2005年放送の「心霊写真」
2005年8月23日に放送された『ほんとにあった怖い話』の「心霊写真」。山本耕史が主演を務め、『ほんとにあった怖い話』の番組制作の現場そのものを舞台にした異色のエピソードだ。心霊現象を信じていない番組スタッフが、恐ろしい写真を発見したことで怪異に巻き込まれていく。
今回は、『ほんとにあった怖い話』「心霊写真」についてあらすじと結末を振り返りながら、その内容を解説&考察してみよう。以下の内容は「心霊写真」の結末までのネタバレを含むため、必ず本編を視聴してから読んでいただきたい。
以下の内容は、『ほんとにあった怖い話』「心霊写真」の内容に関するネタバレを含みます。
『ほん怖』「心霊写真」ネタバレ解説
舞台は『ほん怖』の舞台裏
「心霊写真」の主人公・矢澤謙太(演:山本耕史)は、『ほんとにあった怖い話』のADとして働いていたが、謙太自身は番組で扱われる霊の何が怖いのか分からずにいた。謙太は、心霊現象は人間の空想だと言い切る。
本当は恋愛ドラマをやりたくてこの業界に入ったといい、謙太は怖くもないが楽しくもない、そんな日々を過ごしているようだ。周囲のスタッフは番組の題材を怖がりながらも、なんだか楽しそうではある。
お化け役のオーディションや厄除けで設置されている神棚など、『ほん怖』の制作の舞台裏が描かれる点も「心霊写真」の面白いところだ。そんな中、謙太が担当するのは、視聴者から寄せられた心霊写真の検証だ。
謙太は資料室で送られてきた手紙と写真に目を通していく。謙太は仕事で怪談や心霊写真を扱っているだけで、幽霊を信じないからこそ、眉唾な投稿を「指が映り込んでるだけだろ」等と言って簡単に切り捨てることができる。夜までかけていくつもの写真を確認した謙太は、最後に段ボールの底に残された一つの封筒を発見する。
写真の中の女性
謙太が最後に見つけた封筒には、手紙は入っておらず、複数の写真が入れられていただけだった。当初は何も写っていない写真ばかりかと思われたが、写真をめくっていくと、中心に女性の姿が現れ始め、パラパラ漫画のように白い服を着た女性がこちらに近づいてきているように見える。
『ほん怖』「心霊写真」の面白くも怖いところは、映像作品でありながら恐怖写真を題材として扱う上で、次に現れる写真がどうなっているのかという緊張感を抱かせてくる点だ。次の写真で女性の幽霊がどれくらい近くに来ているかというドキドキ感がたまらない。
「心霊写真」で漂う緊張感は写真の上だけではない。謙太が途中で部屋の窓を開けたため、窓の外に何者かがいるのではないかという不安もそれを後押しする。
ラストの意味は?
写真の中の白装束の女性がいよいよ近づいてきた時、謙太のいる部屋に風が吹き込み、写真が飛ばされる。落ちた写真を拾うと、そこには女性の姿はなかった。
しかし、窓の外を見ると、そこには白い服の女性が実際に立っていたのだった。そして、窓の外に広がる光景が、写真に写っていた場所と同じであったことが明かされる。
謙太は幽霊と思われる女性と対面したが、叫び声をあげたり怯んだりしない。ジッと女性のことを見つめている。翌日、謙太は「世の中には説明のつかない出来事というものも確かに存在するのかもしれません」と言い、神棚に手を合わすのだった。
『ほん怖』「心霊写真」ネタバレ考察
幽霊が現れた理由
『ほんとにあった怖い話』の「心霊写真」は、幽霊の存在を信じていなかった『ほん怖』スタッフの一人が、「説明のつかない出来事というものも確かに存在する」ということを認めるまでの話だった。
謙太は幽霊を信じていなかったこともあり、幽霊と思われる存在に遭遇しても主人公が怖がらないというのが「心霊写真」の特徴でもある。謙太はただ、自分が理解し得ないものも存在しうるという事実を自分の中で処理することで精一杯だったのかもしれない。
では、なぜあの幽霊は謙太の前に現れたのだろうか。ポイントは「心霊写真」の前半部分にある。上司から心霊写真の検証を行うよう言われた謙太は、両手で段ボールを抱え、資料室に伸びる階段の前にあった神棚を見た。
だがこの時、謙太はこの神棚に手を合わせなかった。そして謙太が振り返ると、背後で騒がしくしていたはずのスタッフたちの姿はなくなっていた。この時点で謙太は、別の空間に飛んだか、特殊な力が『ほん怖』の現場に働いたものと思われる。
つまり、謙太の前に幽霊が現れたのは、幽霊の存在を否定していたからではなく、幽霊も神も含む超常的な存在全てを軽んじていたからなのではないだろうか。結局、幽霊のような女性は謙太に何ら危害を加えることはなかった。そもそも謙太は幽霊を怖がらないので、精神的なダメージを受けたということもなさそうだ。
心霊現象ではなかった?
この心霊体験を経て、謙太に訪れた変化は、「説明のつかない出来事というものも確かに存在する」と考えるようになったことだ。ラストシーンで謙太はしっかり神棚に手を合わせるようになっており、神や霊を含む超常的な存在を信じるようになるには十分な経験であったことが窺える。
まとめると、謙太の前に現れた霊のような存在は、何かを呪っていたり、取り憑いていたりする類のものではなく、神が遣わせた精霊のような存在だったのではないだろうか。あくまで謙太が超常的な存在を認めれば任務は完了だったのだ。
「心霊写真」は、『ほん怖』のスタッフが『ほん怖』の心霊写真を調べるという番組制作の裏側を怪談の舞台にした異色作だ。一方で、いわゆる心霊・お化けという現象からは一捻り加えられているという点でも特殊な作品だったと言える。
『ほんとにあった怖い話』はFODチャンネル for Prime Videoで配信中。
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