『今際の国のアリス』シーズン3配信開始
麻生羽呂の人気漫画を実写化したドラマ『今際の国のアリス』(2020-) より、待望のシーズン3が2025年9月25日(木) よりNetflixでの独占配信を開始した。原作漫画で描かれた物語はシーズン2で完結しており、シーズン3ではドラマオリジナルのストーリーが描かれる。
『今際の国のアリス』の見どころといえば、“今際の国”で繰り広げられる生死をかけたデスゲームだ。今回は、シーズン3に登場した“げぇむ”の内容をネタバレありで解説&考察していこう。以下の内容は重大なネタバレを含むため、必ず本編をNetflixで視聴してから読んでいただきたい。
以下の内容は、ドラマ『今際の国のアリス』シーズン3の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『今際の国のアリス』シーズン3のゲームをネタバレ解説
シーズン3に登場した7つのゲーム
『今際の国のアリス』シーズン3には、合計7つのゲームが登場した。『今際の国のアリス』シーズン3の舞台は、シーズン2で“国民”となったバンダが運営する今際の国で、登場するゲームはこれまでのようなトランプのマークと数字が割り振られていない。
さらに参加するゲームを自由に選ぶことはできず、主人公アリス達はトーナメント形式で順にゲームに挑戦していくことになる。参加者は全員過去に今際の国から生還したプレイヤーたちで、今回は“ジョーカー”のカードを招待状として受け取っている。『今際の国のアリス』シーズン3のゲームは全て「難易度:ジョーカー」のゲームと考えていいだろう。
7つのゲームの内訳は、アリスが挑戦した1回戦の「おみくじ」、ウサギとリュウジが挑戦したもう一つの1回戦の飛んでくるレーザーを避けていくゲーム(名称不明)、2回戦の「ゾンビ狩り」、3回戦の「暴走でんしゃ」、アリス側のセミファイナル「かんけり」、ウサギ側のセミファイナル「東京びんごたわー」、ファイナルの「ミライすごろく」だ。ここからは、それぞれのゲームのルールと特徴を解説&考察していこう。
原作にもあった「おみくじ」
『今際の国のアリス』シーズン3で今際の国に舞い戻ってきたアリスが最初に挑戦する「げぇむ」が「おみくじ」だ。プレイヤーは順番におみくじを引いていき、引いた運勢に応じた難易度のクイズが出題される。クイズはいずれも数字を答える内容になっており、答えの誤差の分だけ火の矢が飛んでくるというルールだ。
「おみくじ」は原作漫画の第1巻でアリス、カルベ、チョータ、シブキが挑んだ作中で初めて描かれる「げぇむ」だった。ドラマ版ではプレイヤーの数がかなり増え、参加者達は次々と火矢に貫かれて死んでいく。
一見、知能型の「♦」のゲームのように思えるが、実は原作ではバランス型の「♣」のゲームで、必ずしもクイズに正解しなければならないということではない。おみくじを10回引いて、飛んでくる火矢から逃げ切ることができればゲームクリアとなる。
アリスはここで、最初の案内で述べられたように、「おみくじのに書かれている内容を正確に読み解く」ことが大事だということに気がつく。おみくじには「西は悪し」など、運勢の悪い方角が記されており、その方角は矢が飛んでくる方角と一致していた。
大吉のくじはテツが捨ててしまっていたが、それ以外のプレイヤーが覚えていた悪い方角の中に「北西」がなかったことに気がついたアリスは、北西に逃げ道があることを見抜く。「おみくじ」は死者が出ること以外はおおよそ原作漫画通りの展開を迎えている。
心理戦の「ゾンビ狩り」
アリスが行き着いた二つ目のゲームは「ゾンビ狩り」。こちらはドラマオリジナルのゲームで、おそらくカタカナと漢字が混ざったタイトルのゲームはシリーズで初めてになる。
ゾンビ狩りはのルールはちょっと難しい。ざっくり説明すると、プレイヤーは7枚のトランプのカードと共に、相手を感染させる「ゾンビ」のカード、「ゾンビ」を殺せる「ショット」のカード、「ゾンビ」を人間に戻せる「ワクチン」のカードを持ち、1対1で対戦していくという内容だ。
カードでの対戦では、プレイヤーは手札から同じ記号のトランプを出し、数字を足した数が大きかった方が勝利、負けたプレイヤーは相手にカードを一枚譲渡する。20ターンの間に手持ちのカードがなくなればゲームオーバーになる。そして20ターンを終えた時点で、ゾンビと人間、数が多かった方が勝ち上がりというルールになっている。
「ゾンビ狩り」には四つのグループが参加しており、ゾンビは各グループに一人だけ、つまり最初は4人しかいない。ショットカードは一人一枚、ワクチンカードはランダムに配られる。ワクチンは何枚あるか分からないが、一度しか使えない。一方でゾンビは際限なく増殖させることができるため、ゾンビが増えやすいという絶妙なゲームバランスを実現している。
ここでキープレイヤーになったのが新キャラのレイだった。レイは、グループ内でゾンビになった人に必ずワクチンカードを使うことを約束する「信頼のバリケード作戦」を提案。ゾンビは人間を殺せず、ゾンビだけがショットによって殺されるリスクがあることを利用し、ゾンビを増やしたい人間がグループに近づけないようにしながらゾンビを減らしていくという作戦だ。
レイは自らがゾンビであることを明かし、人間がいつでも殺せる存在であることを認めさせつつ、同時にワクチンを持っていると宣言して利用価値があることも認めさせる。弱みと強みを見せることで信頼を得たのだ。
だが次第に人間は防衛から侵略に転じて、積極的にゾンビを狩るようになり、ゲームに恐怖が広がっていく。しかし、レイはそれすらも見通していた。人間は簡単にゾンビになった人間を殺すことができず、相手を治す「ワクチン」も貴重であるが故に使用を躊躇う。一方でゾンビになった人間はリスクがないため「ゾンビ」カードを使ってゾンビを増やしていく。理論上、ゾンビは指数関数的に増殖していくのだ。
人間がそれを止めるためには、非情に徹してゾンビを殺していくしかない。指数関数の理屈通りゾンビの増殖が勝つか、人間の非情が勝つか。実は、レイは宣言に反して「ゾンビ」のカードを持っておらず、故に「ショット」で殺されることがないため、ギリギリまで人間とゾンビどちらが勝つかを見極めようとしていた。「勝ち馬に乗る」というやつだ。
だが、実はアリスは最初からゾンビで、レイの作戦を見抜くと、ゾンビの数が拡大している中でレイが生き延びるためにレイをゾンビにしてあげる。グループ内の全員を騙すダークさを持ちながら、他者を助けようとするアリスらしさが光る。
最後にはゾンビが多数派となり、アリス、レイ、テツ、ノブ、サチコ、カズヤらが勝ち抜け。実際のところ「ゾンビ狩り」は全員が大人しくゾンビになることで全員での勝ち抜けが可能であったように思える。「ゾンビ狩り」というゲーム名と、最初の案内の「ゾンビの増殖を防ぎましょう」という呼びかけ、ゾンビに対するネガティブなイメージ、そしてゾンビだけが撃ち殺されるリスクがあるという条件によって、プレイヤーが“人間”であることに固執することになったのだ。
このことから、「ゾンビ狩り」はトランプの記号に当てはめるなら心理型の「♥」だと予想できる。
レーザー避けゲーム(名称不明)
おそらくウサギにとっての2回戦だと思われるレーザーを避けて進むゲームは、ほとんど工夫の余地がない肉体型、「♠」タイプのゲームだ。車椅子に乗るリュウジは、他のプレイヤーよりも低い姿勢でいられるという利点はある。低い位置で飛んでくるレーザーや斜め向きのレーザーもあるが、地を這うようなものはないため、リュウジはやや有利になっていると言える。
一方で、リュウジが死体につまづき車椅子から落ちると、ウサギの助けを借りることに。二人はレーザーが出てくるタイミングを見切ってこのゲームをクリアしている。
原作から改変された「暴走でんしゃ」
3回戦目はアリス、ウサギ&リュウジは共に「暴走でんしゃ」のゲームに挑む。酸素ボンベを与えられ、毒ガスが出てくるかもしれない電車の車両を進んでいくというルールは、原作漫画でシブキが挑戦した「♥2」のゲームをベースにしている。ドラマ版でもシーズン1第2話でシブキはアリスらと会う前に「地下鉄で毒ガスを使ったゲーム」をクリアしたと言っていた。
「暴走でんしゃ」では8つの車両のうち4つの車両で毒ガスが出てくるが、毒ガスから生き延びるためのボンベは一人5本しか与えられない。原作では4つの車両に対して3つの酸素ボンベが与えられ、毒ガスが出てくる車両は一つだけとなっていた。
ドラマ版では、毒ガスが出てくる車両で予想を外せば一発で死を迎えるが、酸素が出てくる車両では1回だけ予想を外せるという絶妙な設定になっている。故にプレイヤーはボンベを使う方に誘導されてしまうのだ。
原作の毒ガス電車のゲームは心理型の「♥」のゲームであり、最後の車両までボンベを使わなかった人が生き延びるというオチが待っていた。つまり、原作では生に執着した者が死に、死んでもいいと思っていたシノブが生き延びるという意地の悪い仕掛けになっていたのである。
『今際の国のアリス』シーズン3では死に向かっていくリュウジとウサギがこのゲームに挑戦していたため、同様の展開が待っているかと思われたが、意外にも酸素ボンベが足りなくなったところで他の車両に飛び移りフィジカルでクリアするというオチになっていた。「生に固執する者が死ぬ」という原作のアイデアは個人的に好きだっただけにやや残念ではあるが、原作読者でも展開が読めないように工夫したというところだろうか。
ウサギの十八番「東京びんごたわー」
ウサギ側のセミファイナルはドラマオリジナルの「東京びんごたわー」。東京タワーを舞台に、タワーの鉄骨に設置されたボタンを押すとビンゴカードの数字が埋まっていき、一列をそろえたらゲームクリアというルールだ。また、東京タワーの最頂部にはビンゴの真ん中を開けることができる「FREE」のボタンがある。
ロッククライマーであるウサギが本領を発揮できるゲームだが、ブザー音の後に鉄球が上空から降ってくるという要素もあり、普通の人にとってはかなりきついゲームだ。堂々の肉体型、「♠」のゲームである。
そう考えるとシーズン3でウサギが挑んだゲームは「レーザー(仮)」「暴走でんしゃ」「東京びんごたわー」と、いずれもフィジカルでクリアできるようになっていた。ウサギとリュウジがファイナルに進めるように、バンダが仕組んだ結果だろうか。
チームプレイが求められる「かんけり」
アリス側のセミファイナルもドラマオリジナルの「かんけり」で、その名の通り缶蹴りという日本の遊びをベースにしたゲームとなっている。飛んでいく缶を最初に設置されていた場所に戻して踏むと、そのプレイヤーはゲームクリアとなる。
缶は10個用意されており、最大で10人が勝ち抜けられる。しかし、缶はプレイヤーが持っている間はカウントダウンが進み最後には爆発してしまうため、その前に缶を元の場所まで運ばなければならない。
缶はプレイヤーによる奪い合いになり、時間制限が来て缶が爆発すると誰もクリアできないまま共倒れになってしまう。アリスが「単独で行動しても勝ち目はない」と指摘するように、仲間のプレイヤーがグループ外のプレイヤーを抑えている間に缶を運ぶという戦略がゲームクリアに必要になる。「かんけり」は肉体型の「♠」に見えて、仲間との協力が必要なバランス型、「♣」 のゲームだと言える。
アリスたちは「かんけり」で、アメフトやラグビーのように仲間同士で缶をリレーしてゴールを目指す。このゲームではアリスは負傷していたが、それまでの3つのゲームでみんなを助けていた分、グループのメンバーから助けを得てゲームクリアに成功している。
難しすぎ? 最後の「ミライすごろく」
『今際の国のアリス』シーズン3のファイナルゲームである「ミライすごろく」は、ドラマオリジナルのゲームだが、ポイントが割り振られて首輪と腕輪をつける、今際の国らしいゲームとなっている。
「ミライすごろく」では、縦横5部屋ずつ、計25部屋の空間で、サイコロを振って出た数字の人数だけ隣接する部屋へと進む。人数からあぶれた人はその部屋にSTAY=残らなければならず、STAYを解除するためには他の二人のプレイヤーがその部屋を挟む位置に移動する必要がある。
各プレイヤーには15ポイントが振り分けられるが、ドアを通るためには誰かが1ポイントを消費しなければならず、STAY時にはターンごとに1ポイントがマイナスされる。また、ポイントが大幅に引かれる部屋も存在する。ポイントが0になるとゲームオーバー、15ターン以内にポイントが残った状態で出口のある部屋に辿り着けばゲームクリアとなる。
問題は、各部屋の壁にプレイヤーの未来の映像が映し出されるということだ。そして、ゲーム説明では選んだ道の壁に映し出されていた未来は「本当に起こる未来」だとアナウンスされる。
つまり、プレイヤーたちは出口を探すためにチームとして協力しながら、自分の未来を選択することを迫られる。後の展開を見るに、どうやら「本当に起こる未来」というのは嘘だったようだが、心理的な揺さぶりをかけるには十分な要素だ。ゲームタイプは明らかに心理型の「♥」である。
「できるだけ固まって動き、出口である可能性が高い角部屋をチェックする」というグループの方針の一方で、プレイヤーたちは自分が実現させたい未来を優先して部屋を進んでいってしまう。それはつまり欲望と将来への不安に飲まれているということなのだが、中でもリュウジは「未来を考えなくていいのか」と理屈をつけて正当化してしまっている。理屈で正当化された欲望ほど厄介なものはない。
その一方で、死ぬつもりで今際の国に来たリュウジだったが、ウサギと再会し、自分の研究が認められる未来を見たことで、自分が生き延びる未来について考えることができたことも確かだ。その後、生き延びて現世に帰ってきた面々が他者と向き合って前向きに生きている様子を見ると、「ミライすごろく」で参加者たちが未来について考えることは、今後の人生を生きていく上で必要なプロセスであったようにも思える。
「ミライすごろく」では、イツキとテツが死亡。イツキは妹ユナが結婚する未来を優先して集団行動から外れてしまい、マイナスポイントが重なってしまった。テツはいずれも薬物中毒から戻れない映像が出て次の部屋に進むと、そこはマイナス4の部屋で、パートナー・ユキコの映像を見て「変われるよ」と誓ったが、成功者になった映像と女性の幻覚を見て進んだ部屋がマイナス8で、首輪が爆発して死亡している。
一方で、レイはアリスが「ゾンビ狩り」でレイをゾンビにしてくれたお礼として、アニメーターになる夢が叶う未来を保留してSTAYを選ぶなど、協力プレーを実現。イツキが死に錯乱状態にあったユナも最後には自分のポイントを差し出しており、生き残った全員でクリアするために協力している。
最後は、腕輪の移行が許されたシーズン2の「すうとり」をヒントに、アリスらはウサギのお腹の中の子どもの分の腕輪を活用。ウサギは残り2ポイントしかなかったが、7ポイント残っていた子どもの腕輪だけをマイナス5ポイントのA2の部屋に置き、サチコのSTAYを解除。ウサギはA3の部屋に自分の腕を残したまま足を伸ばしてA2の部屋から子ども腕輪を回収する。
ウサギはマイナス8ポイントのA3の部屋にいたため、A2から子どもの腕輪をA3に戻すと子どもかウサギのポイントがマイナスになるところだった。しかし、10ポイントを残していたユナがA4からA3に入り、子どもとウサギの代わりにマイナス8ポイントを請け負う。
ユナはすぐにA4の部屋に戻り、リュウジが車椅子で扉を止めるというパワープレイを見せている間にウサギもA4まで移動。これを1ターンの間にやる必要があったのは、この時点で第13ターンであったため、ウサギたちがそのままA3に残っていると、A5の部屋の出口から出るまでのターンが足りなくなってしまうからだ。第15ターンまでにA5の壁の出口から出る必要があったため、第14ターンでA5に入る必要があったのだ。
「ミライすごろく」はこの辺りの説明が少ないため、混乱したり難しいと思ったりする人も多かったはずだ。大事な点は、提示された未来がどうであれ、目の前の仲間と知恵を絞って協力し、前に進んでいくこと——このゲームはそれを理解した者がクリアできる仕組みになっていたのではないだろうか。
以上が、ドラマ『今際の国のアリス』シーズン3で描かれた7つの「げぇむ」である。やや難解なルールのゲームと、フィジカル特化のゲームが多かった印象だ。皆さんはどのように『今際の国のアリス』シーズン3のゲームを観ただろうか。
ドラマ『今際の国のアリス』はシーズン3までがNeflixで独占配信中。
ジョーカーを司る番人が登場する『今際の国のアリス』最終巻の18巻は発売中。
続編『今際の国のアリス RETRY』も発売中。
スピンオフ兼続編『今際の路のアリス』は全8巻が発売中。
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