より良い未来を目指して Kaguya Future 2026発表!
SF企業VGプラスより、〈Kaguya Future 2026〉を発表します。〈Kaguya Future〉は、SFにまつわる活動をしている人を対象とし、よりよい未来をまなざして活動している人やその人の取り組みを広く世の中に紹介するプロジェクトです。
毎年一回、前年の1月〜12月に発表された作品や実施されたプロジェクトの中から、社会に存在する問題や不公平、不正義に目を向け、それを解決したり改善したりするために行われている活動や、あるいは道を切り拓いて希望や展望をもたらす活動を取り上げ、その作品やプロジェクトを制作・実行した人を紹介します。紹介にあたっては、自薦・他薦問わず、広くエントリーも募集しています。Kaguya Futureについての詳細はこちら。
Kaguya Future 2026 発表!
Kaguya Future 2026として、雑誌『jem』の主催をしている木村夏彦さん、作家の藤井佯さんを紹介します!
木村夏彦
一九八六年生まれ。慶應義塾大学文学部英米文学専攻卒業。英語教師、『jem』主宰。『群像』二〇二五年五月号に「蘇生と時差」、『カモガワGブックス』vol.4に「21世紀の残雪、のための」などを寄稿している。
日本語文学の海外普及と、海の向こうの文学の紹介を二本の柱に据えた文芸誌『jem』を主催しているのが木村夏彦だ。二〇二四年に刊行された『jem』vol.1の特集は「未来視する女性作家たち」だ。そして二〇二五年刊行の『jem』vol.2は『「世界の中の日本文学」の現在』を総力特集として掲げ、アラビア語、インドネシア語、ポーランド語、フィンランド語、フランス語、英語、中国語(簡体字)という七語圏についての日本文学の受容状況に関する論考を一挙掲載している。
王谷晶『ババヤガの夜』(The Night of Baba Yaga/翻訳:Sam Bett)が英国推理作家協会(CWA)のミステリー文学賞「ダガー賞」の翻訳部門を受賞するなど、海外における日本文学の人気は昨今多く報じられている。一方でそうした記事の多くは、木村が『jem』vol.2「まえがき」で指摘しているように、英語圏という限られた地域のみを扱う傾向がある。海外において日本文学がどのように受容されているのかを知ることは、その国や地域でどのような作品が求められているかを知ることでもあり、また、日本語圏とは違う読解や新しい可能性を知るきっかけとなることもある。収録されている論考は専門的な知識を有する国内外の研究者や翻訳家によるもので、資料的な価値が高く、今後も広く活用されることが期待できる。
また、小特集〈覚醒する韓国SF〉に掲載されているイ・ジヨンの論考「韓国SF―ジャンルの固有性と現代的テーマ意識」では、韓国SFがどのように固有性を獲得し、発展してきたのかという一九九〇年代以降の流れを社会との関連が包括的に論じられている。言及されている書籍は現時点では未邦訳のものが大半だが、韓国SFの変遷を知ることは日本のSFのあり方を考えていく上でも参考になるだろう。
『jem』vol.2の制作にあたっては、継続可能な形で刊行することを目指してクラウドファンディングが行われ、目標額の一六七%を集めた。『jem』vol.3の刊行についてはまだ公式からは発表されてはいないが、書籍の企画・編集という役割の大半を一人で担っている木村に心からのエールを送りたい。
藤井佯
一九九七年生まれ。「鳥の神話を伝えます」をコンセプトに小説を書く作家。二〇二四年、「砂に刻まれるものたちへ」で第3回星々短編小説コンテストの佳作を受賞。「幽玄の惑星」で第2回カモガワ奇想短編グランプリの優秀賞を受賞。文芸サークル〈反-重力連盟〉の連盟員。
作家の藤井佯と藤井の主催するレーベル「鳥の神話」は、広義での「周縁化された存在」に目を向け、そのような立場から発信を続けてきた。二〇二四年には何らかの意味で地理的な/心理的な故郷を喪失したと感じている者たちによる『沈んだ名 故郷喪失アンソロジー』を企画・編集し、自身も寄稿している。このアンソロジーには、全十三編の小説・エッセイと、それらをふまえて書き下ろされた藤井の論考が収録されており、災害、戦争や殺戮、あるいは時代の変化や抑圧された経験などによって引き起こされた、安心や安全と結びついた故郷の喪失を、あくまで個人の経験や実感に立脚して表現している。ときに取りこぼされがちな故郷の喪失という経験をアーカイブし、さらなる語りへの触媒となるようなアンソロジーだ。
二〇二五年には、自身の初の短編集となる『見習い鳥卜』を刊行。SF・ファンタジー作品を中心に鳥たちの物語が並ぶ。自閉スペクトラム症であることを公表している藤井だが、この短編集では、非定型発達者をはじめとして、既存の文学の中では自分のために書かれたと感じる小説と出会うことが難しい人々、あるいは人間中心主義に疑問を抱いている人々に向けて執筆されたそうだ。
二〇二六年には、文芸即売会「辺境有機体」の開催を予定している。「辺境有機体」は企画のコンセプトとして「より多くの読み手にリーチするべき問題意識や洗練された思考が体現されているにもかかわらず、取りこぼされており、まだまだあるべき場所へ届けられる余地のある文芸作品をキュレーションして提示し、それらの真価を問いかける」ことを掲げている。昨今、即売会の増加や大規模化が進んでおり、また書き手が作品を直接読者に届ける方法が多様化している。「場」をつくるキュレーターの役割がますます大事になっていく中で、「辺境有機体」は注目のイベントだ。
フィクションを掲載する媒体、フィクションの内容、そしてそれをどのように届けるのかという手段。文芸をより多くの人に開いていくためには、それぞれの層における取り組みが必要だ。藤井と「鳥の神話」のこれからの活躍やさらなる飛躍にも期待したい。
木村夏彦さん、藤井佯さんによるコメントと、齋藤隼飛さんによる2025年の振り返りを掲載した『Kaguya Planet No.8 小さなオブジェ』は、Kaguya Booksから好評発売中! 公式オンラインショップやKindleで購入することができます。
Kaguya Future
対象となる人:広義でのSFに携わっている人
※作品を制作している人・作品制作の過程に携わっている人・紹介する人など、関わり方は問いません。
対象となる業績:前年の1月から12月発表された作品・行われたプロジェクト・受賞歴等
※作品やプロジェクトは、前年に開始/完結している必要はありません。また、制作・実行した人がSFに携わっている人であれば、作品やプロジェクトがSF/SFに関するものである必要もありません。
選考方法:VGプラス合同会社のメンバーが、対象となる業績をもとに、総合的に判断する
※選出する人の人数は1人〜5人程度を目安とします。
選考基準
①新規性…プロジェクトの制度や設計、書籍の刊行形態などにおいて、従来の慣行を打ち破り、後進に希望を与えるような方法を見つけている。あるいはそれを目指して模索している。
②社会性や政治性……理念や問題意識が不正義の是正や問題解決、より良い未来に寄与していると考えられる。
③今後への期待……持続可能であり、今後のさらなる発展が見込まれるか。あるいは、社会に対する長期的な影響が見込まれる。
『Kaguya Planet No.8 小さなオブジェ』好評発売中!
『Kaguya Planet No.8 小さなオブジェ』にて、Kaguya Future 2026のメンバーと活動を紹介しています。『Kaguya Planet』は、Kaguya Future を主催するVGプラス合同会社が刊行しているSFのマガジン。毎号テーマを決めてSF短編小説やブックレビューを掲載しています。No.8のテーマは「小さなオブジェ」。
『Kaguya Planet No.8 小さなオブジェ』には、木村夏彦さんと藤井佯さんの紹介に加えて、お二人からのコメントと、バゴプラのライターの齋藤隼飛さんによる2025年の振り返りを掲載しています。
『Kaguya Planet No.8 小さなオブジェ』
あみぐるみ、スノードーム、ウサギのランプ、根付…….すぐそばにある小さなオブジェたちは、ただ可愛いだけの存在ではない。ときに人間に働きかけ、ときに人間が世界と関わる媒介になり、ときに少し不気味で、ときに人間が世界を解釈する手助けをしてくれる。そして何よりも、そのオブジェたち自身が生き生きとしている。そんなオブジェたちをめぐる特集です。
⚫︎小説
千葉集「ねつけない夜」
御守ミコ「白練」
吉野雪音「ウサギ列車」(解説・秋永真琴)
ピーター・トライアス「静岡の夢」(訳・鬼塚大輔)
⚫︎ブックレビュー/コラム
井上彼方「小さなオブジェに命が宿る」
佐伯真洋「関係性を修復する小さなモノ」
正井 チョン・ボラ『呪いのウサギ』訳・関谷敦子 レビュー
⚫︎PICK UP
100文字小説 with アサンプション国際高等学校
「OiC校内展示会」Kaguya Books賞
Kaguya Future 2026
⚫︎VGプラスの活動報告
サイズ:A5
ページ数:110ページ
一般価格:2200円(税込)
ISBN:978-4-911294-13-0
SF企業VGプラスとは
SF企業VGプラスは、SFにまつわる様々な事業を行っている会社です。月間PV数270万のウェブメディアVirtualgorilla+(バゴプラ)、SFのウェブマガジンKaguya Planet、そしてSF書籍のレーベルKaguya Books等を運営しています。
バゴプラでは、映画・ドラマ・小説・ゲームなど、さまざまなジャンルのSF作品の紹介記事や考察記事を毎日配信中。Kaguya Planetでは、珠玉のSF短編小説を毎月掲載しています。また三ヶ月に一回、マガジン『Kaguya Planet』を刊行。Kaguya Booksでは、「SFをもっと」を合言葉に、《地域SFアンソロジー》シリーズや、『日韓SF交換日記 あなたの言葉を聞くための対話』、『外来種がいなくなったらどうなるの? SF思考で環境問題を考える』など、さまざまな切り口でSFを楽しめる書籍を刊行しています。
