ドラマ『エイリアン:アース』配信開始
「エイリアン」シリーズ初のドラマ作品『エイリアン:アース』が2025年8月13日(水) よりディズニープラス「スター」で配信を開始した。初週は第1話と第2話が配信され、シリーズの歴史に新たな物語が刻まれている。
今回は、『エイリアン:アース』第2話について、ネタバレありで解説&考察していこう。以下の内容はネタバレを含むため、必ずディズニープラス「スター」で本編を視聴してから読んでいただきたい。
以下の内容は、ドラマ『エイリアン:アース』第2話の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
ドラマ『エイリアン:アース』第2話ネタバレ解説
カヴァリエの予言
ドラマ『エイリアン:アース』第2話「ミスター・オクトーバー」の監督を務めたのはデイナ・ゴンザレス。脚本は引き続きショーランナーのノア・ホーリーが手がける。デイナ・ゴンザレスは『ハンドメイズ・テイル/次女の物語』(2017) シーズン5のエピソードを手がけたこともあり、ノア・ホーリーとはドラマ『FARGO/ファーゴ』(2014-) や『レギオン』(2017-2019) でもタッグを組んでいる。
プロディジー社CEOのカヴァリエは、ウェンディの教育を担当しているデイムに対して、「人間が素晴らしいマシンを造ると、AIはさらに賢いマシンを造る」と語る。『エイリアン:アース』の261年後、2381年を舞台にした『エイリアン4』(1997) では、アンドロイドによって作られたアンドロイド2世が登場している。カヴァリエはすでにその未来を予見していたのである。
しかし、カヴァリエが求めているものはお金ではなく、自分より賢い相手と話すことだという。知的な欲求ではあるが、ウェンディにスーパーコンピューターの頭脳と教育を与えて育てるとしており、そこには支配欲や自分を超えて欲しいという親としての欲求も垣間見える。「エイリアン」シリーズのテーマの一つは“出生”だったが、『エイリアン:アース』では“親視点の教育”もテーマになるのかもしれない。
墜落したマジノ号に乗り込んだジョーらは、残された遺体の状態からエイリアンが関わる事故だと判断。このシーンの描写から、エイリアンはすでに世間に知られた存在であることが分かる。「1562」という専用の報告コードまで存在しているのだ。そして、一同はいよいよゼノモーフに遭遇する。
『ロムルス』オマージュとユタニ
この出来事の1日前、実はジョーはプロディジー社に出した辞職願の回答を聞きに来ていた。亡き父と医学部に戻ると約束したとして、火星の医学部に入学が認められていると主張するのだが、契約が7ヶ月残っているして辞職は却下されてしまう。
このシーンは、映画『エイリアン:ロムルス』(2024) の序盤のシーンのオマージュだろう。同作では、主人公のレインがウェイランド・ユタニ社が取り仕切る植民地惑星からの移住を申し出たが、人手不足を理由に契約解除を断られている。
『エイリアン:アース』第2話では、ジョーは火星に行きたがっていることが明らかになるが、第1話では火星はウェイランド・ユタニ社が牛耳っているとされていた。火星に医学部があることから、ジョーはむしろウェイランド・ユタニ社の星に行きたがっているのだが、プロディジー社はそのための辞職を認めてくれない。ウェイランド・ユタニ社の支配から逃れたがっていたレインとはまた違う立場ではあるが、会社の都合で移動の自由を禁じられるという状況は変わらない。
その企業のトップまたは幹部であると思われるユタニ社のユタニはカヴァリエへ連絡。ウェイランド・ユタニ社は2099年にユタニ社がウェイランド社を買収して出来た会社であり、どうやらユタニ一族が実権を握っているようである。ユタニを演じるのは、韓国生まれでデンマーク系アメリカ人のサンドラ・イー・センシンダイバーだ(できればここは日系の俳優に演じてほしいところだった)。
ユタニはマジノ号に積載した荷物を回収するためにプロディジー社の領地への立ち入りを求めるのだが、この切羽詰まったトップ会談によって、カヴァリエはマジノ号に“お宝”が積載されているという確信を強めている。カヴァリエからすればまさに棚からぼたもちという状況である。
ウェンディの秘密?
ウェンディ達は事故現場に到着するが、ウェンディはやはり一目散に兄の救出に向かうなど、ハイブリッドの“幼さ”という特徴が強調されている。組織立っての行動は苦手な分野に入るのだろう。一方、ウェンディは一人だけ、羽音のような雑音を聞き取っている。移植されたウェンディの身体にエイリアンの要素が含まれている可能性を示唆する展開だ。
ウェンディとスライトリー以外のメンバーは、植物のようなエイリアンや猫に寄生していた目玉のようなエイリアンに遭遇。ジョーの救助隊の方も、船から出た建物の高層階でゼノモーフと遭遇する。救助隊員がゼノモーフの第二の口“インターマウス”の犠牲になる様子はシリーズのお約束である。
ジョーはゼノモーフと戦い追い詰められるが、それを救ったのはウェイランド・ユタニ社のサイボーグ、モローだった。しかし、モローはあくまでエイリアンを確保するために現れただけだ。モローが持っている銃は、エイリアンを一撃で倒せるビームに、捕獲のための蜘蛛の糸のような物質も出せる優れものだ。その技術と備えは『エイリアン』以降どこに失われてしまったのだろうか……。
モローは繭に包んだゼノモーフを持ち出そうとするが、プロディジー社の救助隊に見つかってしまう。モローはゼノモーフが繭を破る危険性を示唆して、「やめろ、恐怖を悟られる」と指示するが、救助隊は警告を聞かずにゼノモーフに殺されてしまう。モローは見逃されたのだが、ゼノモーフは人間の恐怖心を読み取ることができるのだろうか。
カーシュはマジノ号のデータからこの船が深宇宙調査船であったことを発見。この情報はカヴァリエがユタニから引き出していた情報でもある。マジノ号は深宇宙、つまり太陽系から離れた宇宙空間まで探査に出ていたのである。
ハイブリッドの一人は先ほどの植物型のエイリアンから出てきたツルに直面するが、こちらも攻撃されることはなかった。前話ではハイブリッドは心を持っていないとされていたが、恐怖を悟られずエイリアンの標的から外れることになるのだろうか。だが、目玉のエイリアンはハイブリッドの一人に襲いかかっていたため、エイリアンのそれぞれの個体に特性があるのかもしれない。
「ミスター・オクトーバー」の意味
ジョーは、建物内に展示されていたレジー・ジャクソンが1977年ワールドシリーズ第6戦で3打席連続ホームランを放った時のボールを発見。第1話でもジョーはイヤホンで野球の情報を聞いており、野球好きであることが示唆されていた。
そして、ここでレミー・ジャクソンの愛称が『エイリアン:アース』第2話のタイトル「ミスター・オクトーバー」であることが明らかになっている。この愛称の由来は、メジャーリーグのナンバーワンチームを決定するワールドシリーズが10月に開催され、レミー・ジャクソンがそこで印象的な活躍を見せたからだ。
米国では野球は「父と息子」の伝統的なイメージと結びついており、ジョーは父親との思い出に浸る中、そこにウェンディが現れるが、ジョーはそれが自分の妹だとは分からない。かつての妹マーシーは、ウェンディの身体になっているからだ。
ジョーは、ウェンディらに白い血が流れていると聞き「シンセか」と漏らす。「エイリアン」シリーズではウェイランド・ユタニ社のアンドロイドにも白い血が流れている。
ウェンディは正体を明かせないまま、繁殖の恐れがあるためエイリアンの対応に向かうよう指示を受ける。だが、道中でスライトリーがウェンディの元の名前がマーシーであり、精神年齢は12歳であると明かす。スライトリーは輸送機の中でウェンディが兄を助けに行くことを聞いており、わざとジョーにウェンディの正体を明かしたのである。
ウェンディは『アイス・エイジ』のセリフの一説を引用して本物であることを証明すると、自分のせいでジョーが火星に行けなかったことを謝罪するが、ジョーは「妹は死んだ」とウェンディを受け入れない。それでも、ウェンディは父が「助かるけど家に帰れない」というカヴァリエのオファーを受けたことを伝え、エイリアンの対応へ向かうのだった。
ジョーはマーシーとの思い出を共有してようやくウェンディを妹として受け入れる。しかし、その矢先、エイリアンの卵が複数設置された場所でゼノモーフの襲撃を受け、ジョーはゼノモーフもろとも下階へと落ちていったのだった。このシーンのゼノモーフが廊下を通って迫り来る緊張感は鳥肌もの。直前に兄妹がようやく再会を果たしたという展開も相まって非常にスリリングなシーンで第2話を締めくくっている。
『エイリアン:アース』第2話のエンディングで流れる曲はTOOL「Stinkfist」(1996)。第2話の「ミスター・オクトーバー」のタイトルに相応しく、10月1日にリリースされた曲だ。この曲では、「変化が必要、避けられないジレンマ」「欲しいわけじゃない、必要なだけ、生きていることを実感するために」と、ウェンディのジョーへの心情が歌われているようでもある。
ドラマ『エイリアン:アース』第2話ネタバレ感想&考察
企業の対立に注目
ドラマ『エイリアン:アース』第2話は、前話にも増してさらにスリリングな展開が用意されていた。ゼノモーフだけでなく複数の種類のエイリアンが地球に飛来していたという歴史も明らかになっている。
また、ついにユタニ社の人物としてユタニが登場するという嬉しい展開も待っていた。ウェイランド社からは過去に、『エイリアン:アース』に直接繋がらないとされている映画『プロメテウス』(2012) で創業者のピーター・ウェイランドが登場していた。
また、外伝的扱いになっている映画『AVP2 エイリアンズVS.プレデター』(2007) でもユタニという名の女性が登場したが、ユタニ社との関係は不明なままだった。「エイリアン」シリーズの歴史的には、今後中心に立つことになるウェイランド・ユタニ社。その内側がついに描かれることになりそうだ。
第2話で少し不思議な感情になったのは、新興企業のプロディジー社と馴染み深いウェイランド・ユタニ社が対立している状況にあると、どっちに肩入れしていいのか分からなくなってしまったからだ。ユタニ社が日系だということもあるけれど、プロディジー社にはまだまだスタートアップ特有のきな臭さもある。
ちなみに2381年を舞台にした『エイリアン4』ではウェイランド・ユタニ社は数十年前に経営破綻して政府に買収されたことになっている。ウェイランド・ユタニ社もプロディジー社もいずれは滅びゆく運命なのか、と思ってしまうが、私たちは「エイリアン」シリーズでウェイランド・ユタニ社ばかり見せられててきただけで、実は他の場所では他の企業も活動を続けていたのかもしれない。
『エイリアン:アース』の世界では、この二社にリンチ、ダイナミック、スレッショルドを加えた五つの大企業が世界を牛耳っているという。『エイリアン:アース』の残り6話の中でこれらの企業が登場するのかどうかにも注目したい。
ドラマ『エイリアン:アース』は2025年8月13日(水) 午前9時よりディズニープラス「スター」で独占配信。初週は第1話と第2話が同時配信、翌週からは毎週水曜日に最新話が配信される。
「エイリアン」シリーズはBlu-rayコレクションが発売中。
『エイリアン:ロムルス』4K UHD + ブルーレイ セットは発売中。
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【ネタバレ注意】『エイリアン:ロムルス』ラストの解説&考察はこちらから。
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