2021年放送の『教場Ⅱ』前編
2021年の「新春ドラマスペシャル」として1月3日と4日にわたって放送された『教場Ⅱ』は、木村拓哉が主演を務める人気シリーズの第2弾。長岡弘樹の原作を「踊る大捜査線」シリーズなどで知られる君塚良一の脚本で実写化した作品だ。
2020年に第1弾『教場』が放送されて話題を呼ぶと、本作『教場Ⅱ』の放送を経て、2023年には前日譚の連続ドラマ『風間公親-教場0-』が放送された。2026年には『教場Ⅲ』として、1月1日より映画『教場 Reunion』がNetflixで配信、2月20日からは映画『教場 Requiem』が劇場公開される。
今回は、ドラマ「教場」シリーズの第2弾『教場Ⅱ』の前編についてネタバレありで解説し、感想を記していこう。以下の内容はネタバレを含むので本編を視聴してから読んでいただきたい。また、性暴力についての描写に触れているのでご注意を。
以下の内容は、ドラマ『教場Ⅱ』前編の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『教場Ⅱ』前編ネタバレ解説&考察
鳥羽と稲辺の保身と復讐
『教場Ⅱ』では、第200期生が木村拓哉演じる風間公親の教場へやってくる。風間が担当しているのは神奈川県警察学校の初任科短期課程で、約6ヶ月で修了となるクラスだ。前作では宮坂ら第198期生が主な登場人物となっており、『教場Ⅱ』の舞台は前作の2年後ということになっている。
『教場Ⅱ』の前編は、濱田岳演じる鳥羽と眞栄田郷敦演じる稲辺、福原愛演じる忍野めぐみと高月彩良演じる堂本真矢と樋口日奈演じる坂根千亜季、矢本悠馬演じる漆原の物語が描かれる。その中で、前作のメインキャラクターであった工藤阿須加演じる宮坂定を巡る物語も絡んでくることになる。
『教場Ⅱ』前編の冒頭では、風間公親が右目を失明した時のシーンも描かれる。これは連続ドラマ『風間公親-教場0-』のワンシーンで、その右目には千枚通しが(紙や布に穴をあける道具)突き刺さっていることが分かる。
濱田岳が演じる白バイ隊員に憧れて耳を鍛えたという鳥羽は、眞栄田郷敦演じる稲辺が授業中に教官からプールに落とされ、その救助を行なった際に中耳炎になってしまう。自慢の聴力が使えないという不安を抱えるのだ。特に鳥羽は200期生の中で真っ先に風間教官の洗礼を受けており、プレッシャーを感じている状態でもある。
鳥羽は稲辺が無断外出を疑われて叱責されているところで、教官から稲辺のアリバイを証言できるかと言われ、実際には図書室で見ていたにもかかわらず見ていないと答える。風間はチョークを落としたことに気がつかなかったことから鳥羽の耳が悪くなっていることを見抜くと、日記に音に関する記述が増えていることを指摘する。
鳥羽が稲辺を図書室で見たのに「見ていない」と答えた理由は、日記で聴力をアピールするために「寮の部屋で交通事故の音を聞いた」と書いていたからだった。事故があったことは別の生徒の会話を通して知っており、事故が起きた時間に図書室にいて稲辺を見たと証言すれば、日記に嘘を書いたとバレると考えたのだ。
全てを見破られた鳥羽は、風間から『教場Ⅱ』で最初の退校届を提示されたのだった。だが、鳥羽の悲劇はこれだけで終わらなかった。稲辺は床掃除を手伝ってくれと鳥羽を誘い出すと、瞬間接着剤をつけ、アリを入れた射撃用イヤーマフを鳥羽の耳につける。「教場」シリーズでも屈指のトラウマシーンだ。
稲辺は嘘をつかれた報復としてこの行動に出たが、もちろん稲辺はこれで退校に。鳥羽は耳に大怪我を負うことになった。相変わらず治安の悪い警察学校である……。ちなみに、松本まりか演じる副教官見習いの田澤愛子、上白石萌歌演じる元199期で休学していて復学した石上史穂と、途中でキャラクターが増えていくのも『教場Ⅱ』前編の特徴だ。
忍野と堂本の友情と愛情
『教場Ⅱ』前編で描かれる二つ目のストーリーは、福原愛演じる忍野めぐみ、高月彩良演じる堂本真矢、樋口日奈演じる坂根千亜季のストーリーだ。体力がなくいじめられている忍野めぐみを堂本真矢が支えるが、一方で坂根千亜季が触ったものが紛失するという不可解な出来事が続いていた。
忍野めぐみは風間教官とこの件の捜査に取り組むと、授業で使った坂根千亜季が触れた十円玉をわざと自分の硬貨とすり替えさせて、犯人の指紋をとる作戦に出る。ところが、次の授業で検出された指紋は坂根千亜季のものだった。
だが、風間は忍野めぐみが犯人を庇ったことを見抜いて退校届を突きつける。この前に風間は脈拍を測る授業で忍野に坂根千亜季と備品の紛失を届け出た3人の脈拍を測らせていた。この時、風間は忍野に全生徒の脈拍のデータを渡していたが、捜査が進められていることを知った生徒だけが脈拍の値が高くなっていた。
そうして忍野は、備品盗難の犯人が自分を助けてくれた堂本真矢であったことを知ったのだった。そして、十円玉から堂本の指紋が検出されないように、事前に硬貨をすり替えておき、堂本がすり替えた硬貨をさらに元の硬貨にすり替えたことで、坂根千亜季の指紋が検出されることになったのである。
堂本真矢は坂根千亜季に好意を寄せており、坂根千亜季が触れた備品を盗むという行為に走っていた。風間は庇うことが「本当の友情か」と問うが、加えて忍野めぐみは性犯罪の防止に取り組むため、生活安全課への配属を目指しているという背景を考えても、一種のストーキング行為である堂本真矢の行いを見逃すべきではなかったと言える。
結果として、堂本真矢には退校が言い渡されるが、同時に風間は、堂本が似顔絵を描いた用紙の裏に、ハーモニカを吹く忍野めぐみの絵を描いて消していたことを踏まえ、「しっかり想いは伝えたか」と堂本に問う。堂本は「いいえ」と答えて涙しており、おそらく坂根千亜季と忍野の両方に違う種類の好意を寄せていたことが読み取れる。
そうして堂本真矢が『教場Ⅱ』前編二人目の退校者となったのだった。ちなみに堂本と忍野は原作小説では男性のキャラで、映像化にあたって性別を変更する改変が加えられている。余談だが、堂本真矢を演じた高月彩良は、舞台『呪術廻戦』で禪院真希役を、舞台『進撃の巨人』でミカサ・アッカーマン役を演じている。
漆原の苦難とまさかの訃報
そして、『教場Ⅱ』前編の最後の事件は、矢本悠馬演じる漆原透介を巡る物語だ。ちなみに矢本悠馬といえば、2024年公開の映画『室井慎次 敗れざる者/生き続ける者』で交番の警官である乃木真守役を演じたことが記憶に新しい。
漆原は「時間の感覚が違う」と表現されるように、頻繁に遅刻したり、パニックになって正常な判断ができなくなったりするなど、集団行動に適応できずにいた。この特性はADHDの特性と重なる部分があり、漆原は自分の意思とは関係なく特定の負荷がかかる場面で思うように動けなくなってしまうのだろう。
漆原はある日パニック状態で警察学校に帰ってくると、その挙動から薬物使用を疑われることになる。しかし、やはり風間は冷静で、スマホやPCから情報を得られない警察学校で、漆原が掲示板に貼り出される告示を探していることに気が付く。
そして、漆原が待っていた告示は、前作で教場を卒業して正式に警察官となった宮坂が職務中に交通事故に遭い、殉職したという知らせだった。風間は第198期の石山、日下部、楠本、都築、菱沼を呼び出すと、宮坂が事故に遭った映像を見せるのだった。
『教場Ⅱ』ラストをネタバレ解説&考察
ラストの意味は?
その映像には警察学校に向かう漆原の姿が映っていた。宮坂は警察学校の仮入校期間の指導員を務めた時に、ランニングについていけない漆原に声をかけ、「2年前の自分を見ているようで」とも発言していた。そんな漆原を外で見かけ、車を止めて漆原を先に行かせてやっていた。
漆原は自分のせいで直後に事故が起きたと考え、宮坂がどうなったのか気が気でなく、パニックになって掲示板からの情報を待ち続けていたのである。そんな漆原に石山は激怒するが、風間は「職務で弔え!」と叱責する。このシーンで映る写真は、『教場Ⅱ』前編の冒頭で宮坂が風間と一緒に自撮りしようとした時の写真で、宮坂はこの写真を198期のみんなに送っていた。
漆原は自ら退校しようとするが、風間はそれを許さない。風間は警察官に相応しくないものをふるいにかけようとしているが、それは生まれ持った特性を意味しているわけではないのだ。
『教場Ⅱ』前編 ネタバレ感想
後編に繋がるポイントは?
『教場Ⅱ』前編のラストで待っていたのは、前作のメインキャラクターの死というまさかの展開。すでに示唆されており、ドラマ『風間公親』でも描かれた通り、風間は以前にも部下を亡くしている。198期生には職務で弔うよう叱咤したが、自身も辛い思いを抱えていたはずだ。
さらに、退校届をもらった鳥羽と忍野も険悪なムードになっている。鳥羽が白バイに憧れて警察を目指しているというのは嘘で、もうすぐ30歳になるから定職に就くために警察学校に入ったと言い出したからだ。ちなみに警察学校の受験年齢は地域によって差があるが、32歳から35歳程度となっている。『教場Ⅱ』前編では仲間を見捨ててでも保身に走ろうとした鳥羽。警察に相応しい人間になれるかどうか、後編での動きも注目だ。
週末も実家に帰ろうとしない杣利希斗(そま・りきと)、自室である写真を見続けている伊佐木陶子、副教官の田澤愛子と密会する比嘉太偉智(前編では風間の剣道の相手を務めていた)、復学したが何らかのトラウマを抱えている様子の石上史穂といった面々の要素は『教場Ⅱ』後編へと持ち越される。特に、他の教官から生徒との距離が近すぎると注意を受けていた田澤愛子の存在が注目ポイントだ。
宮坂の死を経て『教場Ⅱ』後編ではどんな展開が待っているのか、続けてチェックしていこう。
映画『教場 Reunion』はNetflixで独占配信中。映画『教場 Requiem』は2026年2月20日(金) 劇場公開。
ドラマ『教場』の原作である小説『教場』と『教場2』は発売中。
映画版の原作『新・教場』と『新・教場2』は発売中。
映画『教場 Reunion』のノベライズ版は1月7日より発売中。
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