その視線は一体誰のもの? 映画『落下音』より“謎解き”を促す本編映像が解禁 | VG+ (バゴプラ)

その視線は一体誰のもの? 映画『落下音』より“謎解き”を促す本編映像が解禁

映画『落下音』より本編映像が到着

第78回カンヌ国際映画祭コンペティション部門入りを果たし、審査員賞を堂々受賞。さらには第98回米国アカデミー賞のドイツ代表にも選出された『落下音』が2026年4月3日(金)に公開される。

手掛けたのは、本作がカンヌ初参加で長編2作目という、今最も勢いをもち、そして現代映画界の最前線へと躍り出ているドイツ出身の新鋭マーシャ・シリンスキ監督。1910年代のアルマ、1940年代のエリカ、1980年代のアンゲリカ、そして現代のレンカ――4つの異なる時代を生きる4人の少たちが、同じ土地で体験する不可解な出来事を描いた、百年にわたる映像叙事詩である本作より、この度、壁の隙間から覗く視線は一体誰のものなのか? 謎解きを思わせる本編シーンが解禁された。

1910年代、アルマは同じ村で、自分と同じ名を持つ幼くして死んだ少女の気配に気づく。1940年代、戦争の傷跡が残る中、エリカは片脚を失った叔父への抑えきれない欲望に気づき、自らの得体のしれない影に戸惑う。1980年代、アンゲリカは常に肌にまとわりつく“何か”の視線に怯えていた。そして現代、家族と共に移り住んだレンカは、自分の存在が消えてしまいそうな孤独感に蝕まれていく。百年の時を経て響き合う彼女たちの<不安>が、この北ドイツの農場を静かに覆いつくしていく――

本編映像として解禁されたのは、カメラそのものが“もう一人の登場人物”のように存在感を放つ、印象的なシーン。

映像に映し出されるのは、家の使用人ベルタに悪戯を仕掛けた4姉妹の姿。やがて何も知らずに戻ってきたベルタが靴を履いた瞬間、足がつっかえ、そのまま正面から勢いよく床へ倒れ込んでしまう。物陰から様子をうかがい、最初は笑っていた姉妹たち。しかし、ベルタが微動だにしないことに気づいた途端、場の空気は一変。動揺が広がるなか、末っ子アルマはその場に立ち尽くし、動けなくなってしまう――。

一見すると、子どもたちの危険な遊びを捉えた場面。しかし、カメラが捉える壁の隙間から覗く視線はいったい誰のものなのか。時空や視点が歪んだかのような不思議な感覚が漂い、観る者に“謎解き”のような体験を促す構造となっている。

この独特の映像表現は、マーシャ・シリンスキ監督が探求してきた「記憶すること」、そして「自分の行為を別の時間軸から見つめ直す感覚」を映像化する試みから生まれたものであり、1つの画面で主観と客観が交錯する視点は、まさに監督自身の記憶感覚を具現化したものでもある。

インスピレーション源となったのは、記憶・存在・消失をテーマに、自身の身体を被写体とした幻想的なセルフポートレートで知られる写真家フランチェスカ・ウッドマン。シリンスキ監督は次のように語る。

彼女の写真には、透明にきらめく幽体のような像が現れ、漂い、飛翔するようなムードがあります。その感覚にずっと魅了されてきました。同時に、時間が経つほど記憶にヴェールがかかり、“手が届かなくなる”感覚をどう画面に宿らせるかが重要でした。

さらに技術面についても、「最適な方法を見つけるまでには時間がかかりました。レンズを使い分け、ステディカムを多用し、ときにはピンホールカメラまで用いて、疎外や乖離の感触を捉えようとしたのです。最終的に、カメラそのものが登場人物たちの身体の一部のように感じられる瞬間に到達できたと思います」と制作過程を明かしている。

カンヌでの公式上映後には、テレンス・マリック、ジェーン・カンピオン、ミヒャエル・ハネケ、デヴィッド・リンチといった鬼才の名が引き合いに出されながらも、いずれにも回収されない独自の映画世界が高く評価、その革新性は映画祭に鮮烈な驚きをもたらし、世界中の批評家を虜に。「今年のカンヌで最も記憶に残る作品」「映画言語を更新する新たな才能」「次世代を担う重要な監督の登場」といった称賛が相次ぎ、瞬く間に映画祭の“ダークホース”として注目を集める存在となった。

彼女たちが目撃したものとは、いったい何だったのか。世界がまだ名前を与えていない〈不安〉を、あなたは体験する。

映画『落下音』は2026年4月3日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー。

『落下音』公式

STORY
1910年代、アルマは同じ村で、自分と同じ名を持つ幼くして死んだ少女の気配に気づく。1940年代、戦争の傷跡が残る中、エリカは片足を失った叔父への抑えきれない欲望に気づき、自らの得体のしれない影に戸惑う。1980年代、アンゲリカは常に肌にまとわりつく“何か”の視線に怯えていた。そして現代、家族と共に移り住んだレンカは、自分の存在が消えてしまいそうな孤独感に徐々に侵食されていく。百年の時を経て響き合う彼女たちの<不安>が、この北ドイツの農場を静かに覆いつくしていく――

監督・脚本:マーシャ・シリンスキ
出演:ハンナ・ヘクト、レア・ドリンダ、レーナ・ウルツェンドフスキー、レーニ・ガイゼラー
配給:NOROSHI ギャガ|英題:SOUND OF FALLING |2025年|ドイツ|カラー|ビスタ|5.1ch|155分|
字幕翻訳:吉川美奈子|PG-12|(C) Fabian Gamper – Studio Zentral
<公式HP>https://gaga.ne.jp/rakkaon_NOROSHI/  <SNS>X、instagram: @noroshi_gaga

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