『万事快調〈オール・グリーンズ〉』公開舞台挨拶が開催
発表当時、若冠21歳の大学生によるユーモラスでオフ・ビートな文体が癖になる新時代の青春小説で、第28回松本清張賞を満場一致で受賞した波木銅『万事快調〈オール・グリーンズ〉』(文春文庫)が、『猿楽町で会いましょう』の児山隆監督により映画化、1月16日(金)より新宿ピカデリー他で全国公開されている(配給:カルチュア・パブリッシャーズ)。
ラッパーを夢見ながらも、学校にも家にも居場所を見いだせず鬱屈とした日々を送る朴秀美(ぼく・ひでみ)役には、NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(22年)、「光る君へ」(24年)に出演、今年は『愛されなくても別に』で主演を務め、2月6日公開のゆりやんレトリィバァ初監督作品『禍禍女』の主演を務めるなど、多くの映画やドラマで活躍している南沙良。もう一人の主人公、陸上部のエースで社交的、スクールカースト上位に属しながらも、家庭では問題を抱えている映画好きの矢口美流紅(やぐち・みるく)役には、雑誌「Seventeen」の『ミスセブンティーン2018』に選ばれ、現在は「non-no」専属モデルに加え、『赤羽骨子のボディガード』(24年)、『か「」く「」し「」ご「」と「』(25年)など話題作への出演が続く出口夏希。
さらに、朴秀美や美流紅と共に、同好会「オール・グリーンズ」を結成する岩隈真子(いわくま・まこ)を演じるのは、数々の映画賞を受賞し話題となった劇場アニメ『ルックバック』(24年)で河合優実とW主演を務め、海外映画に初出演した『KARATEKA』のスペイン公開が2026年に控える吉田美月喜。さらに羽村仁成、金子大地、黒崎煌代など今最も旬なキャストが集結し、時代の閉塞感を吹き飛ばす、不適切で爽快な青春映画が誕生した。
1月17日(土)新宿ピカデリーにて、公開記念舞台挨拶が開催。W主演の南沙良、出口夏希を始め、主要キャストの吉田美月喜、黒崎煌代、そして主題歌を担当したNIKO NIKO TAN TAN、児山隆監督らが、今だから語れる撮影秘話や、映画の内容にちなみ「新たに始めたいこと」を披露した。
イベント前日となる16日に初日を迎えたばかりの本作。映画を鑑賞したばかりの観客の前に立った南は、「こうして公開を無事に迎えることができて安心していますし、観てくださった皆様がどういう感想をお持ちになるんだろうなとワクワクしています」とあいさつ。出口も「今まさに映画を観てくださった皆さんとお会いするとちょっと緊張するんですけど、やっとご覧いただけて、すごく嬉しい気持ちでいっぱいです」と続けた。
また周囲からの反響について、南が「普段あまり映画を観に行ってくれない友達が『すごく面白かった』と言ってくれて。すごくうれしかったです」と笑顔を見せると、出口も「昨日は初日だったので、Xで「万事快調」とエゴサしたんですけど、思った以上に嬉しいお言葉をいただいて。今日は安心してお話ができます」とコメント。また児山監督も「初日の朝8時の回に、ここ(新宿ピカデリー)に来ました。最速の上映に来てくださっている方たちなので、単純に嬉しかったですし、心の中で『ありがとう』と念を送っておきました」と感謝の思いを述べた。
そして撮影の中で印象に残ったことについて質問された南は「クライマックスで爆破のシーンがあるんですけど、テストの時は熱いけど我慢できる程度だったんですよ。でも本番になったら、レベルが違うくらい熱くて。体験したことがない熱で、本気で逃げました」と語ると、児山監督も「僕もあんなに燃えるなんて思っていなかった」と続けて、会場はビックリ。もちろん撮影は安全を確保した上で行われている、というのは言うまでもないが、その迫力の撮影の裏側に観客も興味津々な様子で話を聞いていた。
また出口は、事故によって小指をケガしてしまうシーンが印象に残ったという。「序盤から指をケガするんですけど、(その後の撮影では)ずっと指を折ったまま過ごしていたので、痺れちゃって。一日中『痺れた~』と言っていました」。
さらに吉田が「監督をはじめとするスタッフの皆さんのテンションが現場ですごく高くて。監督もいいシーンが撮れたら『最高!』と叫んでくれるので、演じる側もテンションが上がりました」と述懐。
また黒崎が「現場に差し入れでシャインマスカットが置いてあって。それがめちゃくちゃ美味しかった記憶があります」と振り返ると、南と吉田は「あったっけ?」とピンときていない様子だったが、出口は「ありました! 美味しかったです」と笑顔。出口と黒崎だけで食べてしまったような空気にもなり、キャスト陣の和気あいあいとした様子に会場も笑顔に包まれた。
そんなキャスト陣を見守っていた児山監督は「毎日が刺激的でしたが、ボウリング場で初めて3人が共演するシーンでは、ずっと遠目で吉田さんがニコニコしながら見ていて。『芸能人がいますね』と言っていて。可愛らしいなと思ったのは覚えています」と振り返ると、吉田も「キラキラしてたんですよ、お二人(南と出口)が話しているところが。私が出るシーンはまだ先だったので、端の方でボウリングの椅子に座りながらふたりの演技を見させてもらって。キラキラしているのを目の前で見れて、毎日、本当に目が幸せでした」と笑ってみせた。
本作の主題歌となる「Stranger」は、NIKO NIKO TAN TANが本作のために書き下ろした新曲。楽曲が制作された経緯についてOCHANが「青春ものなので、疾走感があって清涼感がある。それと『このシーンにはめたい』といったイメージが監督の中にあったので。そこに当てはめるのは何がいいのかなと迷いながら作っていった感じです」と振り返ると、Anabebeも「最初、監督からお手紙をいただきまして。想いのこもった内容だったので。キラキラしてる青春というよりは屈折した、闇があるんですけど、その中で全力疾走していく気持ちよさ、みたいなものをメロディから作っていきました」と明かした。そんな楽曲を聴いた南も「興奮しました。物語が終わった後も、疾走感や昂揚感が続いていく感じがして。イントロのドラムのところは、めっちゃ興奮します」と興奮気味に語った。
本作の劇中で「人生の第二部が始まる」というセリフがあったことにちなみ、登壇者たちが新たに始めたいこと、挑戦したいこと、について質問された南は「ゴルフです。去年から始めてはいるんですけど、まだ初心者中の初心者なので、もっと上手くなりたいなと思っています」とコメント。
さらに出口が「体力作りです。体力がないので、階段を登るだけでハァハァしちゃって。わたしはいろんな作品で走ることが多いのですが、すぐ疲れちゃうので、今年の目標にします。まずは歩くことから始てみます。散歩ですかね。その方が長続きしそう」と続けると、吉田も「昨年、SNSで来年はじめたいこと、というのを発表した時に、編み物と言っていました。今、3作品作ったんですけど、まだ全部ポーチなので。次はバッグとか、もっと大きいものを作っていきたい」とコメント。すると南と出口が「ほしい!」と目を輝かせ、そのふたりの様子に吉田も笑顔で「がんばる。自分用もつくって、おそろいにします」と返すなど、仲の良さを見せつけた。
また黒崎は「チームスポーツを始めたい」とコメント。「大谷翔平選手の2年連続の優勝の瞬間を見ていたら、改めて「スポーツ」っていいなと思ったので始めようと思いました」と決意を新たにしている様子。OCHANは「早起き。夜に曲を作ることが多いので、朝型の生活をしたい」、Anabebeも「僕は最近ダイエットをしていて。毎日5キロぐらい歩いてるんですけど、ただ歩くだけじゃ満足できなくなって、10キロのウエイトベストを買って、それを背負って最近歩き始めました」とコメント。それを聞いた児山監督も「僕も散歩を頑張りたい」と意気込んだ。
そしてこの日は、サプライズで児山監督から手紙を送られた。「親愛なるオール・グリーンズへ」という書き出しからはじまったその手紙には、登壇者たちに向けた感謝の思い、さらに彼らと仕事ができたことがいかにしあわせだったか、という撮影現場での思いがせつせつとつづられ、「比喩表現でもなんでもなく、今日のことは一生忘れないと思います」という言葉で締めくくられていた。そして登壇者たちもその手紙につづられた熱い言葉の数々を、真剣な眼差しで耳を傾けていた。
そんな手紙について南も「嬉しいです。やっぱりこの映画をいいものにしたい、面白いものにしたいと、キャスト・スタッフ含め全員がそう思って。それがこうやって形になったことも嬉しいですし、その思いがちゃんと監督に伝わっていたことが嬉しいなと思います」と感激した様子。
また出口も「監督が現場で『何でもやっていいよ』感をずっと出してくださっていて。それがあったから私も堂々とできたなとすごく思うので、本当に感謝しています。あとはこの3人で1ヶ月くらい過ごして、なんだろうあの居心地の良さは……お二人に感謝しています」と語るなど、南と吉田にあらためて感謝の言葉を告げるひと幕もあった。
さらに吉田も「私は本当にこの作品では、ただただ、そこにいさせてもらっただけだと思ったくらい。それくらい皆様がプロフェッショナルでしたし、熱みたいなのをすごく感じて。私自身も成長しなきゃとすごく思わされた作品なので、まずこのチームに、そして作品に出会わせてくれた監督に感謝しかないです」と感謝のコメント。
この日は終始、こうした手紙は苦手だと強調していた児山監督だが、それでもあえてこの手紙をつづってみたことに、「実際文章にしてみて、自分はこんな風なことを思っていたんだと。皆さんの前で伝えるべきことなのかどうかは今だに僕はわかりませんが。でも皆様に伝えることができたんで、そこは本当に感謝しています」としみじみと語った。
そして最後のコメントを求められた出口は「何かにつまづいた時や、悩んだ時は、美流紅の台詞みたいに『…とかなるわけないだろ!』と思いながら前に向かって頑張ってほしいなと思います。本日は本当にありがとうございました」とあいさつ。
さらに南も「私も日々生活している中で、どこにも行けないなとか、何にもなれないなと思う瞬間が本当にたくさんあって。そう思う瞬間がある方ってたくさんいると思うんです。だからそういう方にこの映画が届けばより意味のあるものになるんじゃないかなと思っていますし、この作品は私にとって思考を続けること、辞めないことの大切さを教えてくれた作品だったなと思います。キャスト・スタッフの全員のこの作品への愛とエネルギーがこもった作品だと思っているので、それを感じていただけたら嬉しいです」とコメント。
最後に児山監督が「頑張ったらいい映画ができる、というのは幻想で、頑張ってもいい映画ができないことがほとんどだと思います。でも面白い映画っていうのはすべからくみんなが頑張っている。そういう意味では『万事快調』は胸を張って面白い映画になったと送り出すことができる映画になりました。たくさんの人に見てもらわないと、この映画は簡単に劇場で存在しえなくなってしまうので、面白いと思った方は宣伝していただけるとうれしいです」と会場に呼びかけ、イベントを締めくくった。
映画『万事快調〈オール・グリーンズ〉』は全国公開中。
波木銅による原作『万事快調〈オール・グリーンズ〉』は文春文庫より発売中。
◎タイトル:『万事快調<オール・グリーンズ>』
◎原作:波木銅「万事快調<オール・グリーンズ>」(文春文庫)
◎監督・脚本・編集:児山隆
◎出演:南沙良 出口夏希 / 吉田美月喜 羽村仁成 黒崎煌代 / テイ龍進 松岡依都美 安藤裕子 / 金子大地
◎主題歌:NIKO NIKO TAN TAN 「Stranger」 (ビクターエンタテインメント/Getting Better)
◎公開:2026年
◎配給:カルチュア・パブリッシャーズ
◎コピーライト:©2026「万事快調」製作委員会
■公式サイト https://www.culture-pub.jp/allgreens/
■インスタ https://www.instagram.com/allgreens_movie/
■X https://x.com/allgreens_movie
東京国際映画祭で実施された児山隆監督の舞台挨拶の模様はこちらから。
