『呪術廻戦』第3期 死滅回游 前編 最終回12話/59話はどうなった?
世界的人気作品となったアニメ『呪術廻戦』(2020-)。芥見下々による原作漫画が全31巻で幕を閉じた後も、岩崎優次がその後を描くスピンオフ『呪術廻戦≡(モジュロ)』が展開されている。2026年1月からはアニメ第3期の放送および配信が始まり、まだまだ盛り上がりを見せている。
今回は、一区切りとなるアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」の最終回となる第12話/通算59話をネタバレありで解説し、感想を記していこう。なお、以下の内容はアニメ『呪術廻戦』第3期12話/通算59話のネタバレを含むが、アニメでまだ扱われていない範囲の原作漫画のネタバレは行わない。アニメの方を視聴してから読んでいただきたい。
以下の内容は、アニメ『呪術廻戦』第3期12話/通算59話の内容に関するネタバレを含みます。
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アニメ『呪術廻戦』第3期 死滅回游 前編 最終回12話/59話ネタバレ解説&感想
乙骨の五条先生への想い
アニメ『呪術廻戦』第3期 死滅回游 前編 最終回12話/59話のタイトルは「仙台結界(コロニー)」。原作漫画第20巻のほとんどをまとめてアニメ化した回になっている。
前回のラストで、四つ巴の拮抗状態となっていた仙台コロニーのドルゥブ・ラクダワラを倒した乙骨憂太。均衡が崩れたことで、ここから石流龍、烏鷺享子、黒沐死、乙骨憂太の4者による戦いが幕を開ける。
伏黒恵が提案した「得点の移動」「死滅回游から離脱」という追加ルールに加え、乙骨は物資に限度があることから「結界の出入りを可能にする」というルールの追加が必要だと考えていた。同時に、強力なプレイヤーたちと出会った乙骨は、そのプレイヤーたちが世に放たれることを防ぐために、先に「結界間の連絡手段の確立」を行わなければならないとも考えている。
それだけではない、渋谷事変に加わっていなかった乙骨は、これらの工程をすべて自分一人で成し遂げようとしていた。その原動力は、「五条先生に二度も親友を殺させない」という想いだった。
確かに『呪術廻戦0』では、乙骨を巡る戦いの中で五条悟は夏油傑にトドメを刺した。その後、五条は乙骨に夏油は「たった一人の親友」だったと告げており、あの一件は今でも乙骨の心に深く刻まれているようだ。
それぞれの相性は?
黒沐死(ゴキブリ)は、2体の式神の軌跡を自らの領域に出来るドルゥブ・ラクダワラを苦手としていた。おそらく黒沐死の強みは接近戦と手数(多数のゴキブリ)で、ドルゥブ・ラクダワラの領域に入ると自動的にそれらが迎撃されてしまうからだろう。
ドルゥブ・ラクダワラが消えたことで黒沐死が動き出すのだが、黒沐死を苦手としていたのは烏鷺だ。空間を面として操れる烏鷺は、けれど直接的な攻撃手段を持っておらず、カウンター中心の戦術の術師である。手数(大量のゴキブリ)で迫ってくる黒沐死とは相性が悪かったのだろう。
一方、高い出力の飛び道具を武器とする石流は、故に烏鷺のカウンター戦術を苦手としていたと考えられる。そこに乙骨という不確定要素が現れ、プレイヤーたちは一気に勝負を決めようとするのだ。
羂索が解放した特急呪霊である黒沐死は、苦手とするドルゥブ・ラクダワラの生存を条件に休眠状態に入っていたが、ドルゥブ・ラクダワの死を以て覚醒している。
アニメ化された乙骨憂太 vs 黒沐死の戦いは圧巻。現代最強の術師と特級呪霊の戦いの魅力を余すことなく描き出している。
この後に石流龍&烏鷺享子戦を控えている乙骨は、反転術式という手を見せずに戦おうとするが、最終的に黒沐死にマウストゥマウスで反転術式を用いて正の力を流し込むという手で勝利。黒沐死は乙骨と口付けを交わすという名誉な最後を迎えている。
烏鷺と乙骨の因縁
続いては烏鷺(うろ)戦だが、乙骨と烏鷺には因縁があった。「なんで自分なんかのために必死になるんですか?」という乙骨の言葉を聞き、烏鷺は乙骨が藤原家の血筋の人間だと指摘する。烏鷺は元藤氏(藤原家)直属の暗殺部隊隊長だったが、藤原家の人間に同族殺しの身代わりにされて処刑されたという。不本意な一度目の人生を経て、現代に受肉したことで二度目の人生に挑もうとしているのだ。
人たらしの虎杖とも、アッパーな嫌な奴である五条とも違い、ダウナーかつ天然で相手をイラつかせる乙骨憂太だが、先人たちの想い(呪い)を引き継いでいく呪術師としてのスタンスはしっかり出来上がっている。虎杖も自分のことを「部品」と言ったが、乙骨は自分のためにそこまで必死になり他者を殺す烏鷺のことが理解できなかったのだろう。
なお、五条悟は『呪術廻戦0』で、自分と乙骨は「菅原道真」の子孫だと告げている。原作漫画第20巻176話と177話の幕間では、五条に言われた菅原家なのか、烏鷺に言われた藤原家なのかと困惑する乙骨憂太の姿も描かれている。もちろん、両方の血筋を継いでいる可能性も考えられる。
乙骨憂太の本当の術式
その二人を諸共消し去ろうとしたのが石流(いしごおり)だ。リーゼントでロックな見た目の石流だが、烏鷺と同じく過去に羂索と契約して現代に復活した呪術師の一人だ。リーゼントから呪力をビームのように出力する術式を操り、「不満=満たされない」という感覚を原動力としている。どこか、「熱」を求める秤金次と近いところがある。
乙骨が街灯をぶん投げながらビームから走って逃れるシーンなど、素晴らしいアニメーションになっている。“オーバーヒート”してリーゼントが溶けてしまう石流の姿も。
反転術式で回復しながら戦う乙骨だったが、ここで「リカ」を完全顕現させる。このリカは成仏した折本里香本人ではなく、里香の成仏後に残された存在。乙骨は指輪をはめてリカと接続することで5分の間、①術式の使用、②リカの完全顕現、③リカからの呪力供給が可能になる。
つまりリカは乙骨にとって「外付け」のデバイスで、接続している間、乙骨はふたりで戦える上に最大出力で戦うことができるのだ。そしてここで乙骨が使うのが、狗巻棘の術式である「呪言」だ。「蛇目と牙」は『呪術廻戦0』で夏油傑も指摘した狗巻家のマークである。
呪言は吐いた言葉の通りに相手を操ることができる術式で、烏鷺は「動くな」という声を聞いてしまったがために動きが止まり、リカと乙骨にボコボコにされてしまう。リカの完全顕現により、ほとんど2対2の状態になっている。
アニメでは、リカと乙骨のコンビネーションが強調されるとともに、烏鷺の術式も大型駐車場を“面”として操るなど、その術式の強力さが補完して描かれている。
乙骨はさらに自分の髪を媒介に小さなリカの式神を出すと、その式神が通った軌跡が乙骨の領域となり、烏鷺はダメージを喰らう。ドルゥヴの術式が、領域を通ったものを「抉る」というものであったことが説明されるが、これはアニメオリジナルの演出である。
そして、烏鷺はここで初めて、乙骨の術式が「模倣(コピー)」であったことに気が付く。『呪術廻戦0』までは乙骨の術式は「里香」とされていたが、渋谷事変(コミック11巻90話)では、羂索は乙骨の「無条件の術式模倣」は「最愛の人の魂を抑留する縛り」で成り立っていたと楽観視していた。確かに無条件ではないものの、「リカ」を「外付け」にすることで乙骨は能力を維持していた。
ラストの意味は?
ここで三人は同時に領域展開を行うが、単為生殖に成功していた黒沐死の“子ども”が誕生して領域に侵入。アニメではガッツリゴキブリが描かれる。領域が崩壊すると、乙骨は黒沐死を苦手としている烏鷺を黒沐死にぶつけ、石流が「グラニテブラスト」でトドメを刺す。黒沐死には乙骨が反転術式で正のエネルギーを流して瞬殺し、石流 vs 乙骨の一騎討ちへと突入することになる。
『幽☆遊☆白書』の霊丸を思わせる呪力の撃ち合い。石流の渇望が珍しく乙骨の心を動かし、真っ向勝負が展開される。アニメ『呪術廻戦』第3期最終回12話/59話は、ここで初めてKing Gnuの主題歌「AIZO」が流れる熱い展開になっている。
だが、乙骨が烏鷺の術式をコピーして石流の呪力を弾くと、捉えた相手ごと面を割る烏鷺の「宇守羅彈」も発動する。先ほど黒沐死がちぎった烏鷺の腕をリカが喰らっており、これにより乙骨の術式コピーの条件が満たされたものと考えられる。
リカと繋がれる5分が経過したのち、二人は全てを出し切り素手で殴り合うが、最後は石流の頭上に先ほど乙骨が弾いたグラニテブラストが降り注いで勝負あり。最後まで相手に付き合い切るわけではない、乙骨らしい冷静さが勝負の分け目になったと言える。
「満腹」になって倒れた石流は目を覚ますと、乙骨は烏鷺も生きていたことを明かすと、石流にポイントの譲渡を要求する。乙骨は烏鷺をポイント譲渡を条件に見逃したようだ。これで乙骨の得点は190点に。漫画21巻の幕間では、元から持っていた乙骨の30点にドルゥブを殺した5点、黒沐死2体を殺した10点、石流の76点と烏鷺の69点を合わせて190点になったことが示されている。
そして乙骨は、烏鷺が去り際に「圧倒的な自己」「他を顧みない災い」が最終的に超越するのだと指摘したことを回想する。それはまさに快・不快と欲望にしたがって生きる両面宿儺のことであった。アニメオリジナルの演出として、伏黒恵を運ぶ天使、虎杖悠仁と走る髙羽、コタツでゆっくりする天元・九十九・脹相の姿も描かれ、『呪術廻戦』第3期最終回12話/59話は幕を閉じている。
『呪術廻戦』第4期はどうなる?
アニメ『呪術廻戦』第3期が最終回を迎えた時点で、第4期のアナウンスは行われなかった。死滅回游編の前編では、コミックス第16巻から第20巻が映像化された。乙骨の戦いを1話にまとめつつ、省略した感じがなかったのは見事だった。
最終話でほとんど1巻を描き切ったことで、アクションが多めの展開であればそれほど無理なく話数が消化できることが分かった。この感じなら、アニメ『呪術廻戦』第4期は死滅回游編の後編を描き、最終章は映画版という形もあり得そうだ。とりあえず今は、『呪術廻戦≡』を含むコミックもチェックしつつ、アニメ『呪術廻戦』第4期の到着を楽しみに待とう。
アニメ『呪術廻戦』第3期は2026年1月8日(木) より、毎週木曜深夜00:26~、MBS/TBS 系列全国28局にて放送。配信先は公式サイトで。
『呪術廻戦』第3期12話の続きは原作漫画の21巻から描かれる。
「呪術廻戦 死滅回游 前編」Blu-ray Vol.1は予約受付中。
『呪術廻戦』公式ファンブックは発売中。
岩崎優次が『呪術廻戦』のその後を描いたスピンオフ『呪術廻戦≡(モジュロ)』はコミック第1巻と第2巻が発売中。
漫画『呪術廻戦』最終巻の第30巻は発売中。
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