogueira, William Thompson (Coyote & Crow, LLC.)
『Granma’s Hand』by Balogun Ojetade (Balogun Ojetade, Roaring Lion Productions)
『Thirsty Sword Lesbians』by April Kit Walsh, Whitney Delagio, Dominique Dickey, Jonaya Kemper, Alexis Sara, Rae Nedjadi (Evil Hat Games)
『Wanderhome』by Jay Dragon (Possum Creek Games)
『Wildermyth』by Nate Austin, Anne Austin, Douglas Austin (Worldwalker Games, LLC)

レイ・ブラッドベリ賞 (映像作品をはじめとするプレゼンテーション)

『Encanto』by Charise Castro Smith, Jared Bush, Byron Howard, Jason Hand, Nancy Kruse, Lin-Manuel Miranda (Walt Disney Animation Studios, Walt Disney Pictures)
『The Green Knight』by David Lowery (Sailor Bear, BRON Studios, A24)
『Loki』Season 1 by Bisha K. Ali, Elissa Karasik, Eric Martin, Michael Waldron, Tom Kauffman, Jess Dweck (Marvel Studios)
『Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings』by Dave Callaham, Destin Daniel Cretton, Andrew Lanham (Walt Disney Pictures, Marvel Studios)
『Space Sweepers』by Jo Sung-hee 조성희 (Bidangil Pictures)
『WandaVision』Season 1 by Peter Cameron, Mackenzie Dohr, Laura Donney, Bobak Esfarjani, Megan McDonnell, Jac Schaeffer, Cameron Squires, Gretchen Enders, Chuck Hayward (Marvel Studios)
『What We Do in the Shadows』Season 3 by Jake Bender, Zach Dunn, Shana Gohd, Sam Johnson, Chris Marcil, William Meny, Sarah Naftalis, 『Stefani Robinson』by Marika Sawyer, Paul Simms, Lauren Wells (FX Productions, Two Canoes Pictures, 343 Incorporated, FX Network)

アンドレ・ノートン賞 (ヤングアダルト賞)

『Victories Greater Than Death』by Charlie Jane Anders (Tor Teen; Titan)
『Thornwood』by Leah Cypess (Delacorte)
『Redemptor』by Jordan Ifueko (Amulet; Hot Key)
『A Snake Falls to Earth』by Darcie Little Badger (Levine Querido)
『Root Magic』by Eden Royce (Walden Pond)
『Iron Widow』by Xiran Jay Zhao (Penguin Teen; Rock the Boat)

ネビュラ賞公式サイト (SFWA)

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