ドラマ『緊急取調室』シーズン5完結
『緊急取調室』は2014年に放送を開始した人気ドラマシリーズで、これまでに4シーズンとスペシャル2作が放送された。2022年には劇場版が公開される予定だったが、2度の延期を経て2025年12月26日(金) に公開されることが決定。『THE FINAL』と銘打たれた最終章へ向けて、ドラマのシーズン5も2025年10月から放送を開始した。
今回は、劇場版『緊急取調室 THE FINAL』の劇場公開直前に放送されたドラマ『緊急取調室』シーズン5の最終回第9話「蒼い銃弾」について、ネタバレありで解説し感想を記していこう。以下の内容はシーズン5の結末のネタバレを含むため、必ず本編を視聴してから読んでいただきたい。
以下の内容は、ドラマ『緊急取調室』シーズン5最終回第9話の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
ドラマ『緊急取調室』シーズン5最終回第9話ネタバレ解説&考察
ドラマ最後の事件は“教場”で発生
ドラマ『緊急取調室』シーズン5では、一度は解散した緊急事案対応取調班、通称“キントリ”に非常召集がかかって再運用されることになり、天海祐希演じる真壁有希子らが集結。真壁、梶山、菱本、小石川、そして玉垣のお馴染みのメンバーで事件を解決していく。
シーズン5がいつもと違う点は、警視庁副総監になった磐城ら上層部に長内洋次郎総理からの圧力がかかり、キントリは総理肝入りの事件の処理に奔走されることになる。そして長内総理こそ、劇場版『緊急取調室 THE FINAL』で取り調べの対象になる人物だ。
『緊急取調室』シーズン5第8話では、教場=警察学校で発砲事件が発生。生徒である宮本健太郎が同じく生徒の中里美波を撃ち逮捕されるが、事件の様子について他の生徒たちが一様に口を閉ざしていたこと、警察学校側が広角の映像の提出を拒否したことから、キントリは裏があることを嗅ぎ取ったのだった。
梶山が真壁にまさかの…!?
宮本が発砲時にSATの銃の持ち方をしていたことから、中山の対角線上にいたSAT出身の教官・滝川を狙ったのではないかという説が浮上。2022年の新春スペシャルでキントリに参加した生駒と酒井も加わった上、『緊急取調室』シーズン5最終回第9話では、滝川と同じ警備部にいた妻と共に山上も登場するオールスターキャストが実現する。
山上はシーズン4で登場した警官で、山上自身もシーズン4の前半は警備部の航空機警乗警察官だった。第7話からは刑事部の捜査一課で渡辺とコンビを組むことになった。山上の父は初代キントリメンバーの中田善次郎で、シーズン3前に演じていた大杉漣が逝去したことから、中田は警察を退職した設定になっている。
山上の妻によると、滝川はSATにいた時に部下が発砲事案の不祥事を起こし、責任をとって警察学校に異動になったという。滝川が根回しをして事件にならなかったが、不祥事を起こしたという部下の大山は交番へ異動になっていた。
一方、警察学校では映画『HAPPYEND』(2024) で主演を務めた栗原颯人が演じる教場長の伊丹学人が滝川のクラス内の統率を執り、キントリは状況を崩すことができない。そこで梶山は警察人生をかけて教官の滝川の聴取を行う許可を磐城和久副総監にもらいに行くのだが、シーズン5最終回最大の驚きの展開が待っていた。
梶山は真壁に、この聴取が失敗に終われば警察を辞職すると宣言。さらに「その時は一緒に生きていかないか」とまさかのプロポーズ。ついに、そして突然大きく動いた梶山×真壁のストーリー。真壁は「負け犬を引き受ける覚悟しとく」と応えたのだった。
ちょっと事件の印象が薄れてしまうくらいの衝撃の展開だ。むしろ梶山が退職して真壁家の家庭に入ってくれた方がみんな幸せになれるのではと思わないでもないが、やっぱり滝川の聴取と共にキントリは事件の真相へと近づいていく。
事件の真相
滝川の聴取の注目ポイントは、滝川が「国の未来を守る」と言う時、その“国”とは日本ではなく“滝川王国”を指しているという点だ。珍しく熱くなった玉垣はまっすぐに「日本の未来のために」と言うことで滝川の誤りを指摘している。
菱本と生駒、モツナベは警察学校の学校長に映像の提出を要求。犯罪を誤魔化すような真似を生徒たちにさせて良いのかと詰め寄ったことで、ようやく学校長は引きの映像を見せることに。そこには、宮本が滝川に銃を向け、それを庇った中里が足を撃たれたシーンが収められていたのだった。
この辺りのキントリの連携プレーがやっぱり見事。小石川は容疑者の宮本に、梶山は被害者の中里に会いに行ってそれぞれ話を聞き出す。ついに教場でも菱本の説得に応じた島田という生徒が供述を始める。
曰く、滝川教官は宮本から伊丹が拳銃を違法に購入したという告発を受けていたという。伊丹は射撃大会で優勝するために、射撃訓練以外の場所でも射撃の練習をしようと銃を手に入れていたのだ。伊丹の行動は銃を手に入れただけでも銃刀法違反であり、それを聞かされた中里は、真面目な宮本に伊丹を説得するように頼んだが、伊丹は説得を拒否。
宮本は教官の滝川に相談するが、伊丹が次期総代のエリートということもあったのだろう、あろうことか滝川は告発を揉み消し、むしろ同期を陥れようとしたとして宮本に退学を勧めたのだった。そして、父を殺された過去を持つ宮本は、最後に拳銃の怖さを教えてから死んでやると考えて滝川を狙い、自分が告げ口したと言えず宮本を追い詰めてしまった中里はそれを止めようとして撃たれた、というのが今回の事件の顛末だった。
失敗から立ち直ること
宮本、中里からこの供述を取ったキントリだったが、肝心の滝川が落ちない。だが、交番で勤務する滝川の元部下・大山から真壁が聞いた話を通して状況は変化する。実は大山が警備部時代に発砲したのは、滝川の命令のもと威嚇のために銃を撃ったからだった。
再び拳銃絡みの不祥事が起きることを避けたかった滝川は伊丹の拳銃所持を揉み消そうとしたわけだが、その根底には、失敗は許されない、しくじった者は再び浮かび上がれない、それが警察であり日本であるという思考があった。
だが実際のところ、滝川はすでに失敗しており、ただそれを認めないというポジションをとっているに過ぎない。失敗しない人間を作るとは言うが、単に失敗を認めない人間を作っているだけなのだ。
対する真壁は、失敗からどう立ち直るかを教えるのが教官の使命だと指摘、交番でも腐らず真面目に働く大山の姿を見せる。そして、大山が滝川に「感謝している」と語っていたと聞かせたことで、ついに滝川は崩れたのだった。
シーズン5最終回では「つまづいたからこそ役に立っている人も」という言葉もあったが、この言葉は大山とキントリの両方にかかっている。そもそも真壁はSITに在籍していたが、犯人との交渉に失敗してキントリに配属された過去がある。
ラストの意味は?
「これ以上失敗を重ねてどうするのか」という問いかけに応じた滝川は、最後の教えを生徒に与える代わりに、「拳銃は武器だ」「自分の意思に従って行動しなさい」という伝言を菱本に伝えてもらう。結果、伊丹は罪を認め、伊丹は銃刀法違反で送致、宮本は殺人未遂に問われることになったようだ。
梶山は首が繋がったが、磐城副総監は「君がクビをかけたのは真壁のためだったのか?」と聞いてる。案外、副総監も二人の関係が気になっていたのである。磐城も最初は嫌な奴だったが、すっかり真壁らを後押ししてくれる存在になった。
キントリは非常召集が解かれることになり、テレビでは総理が会見を開いている。ハルさんと菱やんはあと半年で定年だとして、もう再招集がかかることはないだろうとたかを括っている。その予想は劇場版『緊急取調室 THE FINAL』で覆されることになるのだろう。
梶山は「首が繋がったからあの約束はお預け」と、「一緒に生きていく」の約束に言及するが、真壁は「約束? なんだっけ」と、とぼけて見せている。一度はプロポーズを受けたようなものである真壁のすっとぼけも、「俺たちらしいじゃないか」と受け入れる梶山。余裕あり過ぎて尊い。
『緊急取調室』シーズン5最終回第9話のラストでは、キントリが8月31日付で再招集を解除となったことが示される。さらに、「長内政権は発足後3年を迎える」と意味深な言葉も添えられている。映画版では一体どんな物語が描かれるのだろうか。
『緊急取調室』シーズン5最終回第9話ネタバレ感想
劇場版はどうなる?
劇場版『緊急取調室 THE FINAL』では、超大型台風が連続発生する中、長内総理が災害対策会議に10分遅れで到着。その「空白の10分」を糾弾する暴漢による総理襲撃事件が発生する。テロ案件に緊急招集されたキントリは、ある疑惑をめぐって長内総理の聴取を要求することになる……。
シーズン4では国土交通副大臣の宮越と対決したキントリ。シーズン5では明確に劇場版と繋がるような巨悪と対峙することはなかったが、端々に長内総理の不穏な影響力は感じ取ることができた。
『緊急取調室』シーズン5の最初の2話はメディアを、最後の2話は警察学校を舞台にした点は面白く、映画版での繋がりにも期待したいところだ。一方で、最後は特に大橋和也、森マリア、栗原颯人ら若手キャストが活躍を見せる場にもなっており、次世代にバトンを託そうとしている感じも見てとれた。
『THE FINAL』と銘打たれた映画版では、どんな展開が待っているのか。ここに来て大きな進展があった真壁&梶山は幸せを掴めるのか、小石川&菱本は無事に定年を迎えられるのか……映画公開を楽しみに待とう。
劇場版『緊急取締室 THE FINAL』は2025年12月26日(金) より公開。
『緊急取締室』の相田冬二によるノベライズ版は発売中。
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