第3話ネタバレ解説&感想『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』ギャバン・ルミナスと東映特撮の集大成を考察 | VG+ (バゴプラ)

第3話ネタバレ解説&感想『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』ギャバン・ルミナスと東映特撮の集大成を考察

©テレビ朝日・東映AG・東映

シスターフッドの戦士? ギャバン・ルミナス登場

日本特撮ヒーローの代表として、半世紀、お茶の間の子どもたちを夢中にさせてきたスーパー戦隊シリーズ。そのような作品が10年ほどの休止期間に入ると発表されたことで、さまざまな感情が生まれたが、その後を継ぐ作品としてPROJECT R.E.D第1弾『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』(2026-)が放送開始した。

感情をテーマにコスモレイヤーごとの“ギャバン”の名を冠する宇宙刑事の合同捜査を描く『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』。第1話と第2話では怒りで変身するギャバン・インフィニティと哀しみで変身するギャバン・ブシドーが登場し、活躍した。

そして、『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第3話「キキとコト」では、多元地球Ι5109(イオタ ゴヒトマルキュウ)へと舞台を移し、メタルヒーローシリーズというよりもプリキュアシリーズを思わせる祝喜輝と高鳴寿のコンビが活躍する。

本記事では、喜びで変身するギャバン・ルミナスが活躍する『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第3話「キキとコト」について、解説と考察、感想を述べていこう。なお、以下の内容には『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第3話「キキとコト」のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第3話「キキとコト」の内容に関するネタバレを含みます。

『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第3話「キキとコト」ネタバレ解説&考察

刑事もの故の葛藤

エモルギア事案や魔空空間事案が存在しなかった多元地球Λ8018(ラムダ ハチマル ヒトハチ)。そのようなコスモレイヤーで魔空空間に根城を築き、ネガエモルギアをばら撒いた鴉麿の犯行に対して、各宇宙の“ギャバン”たちの捜査は座礁に乗り上げていた。

ギャバン・インフィニティ/弩城怜慈は現時点で多元地球Α0073(アルファ マルマル ナナサン)にいる唯一の別次元への移動が可能な存在、次元超越者だ。それがわかっているが故に鴉麿の犯行に次元超越者が関わっている可能性を考察してしまう。

しかし、『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』において滅多に存在しない次元超越者を探し出すことができるのか。そして、そのような人物がいたとすれば、おそらく弩城怜慈の恩師の殺害などの主犯の可能性が高いが、犯人を断定して捜査を進めていいのだろうか。そのようなところで、動けなくなってしまう。

その頃、Λ8018ではギャバン・ブシドー/哀哭院刹那が鴉麿の取り調べを行なっていたが黙秘権を行使され、何の進捗も無いまま時間だけが過ぎていた。Λ8018は人間のように血を流すことで相手の感情を揺さぶり、その隙を突いて殺す人工生命体を兵器として生み出した大戦後のコスモレイヤーだ。

しかし、戦争からかなりの時間が流れたのか、容疑者が黙秘権を行使できるなど人権が整備されている。これは喜ばしいことなのだが、一方で刑事側としては目の前の相手が罪を犯したことを知っているのにも関わらず、あと一歩踏み切れないという歯がゆさを感じさせる場面だ。

『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第3話「キキとコト」では、刑事ものを描くにあたり重要な権力側の枷と、それを理解していながらも感じる歯がゆさを描いていることが考察できる。『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』は敵を爆破して終わりではない。その後、取り調べを行い、裁判まで持ち込む必要性があるのだ。

『仮面ライダー』オマージュと警察官の矜持

その頃、多元地球Ι5109では泡になった死体が発見されるという事件が発生していた。銀河連邦鑑識課として現場に赴く祝喜輝と高鳴寿。そこで調べる死体は青い泡が人型に広がっているというものだった。これは東映特撮の看板ヒーロー『仮面ライダー』(1971-1973)のオマージュだと考察できる。

『シン・仮面ライダー』(2023)でも描かれていたが、秘密結社ショッカーによって殺害された被害者や、怪人は機密保持のために泡になって消えるという描写がなされていた。『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第3話「キキとコト」では、東映特撮の集大成として、これまでの東映ヒーローの演出を取り入れていくことが考察できる。

反面、気になるのが祝喜輝の事件に対する反応だ。彼女は嬉々として死体からサンプルを回収し、この事件がエモルギア事案だと報告する。しかし、重要なのはそこではない。警察官としてもっとも重要な感情、被害者への敬意が欠けているように見えるのだ。

「教場」シリーズで風間公親が口を酸っぱくして語っていたことだが、どんな犯罪においても被害者は苦しんでおり、警察官はそのことを忘れてはいけない。そのため、特に殺人現場では被害者に対して手を合わせるなど方法は宇宙ごとに違えど、敬意を払うべきだ。

これまで、罪を憎んで人を憎まずといった刑事の矜持を描いてきたため、祝喜輝と高鳴寿の反応が気になってしまう。どんなに優秀な捜査官でも忘れてはいけない警察官の持つべき感情。そこが『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第3話「キキとコト」では掘り下げられていくのだろうか。

巨大怪獣“エモンズ・タマシー”とモンスターハンター

今回の事件の犯人はデンスという青年だった。彼は密猟者から、あくどい手を利用して宇宙人商工連絡評議会の会長の座についたギンブルにペットのタマを殺され、密猟者を殺害していたのだ。その犯行で用いたのがエモンズの変異体で、ドラゴンのような姿をした巨大怪獣“エモンズ・タマシー”だった。

弩城怜慈はデンスに感情移入しつつも、ギンブルを殺害しようとすることを否定する。そして、命の重さに違いはないと語りかける。これは、前科があろうとなかろうと人命を守ることを最優先にするという刑事の矜持だ。そして巨大ロボ“コスモギャバリオンGC-R”で巨大怪獣エモンズ・タマシーと空中戦を繰り広げるのだった。

コスモギャバリオンGC-Rは紫の戦闘機型の宇宙船“ギャバリオンセイバー”と“オンニキール10Q”が合体し、“コスモギャバリオン10Q”になって刃を振るい戦う。この戦いはCGでのアクロバティックな空中戦から、燃える木々を切り倒し、大爆発を背景に怪獣を真っ二つに斬るなど見事としか言いようがない。

第1話のコスモギャバリオンの活躍を「スター・ウォーズ」シリーズ、第2話は『ウルトラセブン』(1967-1968)の「地球最大の侵略(後編)」と例えてきた。それに対して『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第3話「キキとコト」の“コスモギャバリオン10Q”は、ドラゴン型のエモンズ・タマシーに尻尾切断など部位破壊をするなど、まるで「モンスターハンター」シリーズだ。

現在、特撮業界を牽引する一人であり、多くの「ウルトラマン」シリーズを撮影してきた田口清隆監督は「牙狼」シリーズの雨宮慶太監督か「今の子どもたちは『ウルトラマン』じゃなくて『モンスターハンター』で“怪獣を見ている”んだから、それを知らないで怪獣を作ろうとするのはダメだよ」と言われたことを電ファミニコゲーマーのインタビューで語っている。

そのため、アクロバティックな動きと近年の特撮作品では難しくなった部位破壊や四肢欠損の要素を取り入れ、今の子どもたちの感情を動かす戦いを『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第3話「キキとコト」で「怪獣エモンズ・タマシーvsコスモギャバリオン10Q」として、東映特撮の制作陣はやってのけたと考察できる

ちなみに『モンスターハンターダブルクロス』(2017)の小嶋慎太郎プロデューサーは、田口清隆監督にモンスターのデザインについて「恐竜と実在する生物が下地にあって、そこに『ウルトラ怪獣』の超能力要素を入れている」と語っており、ある意味では「怪獣エモンズ・タマシーvsコスモギャバリオン10Q」は特撮作品による換骨奪胎の要素があると考察できる。

また、喜びで変身するギャバン・ルミナスがいるΙ5109で“ギャバリオンセイバー”と“オンニキール10Q”が登場したのは、“コスモギャバリオン10Q”が「オンニキール=恩に着る」「10Q=Thanks You」の言葉遊びから来ていると考えられる。これはデンスを復讐心から解放してくれたことへの感謝の感情がこもっていると考察できる。

ギャバン・ルミナスの考える“喜び”

祝喜輝の才能は現場での最適解を導き出し、解析して対処すること。そして、彼女の考えは弩城怜慈の語った「エモルギアの解放」だった。そのためにギャバン・ルミナスに変身し、怪獣エモンズ・タマシーのコアになったエモンズを倒し、魔空空間の裂け目を塞いで、そしてデンスの感情と向き合うことだった。

ギャバン・ブシドーは哀哭院刹那の剣術を活かせるような設計だったが、ギャバン・ルミナスは祝喜輝の分析力を活かして最適な武装をするギャバンだった。弩城怜慈が一目で重武装型ギャバンと判別していることから、Α0073においても重武装型ギャバンは設計されたのかもしれない。しかし、ギャバン・インフィニティにその要素がないことから、警察の装備に過度な暴力装置は不要と判断した可能性が考察できる。

ギャバン・ルミナスの目的はエモンズを倒して、魔空空間の裂け目を閉じるだけではなかった。エモンズに残ったデンスの本来のペット“タマ”の牙を奪取するべくギャバリオンレーザーとギャバリオンドリルを呼び出した。

それはデンスの感情を救うには、痛みが伴うとしても本当のタマと正しく別れるべきと判断したためであり、祝喜輝はデンスが使っていたエモルギアがヨリソー(寄り添う)ものだとして、タマはデンスを死後も心配しつづけていると語った。

デンスは泣き崩れるも、そこで正しくタマと別れ、前に進む。それによって得られる喜びこそ、真の喜びである。それが『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第3話「キキとコト」でギャバン・ルミナス/祝喜輝が導き出した答えだった。謎を解く喜びと、犯罪者の更生という喜び。刑事が持つ二つの喜びがギャバン・ルミナスの喜びだと考察できる。

『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第3話「キキとコト」ネタバレ感想

すべては“ギャバン”たちの成長物語

プロット版の要素の強い第1話から第3話までを観てきた中で、気が付いたのは『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』とは宇宙で1人しか名乗れない“ギャバン”という称号を冠しながらも、未熟さや迷いの残る刑事たちの成長物語だということだ。

ギャバン・インフィニティ/弩城怜慈は各宇宙を渡り、エモルギア事案を解決していく存在だが、あくまで外部の人間であり、その宇宙のことを詳しくは知らない。だからこそ、彼の発言はどこか綱渡りのような要素がある。それに加え、まだ彼のコスモレイヤーでの排外主義的なナレーションという問題は解決していない。

ギャバン・ブシドー/哀哭院刹那は贖罪の意識が強すぎるあまり、自分はただ上層部からの命令に従っていればいいと思っている可能性がある。そのためか、葛見仁志から政治情勢に問われた際、トーン・ポリシングに近い方法で逃げる。しかし、彼は自分の正義について向き合う必要性がある。

ギャバン・ルミナス/祝喜輝は好奇心旺盛で事件解決のためなら熱心に動く人物だが、被害者の遺体を前に敬意に欠く行動をするなど、警察官として未熟さがある。その反面、加害者の更生も喜びとするなど、伸びしろのある宇宙刑事だ。

宇宙でただ一人しか名乗ることが許されない称号“ギャバン”。その名前を背負う重責や警察官としての矜持など、刑事ものとしての成長物語『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』の今後に注目だ。

日本特撮の集大成に?

東映が半世紀続いたスーパー戦隊シリーズを、休止期間に突入させてまで始めたPROJECT R.E.D第1弾『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』。そこには、この作品を通して日本特撮ヒーローの底力を見せようとする意気込みが感じられた。

『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第3話「キキとコト」での怪獣エモンズ・タマシーvsコスモギャバリオン10Qの大迫力のバトルに加え、『仮面ライダー』の泡になって死亡するという設定のオマージュもその意気込みの一つだと考察できる。

他にも『仮面ライダーガヴ』でのゴチゾーを思わせるエモルギアや変身アイテムと巨大ロボが共通という『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』(2025-2026)でのヒット要素もある。さらにはテレビ朝日のもう一つの看板である刑事ものの要素など「絶対にヒットさせる」という意志を感じる。

ただし、『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』が第3話まで時間をかけて挑んでいるのは、ヒット要素を集めることではないはずだ。現在、3つの宇宙が存在し、それぞれのコスモレイヤーにギャバンたちが存在している。彼らは同じ銀河連邦警察に所属しながらも、コスモレイヤーごとにエモルギアや魔空空間への理解度に差がある。その差は単なる設定の違いにとどまるのか、それとも正義のかたちを変えるのか。

ギャバン・ブシドーはエモルギアを使い蒸着しているが、魔空空間に関する研究は進んでいない。それに対してギャバン・ルミナスはエモルギアと会話が可能で、事件の捜査でもエモルギア案件かどうかを判断する上で役立てている。

他にも銀河連邦警察が対処しなければならない事情の違いなどもそれぞれ異なっており、その事情が彼らの正義に関わってくると考えられる。この違いを互いに受け止め、理解し合えるのか。そして変化が起きるのか。そこにクロスオーバーというPROJECT R.E.Dに挑戦した意義がかかっている。

さらに、『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第4話「地底の要塞」では、4つ目の多元地球Σ3302が登場。そこには宇宙人の域を超え、蟻の捜査官・有本未空朗がいるという突飛な設定を盛り込んだ。おそらく、この宇宙は宇宙共生時代がかなり進んでいることが考察できる。予告編では“ギャバリオンドリル”と“シリタインダーWK-2”が登場している。“シリタインダーWK-2”が「シリタンダー=知りたい」「WK-2=ワクワク」を意味しているとすれば、新しいギャバンは好奇心という感情で変身する可能性が大きい。

排外主義やトーン・ポリシングなど、表現に問題があるのではないかとも言われた『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』。既に告知された3人のギャバンは出揃った。その上で4つ目の宇宙にいる新しいギャバンの掲げる正義に東映特撮が語りたいメッセージ“本質”が見えてくるだろう。

『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第3話「キキとコト」は2026年3月1日9:30より放送開始

『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』公式サイト

Source
電ファミニコゲーマー「いまの子どもたちは『モンハン』で怪獣を見ている」──特撮のプロが見た『モンスターハンター:ワールド』【カプコン藤岡要×『ウルトラマンオーブ』田口清隆監督対談】

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『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第1話「赤いギャバン」のネタバレ解説&考察はこちらから。

『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第2話「二つの刃」のネタバレ解説&考察はこちらから。

『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第4話「地底の要塞」のネタバレ解説&考察はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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