ネタバレ解説『ほんとにあった怖い話』「死ねばよかったのに」ラストの意味は? 類似作を考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『ほんとにあった怖い話』「死ねばよかったのに」ラストの意味は? 類似作を考察

(C)フジテレビ

2004年放送の「死ねばよかったのに」

2004年1月10日に放送された『ほんとにあった怖い話』の「死ねばよかったのに」は、田中哲司が主演を務め、鶴田法男が演出、三宅隆太が脚本を担当したエピソードだ。田中哲司演じるタクシー運転手が山道で遭遇した怪異を描く。

今回は、『ほん怖』レギュラー放送の第1回で放送された「死ねばよかったのに」のあらすじと結末を振り返りつつ、ネタバレありで解説し、考察していこう。以下の内容は結末までのネタバレを含むため、本編を視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、『ほんとにあった怖い話』「死ねばよかったのに」の内容に関するネタバレを含みます。

『ほん怖』「死ねばよかったのに」ネタバレ解説

タクシードライバーの物語

『ほん怖』の「死ねばよかったのに」では、田中哲司演じるタクシー運転手の西村伸幸が、東京から乗せた長距離の客をおろし、静岡県伊東市から帰路につこうとしていた。伊東市は温泉地として有名だが、東京から伊東市まではタクシーで数万円になるはずだ。個人タクシーの運転手である西村は、思わぬ臨時収入に喜んでいる。

そんな西村の前に、一人の女性が現れる。不気味な空気を放つ女性だったが、西村はタクシーに乗せ、彼女の指示に従って車を走らせる。明らかに霊だが道を確認するとちゃんと頷いてくれるこの女性は、コミュニケーションが取れるタイプの霊であることが分かる。

タクシーを走らせていると、道は次第に険しくなり、周囲には人家も見当たらなくなっていく。不安になった西村は、後部座席の女に道が合っているのか確認しようとするが、バックミラーを見ると、先ほどまで座っていたはずの女性の姿は消えていた。

女性の姿が消えた直後、西村の前方に突然、開けた空間が現れる。西村が慌ててブレーキを踏み、車を停止させると、そこは車がそのまま進めば転落してしまうような崖の上だった。

危機一髪で死を免れた西村だったが、その耳元には女性の顔が近づいてくる。そしてその女性は、耳元で「死ねばよかったのに」と告げるのだった。意外と怖くない、良い声なのが印象的だ。

『ほん怖』「死ねばよかったのに」ネタバレ考察

類似作の原型になる作品

『ほん怖』の「死ねばよかったのに」は、わずか3分ほどの短編で、内容的にも王道の作品だ。『ほん怖』内でも類似作品として、坂上忍主演の「タクシードライバーは語る」(2016) が挙げられるが、そちらは約9分と「死ねばよかったのに」の3倍ほどの長さになっている。

「死ねばよかったのに」では、女性が運転手を崖から転落させようとしたことが、最後の一言によって明らかになる。一方、「タクシードライバーは語る」では、亡くなった娘が両親のもとへ帰ろうとしていたという切ない物語が展開されるが、運転手が亡くなった母親を思い出すと、霊は「私が会わせてあげる」とささやく。両作とも最後には霊が運転手を殺そうとするのだ。

他にも、「死ねばよかったのに」と同じく、三宅隆太が脚本、鶴田法男が演出を担当した「幽霊ドライブ」(2007) では、心霊スポットを訪れた若者たちが、山道で見知らぬ女性を車に乗せて不気味な現象に遭遇する。つまり、「死ねばよかったのに」は、3分という短い作品であるがゆえ、のちに展開される類似作品の原型となる立ち位置になっているのだ。

「死ねばよかったのに」では、女性の幽霊の正体やタクシードライバーの西村を狙った理由は説明されない。女性が幽霊であったことだけは、後部座席から突然消えたことと、その後「死ねばよかったのに」と言うために戻ってきたことで示唆されている。

女性がその場所で死亡した人物なのか、かつて同じような事故に遭った存在なのかといった背景は不明だ。そして、多くの設定が不明であるが故に、「タクシードライバーは語る」のようにより詳しい背景を付け加えた作品への展開が可能になる。

本作の特徴は、何も知らない運転手が乗せた客の指示に従ううちに、自らの命を危険にさらしてしまう点にある。西村にとって、乗客を目的地まで送り届けることは普段の仕事だ。しかし、その日常的な行為が死につながりかける。さらに、崖から転落する寸前に助かったことで安心する間もなく、「死ねばよかったのに」という声が聞こえてくる。

最後の言葉によって、もう一段階、「意図」という恐怖を与えるフォーマットを提示した本作。短い物語ながら、強烈な後味を残す怪談である。

『ほんとにあった怖い話』はFODチャンネル for Prime Videoで配信中。

『ほんとにあった怖い話』公式サイト

Netflix映画『僕の狂ったフェミ彼女』のミン・ジヒョン最新作『忘れないから、私たちは』は2026年11月1日、Kaguya Booksより発売。
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齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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