英語版声優が明かす虎杖悠仁の難しさ
芥見下々の同名漫画を原作にしたアニメ『呪術廻戦』(2020-) は世界的な人気作となった。クランチロール主催の米アニメアワードでは、第1期と第2期が共にアニメ・オブ・ザ・イヤーの栄冠に輝き、第2期は9部門受賞という圧巻の結果を残している。
海外では「JJK」の愛称で親しまれる『呪術廻戦』の躍進を支えたのが英語版の声優陣だ。主人公・虎杖悠仁の英語版の声を演じるのは、『東京リベンジャーズ 』(2021-) の松野千冬や『怪獣8号』(2024-) の市川 レノ役などで知られるアダム・マッカーサー。これまでにも『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2013) といった米国内のアニメ作品でも活躍していたが、『呪術廻戦』の虎杖悠仁役で一躍世界的に知られる声優になった。
そんなアダム・マッカーサーだが、米The Directのインタビューで「キャリアの中で演じるのが一番難しかった役」を聞かれ、「おそらく悠仁です」と答えている。
その理由の一つは、シーズン3で役者として多くの要素を求められることになったからです。非常にヘビーな瞬間もあり、それをできるだけリアルに感じられるようにしたかった。だからこそ役者として、普段のアニメなどの仕事やナレーションでは辿り着けないような境地を経験することができました。ですから、彼(虎杖悠仁)との仕事は夢のようなシナリオでした。
アダム・マッカーサーが言う「シーズン3」というのは、第1期と「懐玉・玉折」編を経た「渋谷事変」編のことだろうか。「渋谷事変」編では、虎杖悠仁は第1期にも増して大きな喪失を経験する。
両面宿儺に完全に主導権を奪われる場面もあり、特に七海建人をめぐる出来事は海外ファンの間でも大きな話題となった。虎杖悠仁は高校生でありながらいくつもの絶望に直面し、それでも真人との戦いに臨むのだ。
『呪術廻戦』の虎杖悠仁は日常パートもある一方で、感情が壊れそうになる場面も多く、“叫ぶ”シーンも多いキャラだ。日本語版では榎木淳弥が見事に演じているが、英語版のアダム・マッカーサーとっても演技における新たな境地への挑戦となったようだ。
また、アニメ『怪獣8号』で演じるレノについては、虎杖悠仁と比較して「より秩序だっていて目的意識が高い」と説明している。裏を返せば、『呪術廻戦』の虎杖悠仁は変化し続けるキャラクターであり、周囲の人間に強い影響を受ける人物だということでもある。
さらに、アダム・マッカーサーはアニメ『呪術廻戦』の英語版の収録が始まった時期がコロナ禍の2020年10月であったことを振り返り、収録に際しては技術的な難しさもあったと回想している。レコーディングは自宅のスタジオから行う必要があり、ブースの中で声優自身がエンジニアリングを行いながら演技に取り組んでいたという。
アダム・マッカーサーはそうした環境でプロジェクトに取り組み始めたこともあり、当初は『呪術廻戦』がどれほど大きなプロジェクトかということを分かっていなかったかもしれないと述懐。それでもおそらくスタジオ側の期待値は高かっただろうと振り返っている。
世界的コンテンツとなり、多くの人々によって支えられる作品となった『呪術廻戦』。原作漫画は2024年で完結したが、2025年5月30日(金) からは「懐玉・玉折」編の劇場版総集編が公開され、第3期「死滅回游」編の制作も進んでいる。次の展開を楽しみに待とう。
映画『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』は2025年5月30日(金) より劇場公開。
アニメ『呪術廻戦』 懐玉・玉折/渋谷事変 公式ガイドブックは発売中。
「渋谷事変」編Blu-rayも発売中。
漫画『呪術廻戦』最終巻の第30巻は発売中。
Source
The Direct
『呪術廻戦』第2期が受賞したアニメアワードの詳細はこちらの記事で。
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