ネタバレ解説&感想『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』ラストの意味は? 未来の可能性を考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説&感想『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』ラストの意味は? 未来の可能性を考察

©️Universal City Studio, Inc. All Rights Reserved.

1885年へとタイムスリップして、ドクを救え!

30年前や30年後へとタイムスリップし、歴史を修正したり直したりしようとする青年マーティと科学者ドクを描いた「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ。2025年には「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズは40周年を迎えながらも、愛され続ける名作映画となっている。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで監督を務めたロバート・ゼメキスは、「時間」をテーマにした新作映画『HERE 時を越えて』(2025)を制作した。ロバート・ゼメキス監督による新作映画『HERE 時を越えて』の公開を前に、同じく「時間」をテーマにした「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズを観直してみるのはいかがだろうか。

本記事では「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズの最終作であり、マーティとドクの最後の冒険を描いた『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』(1990)について解説と考察を交えつつ、感想を記していく。なお、以下の内容は『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』の重大なネタバレを含むため注意していただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』の内容および結末に関するネタバレを含みます。

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』ネタバレ解説

観客から批判された前作のラストシーン

前作『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(1989)のラストシーンでは、デロリアンは雷を浴びてしまい、1955年から、2015年のドクを乗せて飛び立ってしまう。電報会社ウエスタンユニオンに預けられていた手紙を通じてマーティはドクが1885年にいることを知った。

マーティは1985年に戻るために1955年のドクのもとを再び訪ねる。これが前作『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』のラストシーンのあらすじだ。その後、『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』の本編映像が一部流され、「PART3 1990年の夏をお楽しみに!」というテロップが表示された。

この尻切れトンボのようなラストシーンに当時の観客から批判的な声も上がったという。これには理由があり、もともとは『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』は「パラドックス」という一つの3時間半の大作映画になるはずだったのだ。

しかし、配給会社からの指示で時間を短くするように言われ、結果として「パラドックス」は無くなってしまった。そして、「パラドックス」を別けた『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』という2作品が誕生したのである。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』のラストシーンの批判に対し、ロバート・ゼメキス監督は「スターウォーズ」シリーズを引き合いに出して「ハン・ソロがカーボン凍結から解凍されるまで3年かかったのと比べたら半年なんて大したことはない」といった旨の発言をしている。

安かろう悪かろうの日本製品

ドクが電報会社ウエスタンユニオンに託した手紙では、自分は1885年で鍛冶屋として元気に暮らしていること、タイムマシンの存在は人類の手には余るものであったため破壊してほしいということが書いてあった。

マーティは1955年のドクを頼り、デロリアンを修理しようとするが、そこで手紙を書いた1週間後にドクはビフの祖先であるビュフォード・タネンに射殺されてしまうことを知る。ビュフォード・タネンは前作『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』のビフ・タネン博物館で先に登場している。

1885年の悲劇を回避するためにデロリアンを修理する1985年のマーティと1955年のドク。興味深いのが1955年のドクと1985年のマーティの日本製品に対する評価の違いだ。1955年のドクはデロリアンに日本製品が使われていることに対し、未来の自分が部品代をケチったと考えていた。

それに対して、1985年のマーティは高品質の日本製品を使ったと考えている。1955年の頃の日本製品と言えば、安かろう悪かろうの大量生産が特徴だったからだ。1985年になると日本製品は高品質のものと受け止められるようになり、マーティはトヨタの4代目ハイラックスを欲しがり、カシオのデータバンクという腕時計を付けている。

1955年から1985年へと30年の時が流れる中で、日本製品に対する評価のギャップが生まれているのがタイムスリップを題材にした作品ならではの特徴といえるだろう。『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』では舞台が1855年に移るため、時代によるギャップがより大きくなっているのが面白い。

宇宙の大いなる謎「恋」

1885年でドクは鍛冶屋を営んでおり、そこで変わり者として扱われながらも生涯を過ごそうと決めていた。決意を固めていたドクに転機が訪れる。ドクのように教養と知性に溢れた女性の存在だ。

ドクは前作『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』からタイムマシンの次に研究する対象として、大いなる宇宙の謎である恋について研究しようかと思っていることを口にしている。1885年で暮らしていこうと決めていたドクは教師としてヒルバレーにやってきたクララ・クレイトンという女性に一目惚れしてしまう。

ジュール・ヴェルヌの愛読者であるクララに恋したドクは、かつてのマーティと同じミスをしてしまうことに。マーティは第1作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)で1955年にタイムスリップした際、当時は最新話であったコメディ番組の再放送を観たと発言したことで、当時の人々から奇妙に思われている。

同じようにドクはクララにジュール・ヴェルヌの作品を子供の頃に何度も読んだと言ってしまった。しかし、ジュール・ヴェルヌがドクの愛読書である『海底二万里』を発刊されたのは1870年であり、時系列的にあり得ないことになる。聡明なドクですら致命的なミスを引き起こさせてしまう恋。確かにドクの考えている通り、ドクにとって恋は宇宙の大いなる謎なのかもしれない。

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』ラストの意味は?

マーティの悪癖、再び

マーティは自分の先祖であるシェイマスとマギーと知り合う。シェイマスを演じるのはマーティと同じマイケル・J・フォックスで、マギーを演じるのはマーティの母ロレインを演じたリー・トンプソンである。このキャスティングは「男性は自分の母親に似た女性を妻に選びがちなので、マクフライ家は代々ロレイン似の女性を選んできた」とロバート・ゼメキスは発言している。

シェイマスはマーティに自分の兄を重ね、兄がマーティと同じく「腰抜け(Chicken / Yellow / Coward)」と言われるとすぐ挑発に乗る性格であったこと、そのカッとなりやすい性格が原因で死んだと忠告する。

忠告を聞いたマーティだったが、ビュフォードを「マッド・ドッグ」と呼んでしまい、怒りを買ってしまった上、腰抜けと呼ばれて決闘を引き受けてしまう。マーティは日本製のゲーム『ワイルドガンマン』は得意だが、実際に早撃ちをしたことは当然ない。ここでも前作『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』から引き続き、マーティの悪癖が出てしまったのだ。

運命の9月7日

マーティとドクは燃料タンクが壊れたデロリアンを、タイムスリップに必要なスピードに加速させるために蒸気機関車を利用しようとする。決行は9月7日。クリント・イーストウッドと名乗っていたマーティはビュフォードとの9月7日の朝の決闘を前に未来に帰ると楽観的だが、ドクは違う。

ドクはクララとの別れを惜しんでいたが、マーティから自分たちは1885年の人間ではないこと、科学者として正しいことをすべきと諭される。これまでドクがマーティに口を酸っぱくして警告していたことがドクに刺さるのが印象的だ。

そもそも、ドクは1885年で発明家兼鍛冶屋として残りの人生を過ごすことを決めていた。それに対して、マーティはドクがビュフォードに射殺されてしまう運命を回避するために未来に連れて帰ることが目的だ。この二人の考え方の違いが楽観的なマーティと悲観的なドクという差を生んだと考察できる。

ドクはクララに未来に帰ることを打ち明けるが、クララからはジュール・ヴェルヌ愛好家の自分を騙すための嘘だと思われてしまう。意気消沈したドクはやけ酒をあおり、そのまま9月7日の朝を迎え、それによって計画は徐々にずれはじめ、マーティは当初の計画とは大きく外れ、ビュフォードとの決闘をすることになってしまった。

クリント・イーストウッドvsマッド・ドッグ

マーティの尽力により、ドクがビュフォードに射殺される未来は阻止されたが、時間連続体のしわ寄せにより、マーティがビュフォードに射殺されてしまう未来が訪れてしまう。マーティはシェイマスの忠告通り、腰抜けと挑発されても我慢するが、ドクが人質に取られたことで決闘をすることになる。

このとき、マーティは服の下に金属板を仕込み、それによって銃弾を防いで決闘に勝利している。このトリックはクリント・イーストウッド主演映画『荒野の用心棒』(1964)のパロディだ。ビュフォードは金属板によって敗北したが、そのヒントを与えたのはビュフォードの子孫であるビフだった。

前作『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』で改変された1985年でビフはジャグジーに浸かりながら『荒野の用心棒』を観ており、それをマーティも観ていたので、決闘に勝つためのヒントを得たと考察できる。その他にもマーティはクリント・イーストウッドのファンであり、「ダーティーハリー」シリーズの台詞を真似したりもしている。

破壊されたデロリアン

マーティとドクは機関車をジャックし、先頭にデロリアンをつけて加速させていく。線路がまだ完成していない峡谷までにタイムスリップで必要なスピードに到達しなければ、未来に戻るどころかマーティとドクは奈落の底に真っ逆さまだ。

決死のタイムスリップを前に、クララがドクの発言を真実だと知り、機関車を追いかけてきてしまう。そもそも、線路の先の峡谷はクレイトン峡谷だと1985年では呼ばれており、本来ならばクララが落ちるはずの峡谷だった。

ドクはクララを助けるためにデロリアンに乗り込まず、マーティだけが1985年へと旅立ってしまった。これにより峡谷に落ちたのはクリント・イーストウッドということになり、峡谷の名前はイーストウッド峡谷となっている。

マーティとドクによってヒルバレーの地名が変わるのはこれが初めてではなく、第1作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ではツイン(二つ)・パインズ・モールの名前の由来となった木を倒してしまったことでローン(一つ)・パイン・モールという名前に変わっている。

マーティが辿り着いたのは第1作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で改変した良い1985年だった。しかし、到着した途端に線路を走って来たディーゼル機関車がデロリアンにぶつかり、デロリアンは粉々になってしまった。

真っ白な未来

確かにドクは、タイムマシンは人類の手に余るものであり、破壊することを望んでいた。だが、デロリアンが破壊されたということは1885年にいるドクを助けに行けないということを意味していた。マーティが悲しみに暮れていた頃、線路に蒸気機関車型のタイムマシンが現われる。

ドクは1885年で蒸気機関車をタイムマシンに改造し、1985年に舞い戻って来たのだ。驚くべきことはそれだけではない。ドクはクララと結婚し、ジュール・ヴェルヌから名前を取ったジュールとヴェルヌという2人の息子をもうけていた。

2015年のマーティに突きつけられた解雇通知は白紙になっており、ドクはそのことについて尋ねられると、未来は自分たちで創り出すものだと告げ、家族と共に別の時間へと旅立っていったのであった。

未来は白紙ということは、無限大の可能性を秘めていることを意味していると考察できる。ドクは1885年では不可能だと考えられていたタイムマシンの発明を達成しており、新たな時間へと旅立っていった。真っ白な解雇通知と蒸気機関車のタイムマシン。この二つは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズの持つ未来の可能性についてのメッセージが込められていると考えられる。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』ネタバレ感想&考察

マーティの成長と未来

前作『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』を通して描かれたのは腰抜けと言われるとどんな挑発にでも乗ってしまうマーティの悪癖だった。しかし、1955年、ビフによって改変された1985年、1885年の冒険を通してマーティはその悪癖を克服している。その最たる例が車の事故を未然に防いだことだろう。

マーティはときに浅はかさからスポーツ年鑑で小遣い稼ぎをしようとするなど、未熟な青年の顔と、うだつの上がらない親のような人生は歩みたくないという反骨精神を見せることがあった。それでも両親の若い頃の姿や、自分が原因で起きた災難を乗り越えることで人間的にも成長している。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズは三部作として完結しており、製作スタッフは『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART4』をつくるつもりはないと答えている。つまり、マーティが夢見ていたミュージシャンの道にマーティが進むのかどうかは観客の考察に任されている。それこそ白紙の解雇通知が示していた未来の可能性は無限大を意味しているのではないだろうか。

80年代のポップカルチャー

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズは80年代のアメリカのポップカルチャーのすべてが詰まっていると評されることが多い。50年代や80年代を舞台にした第1作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と前作『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』はそれがわかりやすく描かれている。

そのエッセンスは『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』にも詰め込まれており、西部劇の舞台になったような1885年にタイムスリップする際、マーティは様々な映画のパロディをしている。マーティが鏡に向けて銃を抜くシーンではマーティン・スコセッシ監督作『タクシー・ドライバー』(1976)の真似をしている。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズの影響は大きく、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)では時空連続体の説明として言及される、スティーブン・スピルバーグ監督作『レディ・プレイヤー1』(2018)でセルフオマージュされるなどしている。

第1作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』から40年以上経とうとしている現在。1980年代の明るい面として、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで描かれるポップカルチャーを観直すのも面白いのではないだろうか。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」トリロジー 35th アニバーサリー・エディション 4K Ultra HD + ブルーレイは発売中。

前作『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』のネタバレ解説&考察はこちらから。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』で流れた音楽の解説はこちらから。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART4』とリメイクについての情報はこちらから。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』でジェニファー役エリザベス・シューが『ザ・ボーイズ』でヴォート副社長を演じるまでの経緯はこちらから。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』でのマーティのファッションについての解説はこちらから。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』のドクの名言に関する解説と考察はこちらから。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のキャスト紹介はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
お問い合わせ

関連記事

  1. 実写版『リロ&スティッチ』ネタバレ解説&感想 ラストの意味は? 保険制度とナニの将来、原作からの改変を考察

  2. 『NOPE/ノープ』ジュープ/リッキー役スティーヴン・ユァンが語る“アジア系”の俳優として見られること

  3. 『ゴジラxコング 新たなる帝国』続編考察 スカーキングを越える敵怪獣の登場は? ネタバレ解説

  4. ゴア・ザ・ゴッド・ブッチャー登場! 『ソー:ラブ&サンダー』公式予告が公開 解説&考察