ネタバレ解説&考察『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』最終回ラストの意味は? MCUとの繋がりは? | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説&考察『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』最終回ラストの意味は? MCUとの繋がりは?

©️2025 Marvel

『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』はどうなった?

アニメ『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』のシーズン1が2025年1月29日から2月19日にかけて全10話がディズニープラスで配信された。既にシーズン2の配信も決定しており、今後の展開に注目が集まっている。

今回は、アニメ『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』シーズン1第10話ラストの展開について、ネタバレありで解説&考察していこう。以下の内容は結末に関する重大なネタバレを含むため、必ずディズニープラスで本編を視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』最終回第10話の結末に関するネタバレを含みます。

『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』最終回第10話ネタバレ解説

ノーマン・オズボーンの計画

アニメ『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』最終話の第10話では、主人公ピーター・パーカーを支えてきたノーマン・オズボーンの計画が明らかになる。ノーマンはピーターを含むインターンチームに開発させていた技術を組み合わせて、宇宙を移動できるゲートウェイを開発していたのだ。

ノーマン・オズボーンは、映画『マイティ・ソー』(2011) でニューメキシコに現れたソー、映画『アベンジャーズ』(2012) でニューヨークを襲ったチタウリ、そして『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』第1話でミッドタウンを廃墟にした謎の攻撃者は、空間を瞬間的に移動する技術を持っていると主張する。

ノーマン・オズボーンの目的は宇宙にある無限の資源だったのだ。それだけではない。ノーマンは“椅子の男”としてスパイダーマンの活動を支援していたが、ピーターが負傷してオズコープ社に運び込まれた際にピーターの血液を採取していた。

『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』第9話のラストでは、その血液からスパイダーマンのDNA構造を再現する実験に成功しつつあることが明かされた。研究者によって青いクモに血液が注入されるシーンもあり、このクモが最終回でもキーポイントになる。

ドクター・ストレンジのタイム・ストーン

ノーマン・オズボーンのゲートウェイ計画にインターン生達が反対する中、ポータルから現れたのはドクター・ストレンジだった。ドクター・ストレンジはグリニッジ・ビレッジからやって来たと言っているが、そこはニューヨークのサンクタム・サンクトラムの所在地である。

ドクター・ストレンジは宇宙に待ち受ける脅威について警告を与えるが、オズボーンはゲートウェイを開いてしまい、宇宙からヴェノムのような姿をした怪物がやってきてしまう。スパイダーマンとドクター・ストレンジは協力してこの怪物と戦うが、戦いの中で被験体の動物がいる部屋が破壊されてしまい、そこから青いクモが逃げ出すことになる。

怪物を宇宙に戻すためにスパイダーマンがゲートウェイを修理する間、ドクター・ストレンジはポータルを開いて怪物を連れ出すことで時間を稼ごうとする。しかし、タイム・ストーンが入ったアガモットの目に怪物が触れたことで、ドクター・ストレンジと怪物は過去へ飛んでしまったのだった。

タイム・ストーンを持っているということは、このドクター・ストレンジはMCUのメインユニバースであるアース616のストレンジではないことは確かだ。アース616のストレンジがマルチバース間を移動する機会を得るようになったのは『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) 以降なので、その時にはすでにタイム・ストーンは破壊されている。このストレンジはこのユニバースのストレンジなのだろう。

スパイダーマン誕生の理由

ドクター・ストレンジと怪物が飛んだのは『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』第1話冒頭の場面だった。新入生説明会でピーターがニコを助けた場面だ。ドクター・ストレンジは怪物を連れて元の世界に戻るが、その時、スパイダーマンのDNAを持つクモがポータルから過去の世界に行ってしまった。そして、このクモが過去のピーター・パーカーを噛み、ピーターはスパイダーマンの力を手に入れたのだった。

MCUではピーターがスパイダーマンの力を得た経緯が描かれておらず、クモに噛まれたということが『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2019) で語られただけだった。『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』では、スパイダーマンから採取された血液によって生まれた特別なクモがピーターを噛んでスパイダーマンを誕生させるという展開が採用された。

つまり、「ピーターがスパイダーマンになったことでピーターがスパイダーマンになった」というタイムパラドックスが生じている。過去に干渉した際には時間軸が枝分かれするというMCUのセオリーが本作にも適用されるなら、“最初のスパイダーマン”はまた違う形で力を得てピーターを噛むクモが生まれたはずだ。

トビー・マグワイアとアンドリュー・ガーフィールドのスパイダーマンは、オズコープ社が遺伝子組み換えを行ったクモに噛まれてスパイダーマンの力を得た。アース616にはオズコープが存在していないがトム・ホランドのピーターは力を得ている。

『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』周辺の時間軸の“束”では、最初のスパイダーマンは違う形で力を得たはずだ。だが、その後はストレンジがクモと共に過去へ飛ぶ展開が繰り返されているものと考えられる。

ドクター・ストレンジの成功例

なかなか理屈付けが難しい展開を経て、スパイダーマンはゲートウェイを開くことに成功。ヴェノウ風の怪物を宇宙に送り返すことに成功する。だが、流れ込んでこようとした宇宙生物の集合体からその一部がこちらに入り込んでしまった。『ノー・ウェイ・ホーム』のラストでヴェノムのかけらがアース616に残ってしまった展開を想起させる。

それでも、スパイダーマンは事件を解決に導き、スパイダーマンは修理中のミッドタウン高校を眺めるドクター・ストレンジの元へ。ドクター・ストレンジは事件を起こしたことを悔やんでいたが、スパイダーマンはそのおかげで自分も変われた、苦難があっても自分があるべき姿に近づけると言って励ます。

ドクター・ストレンジも未来を気にするスパイダーマンに、君なら未来で何があっても大丈夫と告げる。ドクター・ストレンジは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018) でもタイム・ストーンを使い未来の可能性を除いてきたが、その後起きることを伝えれば未来が変わってしまうとしてトニーに未来の出来事を伝えなかった。

映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022) では、ドクター・ストレンジはマルチバースを危険に晒す存在だと指摘された。『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』では、今回もストレンジは時間軸の移動に関わる事件を起こしたが、そのお陰でスパイダーマンが生まれたというポジティブな側面も描かれることになった。

MCUの正史だった?

そして、見逃してはいけない要素がもう一つある。ドクター・ストレンジがポータルを通って去っていく場面で、画面左の夜空にうっすらとウォッチャーの姿が見えるのだ。ウォッチャーは映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017) で登場し、その後、ウォッチャーのウアトゥがアニメ『ホワット・イフ…?』(2021-2024) の語り手になった。

ウアトゥと思われるウォッチャーが登場したということは、『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』もMCUのマルチバースの中に存在しているということである。ウアトゥはアース616を舞台にしたアニメ『アイ・アム・グルート』(2022-) にも登場している。

『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』を巡っては、当初トム・ホランドのピーター・パーカーのオリジンを描くという設定が変更になり、アース616とは違う世界が舞台となった。しかし、完全にMCUから切り離された作品なのか、マルチバースの一部なのかがはっきりしていなかった。

最終回でウォッチャーを登場させたことで、『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』も正統なMCU作品であることが示された。今後、マルチバース展開が予想される『アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ(原題)』での合流も期待できる。

それぞれのその後

『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』のラストは、それぞれのキャラクターのその後が描かれる。ノーマン・オズボーンは事件の現場である会社に戻り、そこで取り残されたシンビオートを発見。ノーマンが懲りずに更なる事件を起こすことを示唆している。

ピーターの友人でノーマンの息子のハリー・オズボーンは若者が自由に才能を発揮できる新会社の設立を決意。オズコープ社のインターン生をはじめとする若者達に勧誘のメールを送る。ホワイトボードにはピーター・パーカーやアマデウス・チョらと共に、コミック『NYX』の主人公キデン・ニクソンやアース616のピーターの相棒であるネッド・リーズらの名前も確認できる。

ハリーが作った会社は「ワールドワイド・エンジニアリング・ブリゲード」通称WEBという名前で、ロゴにはクモのウェブがあしらわれている。「ブリゲード」は「団体」という意味で、「WEB」という略称にしたいからつけた名前であることは明らかだ。

ワカンダから来たアシャが誘いに喜ぶ一方、アマデウス・チョはすでにオズコープ社に残ることを決めていた。ジーンは実はフィネスという名のヴィジランテで、デアデビルと共に活動していた。デアデビルのオズコープ社に潜入して監視していたが、次はWEBに潜入するようだ。

デアデビルの登場シーンではNetflixで配信されたドラマ『デアデビル』(2015-2018) のテーマ曲をアレンジした音楽が流れている。ちなみにフィネスは原作コミックでタスクマスターの娘として登場するキャラクターだ。

ロニー、ニコ、そしてリチャード

さらに岩のような硬さの身体と怪力を手に入れたトゥームストーンことロニー・リンカーンもWEB入りを決意。箔がつけば地元のコミュニティ・カレッジには入れるはずと母に話しているが、コミカレは地域の人々が通いやすい授業料の安い短大で、資格取得や4年制大学への編入にも利用される。

しかし、強力なパワーを手に入れたことと、ボスのビッグ・ドンが部下を見捨てて逃げたことから、ロニーは今やワン・テンスの新たなボスとなっていた。原作コミックでもトゥームストーンは犯罪組織を率いており、その設定に近づいたことになる。

『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018) にもヴィランとして登場したトゥームストーンとは、見た目こそ違うが、ブロックを破壊して指先を灰色に染めるなどオマージュは見られる。最後にはアメフトチームの黄色いチームジャケットを捨てて未練を断ち切ったようだが、ロニーはいつもジャケットの下にグレーのパーカーを着ており、今後は原作のキャラを思わせるグレーがテーマカラーになることが示唆されている。

ピーターの親友ニコ・ミノルはというと、部屋で黒魔術に取り組んでいた。ニコは原作で黒魔術を操るキャラクターで、ドラマ『ランナウェイズ』(2017-2019) では同役を岡野りりかが演じている。また、獄中のドクター・オクタビアスは壁に触手の絵を貼り、誰もが知るドクター・オクトパスになる未来を示唆している。

それぞれが次のステップに進もうとする中、メイが刑務所で面会したのはピーターの父だった。囚人服には「R. パーカー」と書かれており、この人物がリチャード・パーカーであることが示されている。

リチャードはベンおじさんの兄弟で、大抵はピーターの母メアリーと共に過去に殺されているという設定であることが多かった。しかし、『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』ではリチャードは生きており、投獄されているという設定になっているようだ。

リチャード・パーカーは映画『マダム・ウェブ』(2024) にも登場しており、「スパイダーマンの父」を再利用する路線が取られつつあるのかもしれない。『マダム・ウェブ』のリチャードについての解説はこちらから。

そして、アニメ『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』のラストは、ドクター・ストレンジの助言を胸にニューヨークの街をスイングするスパイダーマンの姿で幕を閉じる。

アニメ『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』ネタバレ感想&考察

オリジナルとの共通点と相違が楽しい傑作

アニメ『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』は、アース616とは大きく異なる展開を見せながらも、MCU「スパイダーマン」からのオマージュも多くて楽しい作品だった。ソコヴィア協定の影響が外から見えたり、もしピーターがトニーと出会っておらずシビル・ウォーに参加していなかったら……というイフの物語が見れたり、MCUを知っていれば知っているほど本作も楽しめる作りになっていた。

ノーマン・オズボーンの「大いなる力には大いなる尊敬が伴う」という言葉や、リチャード・パーカーが生きていたという、スパイダーマンの物語から定番を“外す”工夫も新鮮だった。デアデビル、ドクター・ストレンジ、アイアンマンらニューヨークお馴染みのヒーローと共に、ロニー、ニコ、パールなど新しい面々も回を追うごとに愛着が湧く良いキャラクター達だった。

シーズン2はどうなる?

『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』はシーズン2の製作が決定している。父が生きているピーターが描かれるのは貴重だ。リチャードはピーターを気にかける様子を見せていたが、なぜ刑務所に入っているのだろうか。

アース616では、ピーターが好意を寄せていたリズの父エイドリアン・トゥームスがヴァルチャーとなって逮捕された。バルチャーはピーターの義父になりそうな展開があったが、『フレンドリー・ネイバーフッド』のリチャードがヴァルチャーだったという可能性はあるかもしれない。

また、普段はグリーンゴブリンになるノーマン・オズボーンは『フレンドリー・ネイバーフッド』ではシンビオートを手に入れたようだ。本作ではゴブリングライダーを思わせるドローンも登場したが、ノーマン・オズボーンはグリーンゴブリンではなくヴェノムになるのだろうか。

様々な“原型”との共通点と相違点を楽しめる『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』。MCU本編との合流とともにシーズン2の配信を楽しみに待とう。

アニメ『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』はディズニープラスで全10話が配信中。

『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』配信ページ

『スパイダーマン:スパイダーバース マーベルムービーシリーズ オフィシャルガイド』は発売中。

ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』の配信日程についてはこちらの記事で。

【ネタバレ注意!】映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』ラストの解説&考察はこちらから。

映画『サンダーボルツ*』本予告はこちらの記事で。

映画『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』特報映像はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
お問い合わせ
¥3,300 (2025/03/26 02:22:56時点 Amazon調べ-詳細)
社会評論社
¥1,650 (2025/03/25 22:39:18時点 Amazon調べ-詳細)

関連記事

  1. 第10話ネタバレ感想!『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』あらすじ・考察・登場怪獣

  2. Netflix新作アニメ『GAMERA -Rebirth-(ガメラ リバース)』キャスト&スタッフ情報公開!

  3. ネタバレ解説『バッド・バッチ』第14話 ウォー・マントル計画始動。スター・ウォーズの転換点を描く あらすじ&考察

  4. 第2期5話/29話ネタバレ感想『呪術廻戦』最強に成った五条、夏油が選んだ道 「懐玉・玉折」編完結