『パシフィック・リム』に出演したギレルモ・デル・トロ監督の盟友達。監督と俳優の熱い絆 | VG+ (バゴプラ)

『パシフィック・リム』に出演したギレルモ・デル・トロ監督の盟友達。監督と俳優の熱い絆

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独自の世界観でロボット映画のクラシックに

作品を支えた個性溢れる俳優たち

2013年に公開された『パシフィック・リム』は、中国を始めアメリカ国外で驚異的なヒットを記録。オリジナルSF映画としては久しぶりの大ヒット作品の登場となった。2018年4月には、続編の『パシフィック・リム アップライジング』が公開され、10月11日にDVD&ブルーレイが発売される予定だ。一作目でメガホンを取ったのは、ギレルモ・デル・トロ監督。日本の特撮・アニメに強い影響を受けたデル・トロ監督の演出も、とりわけ日本国内では大きな話題となった。シリーズを通して登場した日系の出演者たちの活躍については、「『パシフィック・リム』シリーズに登場した日本人出演者たち。監督との絆とバックグラウンドに注目」を参照して頂きたい。今回は、SF界に新たな金字塔を打ち立てた一作目で登場した個性的な面々にフォーカスしたい。特撮アニメから飛び出してきたようなキャラクターを演じ、パシフィック・リムの世界観を作り上げたハリウッド俳優の姿に迫る。

パシフィック・リムにヘルボーイが登場?

闇商人を演じたベテラン俳優

『パシフィック・リム』の出演者の中で、最初に取り上げるべき俳優は誰だろうか。デル・トロ監督のファンであれば、真っ先にロン・パールマンの名前を挙げるだろう。パールマンが同作で演じたのは、香港で怪獣のボディパーツを売買する闇商人。独特の恐ろしさを持つ、いわゆる裏の世界の人間として登場し、ベテラン俳優としての存在感を見せつけた。1987年に米国で放送を開始したテレビドラマ版「美女と野獣」の『Beauty and the Beast』(tもに1987-1990)では、「野獣」のヴィンセントを演じた。パールマンは同作で、ゴールデングローブ賞の男優賞(テレビドラマ部門)を受賞している。

近年ではアメリカで大ヒットしたテレビドラマ『サン・オブ・アナーキー』(2008-2014)にも登場。SF映画では、『エイリアン4』(1998)や有名RPGが原作の『ミュータント・クロニクルズ』(2008)に出演。『エイリアン4』では宇宙船ベティの保安員を演じており、まだ若々しいパールマンの姿を拝める。

デル・トロ監督との最強タッグ

そんなロン・パールマンだが、実はデル・トロ監督の盟友としても知られる。彼の映画俳優としての名声を決定的にした作品が、2004年に主演を務めた『ヘルボーイ』だったのだ。デル・トロ監督にとって『ブレイド2』(2002)に続くアメコミ作品の実写化映画。パールマンは「野獣」に続いて「悪魔」である主人公のヘルボーイを演じたが、驚くほどのハマり役として話題に。続編の『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』(2008)でもデル・トロ監督とタッグを組んでいる。デル・トロ監督は、ヘルボーイ役はパールマン以外には有り得ないと考えており、「ヘルボーイ3」の構想について言及した際には、原作者のマイク・ミニョーラとロン・パールマンと話し合うとツイートしている。

こうした盟友関係を考えれば、デル・トロ監督が、満を持して自身の愛するカルチャーを詰め込んだ『パシフィック・リム』にパールマンを呼び寄せたのも頷ける。パールマンは2018年4月で68歳を迎えたが、次はどのデル・トロ監督の作品に登場するのか、楽しみにしておこう。

新たな盟友へ。波に乗るチャーリー・ハナム

「怪獣を倒して世界を救うんだ! やりたい?」

逆に、『パシフィック・リム』を通して、デル・トロ監督との盟友関係を築きつつあるのが、主演を務めたイギリス人俳優のチャーリー・ハナムだ。『パシフィック・リム』出演時は33歳。前述の『サン・オブ・アナーキー』で主演を務めながらの撮影であった。映画では『Nicholas Nickleby』(2002)、『The Ledge』(2011)、『3,2,1… Frankie Go Boom』(2012)で主演を務め、SF映画では『トゥモロー・ワールド』(2007)に出演していたが、ハナムにとってSF映画での主演は『パシフィック・リム』が初。そんなハナムだが、デル・トロ監督からオファーを受けた時を振り返って、CineMovieで以下のように語っている。

「(デル・トロ監督は)ヘーイ、カモーン! ロボットを操って巨大怪獣を倒して世界を救うんだ! ヒロインも決まってるよ! やりたい?」って感じだったんだ(笑) 僕は「はい」って(笑)「もちろんやります、ありがとうございます」って言って、それからは台本も読まなかったよ。監督と2時間話しただけだよ。それでギレルモとなら何でもやろうと思ったんだ。

by チャーリー・ハナム


菊地凛子に対して優しく演技指導を行った姿と重なって見えるのではないだろうか。権威を振りかざし、恐怖心につけ入るのではなく、あっという間に出演者と信頼関係を築いてしまえるのは、デル・トロ監督の才能だろう。

映画俳優としてブレイク。デル・トロ監督の俳優を見抜く力

ハナムは、『パシフィック・リム』公開の2年後には、デル・トロ監督の『クリムゾン・ピーク』(2015)に出演。主人公イーディスの幼馴染アラン・マクマイケルを演じた。パールマンのように、デル・トロ監督との盟友パターンを継承したと言える。その後ハナムは、『キング・アーサー』(2017)でアーサー王を、『Papillon』(2017)でアンリ・シャリエールを演じるなど映画俳優としても波に乗っている(ハナムが多忙になった影響で、『パシフィック・リム アップライジング』への出演が叶わなかったのは残念なことだが)。パールマンのヘルボーイ役への抜擢もそうだが、デル・トロ監督の優れた俳優を見抜く力量と、出演者との間に築き上げる信頼関係が、これからも良質な映画を生み出す原動力となっていくだろう。

VG+編集部

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