余貴美子&オダギリジョー『妖怪、化物をひろう』東京国際映画祭で世界初上映 金門島ロケの舞台裏や製作の経緯を語る | VG+ (バゴプラ)

余貴美子&オダギリジョー『妖怪、化物をひろう』東京国際映画祭で世界初上映 金門島ロケの舞台裏や製作の経緯を語る

『妖怪、化物をひろう』東京国際映画祭で世界初上映

2026年10月28日(水)、第39回東京国際映画祭のコンペティション部門に選出された映画『妖怪、化物をひろう』のワールド・プレミア上映が東京・有楽町のヒューリックホール東京で開催された。上映前の舞台挨拶には、池田暁監督、主演の余貴美子、共演のオダギリジョー、白石隼也、チェン・シュウテイン、ウエン・ユウミン、プロデューサーのチュウ・ヨウニン、小坂史子の8名が登壇。上映後には池田監督、余、オダギリによるQ&Aが行われ、観客からの質問に答えながら製作の舞台裏を明かした。

『妖怪、化物をひろう』は、『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』(2020)などで知られる池田暁監督が手がけた日本・台湾合作映画。1996年にロシアで起きた、老婦人が異形の赤ん坊を拾って育てたという出来事から着想を得たヒューマンドラマだ。

物語の舞台は、かつて大きな嵐に襲われた小さな村。“ワンズ”と呼ばれる焼き団子を売りながら孤独に暮らす老婦人タエ(余貴美子)は、ある日、雑木林の中で異形の赤ん坊を拾う。タエは赤ん坊をハルと名付けて育て始めるが、町の人々はその存在を化物と恐れ、タエとハルは居場所を追われていく。共演には、オダギリジョー、リウ・グァンティン、リオ・ワン、きたろう、片桐はいり、白石隼也、佐藤菫らが名を連ねる。

上映前の舞台挨拶では、池田暁監督は「どの映画も一緒かもしれないんですが、このまま止まってしまうのか、終わってしまうのかということも何度かあって、それでもこうして完成してこの東京国際映画祭で上映されること、とても光栄に思います」と挨拶した。

主演の余貴美子は、劇中に登場する赤ん坊の“ハル”を抱いて登壇。「今日は主役のハルも一張羅の着物を着てご挨拶に参りました」と一緒に挨拶した。

プロデューサーも務めたオダギリジョーは、「こういう珍しいタイプの映画を東京国際映画祭で上映してもらえることが嬉しいです」「ちょっと変わった映画ですが、皆さんが感じたことを広げて行ってもらえたら」と語った。

白石隼也は、本作が「村社会」を描いた作品とした上で、ハルのような「愛でる存在」を見つけていくことが、「退屈な日常をいかに面白く生きるか、人間らしく生きるか」ということに重要なのではないかと語った。

舞台挨拶では、台湾から参加したキャストやスタッフも挨拶。チェン・シュウテインは北海道の旭川市に住んでいることを明かし、ウエン・ユウミンとともに本作への参加を喜び、観客に感謝を伝えた。また、台湾側の製作陣からは、本作を非常に個性的で特別な映画と紹介し、その根底にある人間の愛を世界中の観客に感じ取ってほしいという思いが語られた。

上映後のQ&Aでは、主人公タエが拾った奇妙な赤ん坊ハルも話題に。余貴美子は、初めてその姿を見た際には驚いたものの、撮影を通して次第にかわいらしく感じるようになったと振り返った。

ハルはCGではなく、実物のパペットを用いて撮影されている。現場ではパペットが非常に大切に扱われていたといい、余は自分よりもハルの方が丁重に扱われていたと冗談交じりに明かした。ポスターでもハルが大きく写っていることに触れ、会場を笑わせる場面もあった。

一方、俳優として出演するだけでなく、プロデューサーとしても本作に参加したオダギリジョーは、その経緯について説明。以前から1996年にロシアで起きた出来事について関心があり、興味深い題材になると感じたという。また、プロデューサーの小坂史子とは約20年前から交流があり、企画を持ちかけられた当初から関心を抱いていたことを明かした。

その後、池田監督の過去作品を鑑賞したオダギリは、その独特な映画表現に強く引き付けられたという。池田監督の作風について、小津安二郎監督の映画とスタジオジブリの作品を組み合わせたような映像体験と表現し、現代の日本映画では珍しいタイプの作品だと評価した。

さらに、こうした映画を現在の製作環境で実現することの難しさにも言及。自身は資金集めなどを直接担当したわけではないとしながらも、池田監督の才能を世の中に広めるため、プロデューサーという立場を通じて協力したいと考えたという。「僕を利用していただければいい」という思いで参加したと明かした。

撮影地となった台湾・金門島についても、観客から質問が寄せられた。本作では日本語と中国語など複数の言語が混在し、どこの国とも特定できない不思議な世界が描かれている。池田監督によれば、脚本を執筆するにあたって、最初から「架空の場所、架空の時代」を表現したいと考えていたという。

当初は日本国内で理想の撮影場所を探していたが、小坂プロデューサーが金門島を紹介。島の写真を見た池田監督は、日本とも台湾の台北とも異なる独特な風景に引き付けられ、ここであれば架空の世界を描けると確信したという。劇中の言語についても、日本でも台湾でもない場所という設定を表現するため、約4種類の言葉を取り入れたと説明した。

また、映画に登場する印象的な建物について、現地に存在するものを利用したのか、撮影用のセットを建設したのかという質問もあった。これに対して池田監督は、劇中に登場する建物は基本的に金門島に実在するものであり、新たにセットを建設したわけではないと回答。室内を片付けるなどの調整は行ったものの、建物や部屋を含め、金門島にもともと存在するものを生かして撮影したと説明した。金門島に吹く強い風もそのまま撮影に活用したという。

さらに、劇中で登場人物たちが食事をする場面についても質問が寄せられた。観客からは、何を食べているのか分からない不思議な料理が印象に残ったという声が上がり、登壇者たちは撮影時の食べ物について振り返った。

その中では、当初、一本につながった長い麺を用意しようとしたものの、思うように用意できず、うどんのような太い麺になったという裏話も披露された。登場人物たちが当たり前のように食べている奇妙な料理も、作品独自の世界観を生み出す要素となっている。

異形の赤ん坊と老婦人の交流を通じて、愛情や偏見、人間同士の関係を描く『妖怪、化物をひろう』。台湾・金門島の独特な風景を背景に、現実と幻想が入り交じる世界を作り上げた本作は、2026年12月25日(金)よりシネマート新宿、池袋シネマ・ロサほか全国公開予定だ。

『妖怪、化物をひろう』公式サイト

監督・脚本:池田暁
出演:余貴美子、ハル、オダギリジョー、リウ・グァンティン、トー・ツォンホワ、きたろう、片桐はいり
2026年/日本・台湾合作/日本語・中国語/108分/ビスタサイズ/カラー/5.1ch/英題:The Canary’s Lullaby
配給:ハーク 配給協力:フリック 映倫G ©2026 SHIMENSOKA Co.,Ltd. Oxygen Film Co., Ltd. All rights

VG+編集部

映画から漫画、ゲームに至るまで、最新SF情報と特集をお届け。 お問い合わせ

関連記事

  1. 【お前も署名するのだ】『ノスフェラトゥ』本編映像が公開 リアルさを追求したゴシック・ロマンスホラー 5月16日公開

  2. 『亀は意外と速く泳ぐ』リバイバル上映の舞台挨拶開催が決定 監督&キャストが登壇、8月8日テアトル新宿で開催

  3. 中国漫画『尸兄/ゾンビブラザー』米中合作での実写映画化に進展

  4. 終末後の世界が舞台のミュージカル映画『THE END』が12月12日公開 ティルダ・スウィントンら実力派キャストが集結