ネタバレ解説『ストレンジャー・シングス5』最終回はなぜあの終わり方? 制作陣が明かした意図と“その後” | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『ストレンジャー・シングス5』最終回はなぜあの終わり方? 制作陣が明かした意図と“その後”

Netflix

『ストレンジャー・シングス』完結

Netflixの人気ドラマシリーズ『ストレンジャー・シングス』は2016年にシーズン1が配信されてから、多くのファンを魅了してきた。長らくファンに愛されてきた本作だが、日本時間の2026年1月1日、シリーズのフィナーレとなるシーズン5の最終話が配信され、物語に一旦の幕をおろした。

シーズン5最終回の展開については、ネット上でも大きな話題になっている。制作陣はあのエンディングをどのような想いを込めて用意したのか、今回はあの終わり方について振り返るとともに、制作陣のコメントを見ていこう。

以下の内容は『ストレンジャー・シングス』シーズン5の最終回第8話にあたるフィナーレの結末についてのネタバレを含むため、必ずNetflixで本編を視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ストレンジャー・シングス』シーズン5最終回第8話の内容に関するネタバレを含みます。

『ストレンジャー・シングス』シーズン5フィナーレはどうなった?

それぞれのその後

『ストレンジャー・シングス』シーズン5最終回第8話にあたるフィナーレでは、エル達はヴェクナとマインド・フレイヤーを撃破した後、表側の世界へ戻ろうとするが、政府に狙われているエルは裏側の世界に残ることを決断する。最後のエピローグパートでは、18ヶ月後のホーキンスを舞台に、それぞれのその後が描かれた。

ホッパーはニューヨークのモントークで警察署長に就任することになって、ジョイスにプロポーズ。子ども達が親元を離れた今、二人はホーキンスを離れて第二の人生を歩むことになる。

ジョナサンはニューヨーク大学に進学して映画作りに取り組んでおり、ロビンはスミス・カレッジに進学ナンシーはエマーソン・カレッジを中退した後ボストンのヘラルド新聞社に入社していた。スティーブだけはホーキンスに残り、リトルリーグ(少年野球)でコーチをしている。

最も印象的だったのは、ラストシーンで卒業パーティーへの参加を断ったマイク達が『ダンジョン&ドラゴンズ』をプレーしながらそれぞれの今後を語るシーンだ。マックスとルーカスはホーキンスに残って幸せになり、ダスティンは大学に進学、ウィルは大きな街で同性のパートナーと自分の居場所を見つけ、マイクは作家になるという将来が示された。

また、エルについては、最後に裏側の世界に消えたエルは、カリが遠隔でイリュージョン能力を見せた幻覚だったのではないかという説が披露される。確かにエルはあの時、軍の音響装置の影響を受けていなかった。実はエルは逃げ出していて、遠く離れた滝が流れる小さな街を見つけて安らぎを得た、というのがマイクの仮説だった。

さらに、マイク達が最後のD&Dを終えると、ホリーやデレクたちがD&Dで遊び始める。ヴェクナに拐われた子ども達も絆を育み、マイク達のようにD&Dを通して関係を継続していくことも示唆されたのだった。

制作陣が明かしたフィナーレの意図

最後のD&Dの意味

『ストレンジャー・シングス』シーズン5フィナーレのこの終わり方について、制作陣はどのように考えていたのだろうか。Netflixの公式メディアであるTudumでは、シリーズを手がけてきたダファー兄弟がその意図を明かしている。

まず、D&Dのシーンでシリーズを締め括った意図について、ロス・ダファーはこう話している。

あれはずっと前から計画していたことなんです。円環を描くのが正しいように感じられました。本作は、登場人物達が子ども時代に別れを告げる物語です。あの地下室、特に『ダンジョン&ドラゴンズ』のゲームは彼らの子ども時代を代表する要素で、視聴者が彼らと初めて出会った場所でもあります。別れを告げるために、最後にもう一度(D&Dを)プレイする必要がありました。

撮影はとても楽しくて、シーズン1で子ども達がD&Dをプレイするシーンを撮影した初日のことを思い出しました。私たちが初めて撮影したシーンであり、これが最後のシーンに相応しいと感じました。何年も前に撮ったシーズン1のカメラワークを再現することまで試みたんです。

ロス・ダファーは、『ストレンジャー・シングス』のストーリーを「子ども時代に別れを告げる物語」と表現する。そのテーマは、マイク達だけでなくホッパーとエルにも適用されていた。

ホッパーとエルの成長

ロス・ダファーは、フィナーレで描かれたホッパーがエルに対して想いをぶつけたシーンについて、ダファー兄弟や脚本家達のエルへの想いを代弁したものとしつつ、ホッパーは過去に娘を失ったことでエルに対して過保護になっており、エルが自分で決断を下して大人に成長する機会を奪っていたとも指摘する。だからエルは、自分で正しい選択をすると言い、ホッパーが要求した「約束」を交わさなかった。

このステップこそエルが大人になるにあたって必要なプロセスだった。マット・ダファーはこう語っている。

フィナーレで扱われるテーマの多くは成長です。長い成長譚の終わりであり、成長とは親元を離れて自分自身で決断を下すことでもあります。あのシーンで描かれたのは、イレブンがその段階に来て、ホッパーは手を離さなければならないと悟る瞬間でした。

エルにとっての親離れとホッパーにとっての子離れが同時に描かれたシーンであり、あのシーンがあったからこそ、最後のシーンでマイク達はエルが生きていて安らぎを手に入れた可能性を信じることができたのだ。

「信じること」が最善の方法

また、ロス・ダファーは、全てが終わった後もエルが仲間と共に過ごすという結末は最初から想定していなかったという。エルが能力を失って追われることがなくなる、という線も考えられたが、制作陣はエルのパワーを奪うことはしたくなかったのだとか。敢えて曖昧にしたエルのその後について、ロス・ダファーはこう話している。

真実かどうか、明確な答えを出さずとも、登場人物達がより幸せなエンディングを信じ続けるという姿は美しいと思いました。彼らが信じているという事実が残ることが、物語をより良い形で終えるのに相応しい道であり、この旅の終わりと、彼らの子どもから大人への成長の過程を表現するより良い方法だと考えました。

マット・ダファーは、「信じること」がエルを生き続けさせる最善の方法だとも話している。同時にそれは、マイク達が起きてしまったことを乗り越える方法でもあったという。曖昧さや不確実さの中にこそ、希望があるということだろう。

俳優達と決めた“その後”

5人のその後

また、ラストで描かれたマイクやダスティン達のその後については、演じた俳優たちとも議論を重ねたという。いずれの俳優も、自分のキャラクターの行く末について明確で具体的なイメージを持っていたのだとか。

ダファー兄弟は、ダスティンの未来にスティーブが登場するのは、シーズン5で二人が衝突する場面があったため、二人のブロマンスが今後も続いていくことを示したかったとしている。また、ストーリーテラーのマイクが作家になるのは自然な流れで、ウィルがより大きな街で受け入れられる様子が描かれるなど、各キャラクターがそれぞれの方法で幸せを見つける姿を描きたかったと話している。

ちなみにルーカスとマックスが見ていた映画は『ゴースト』という設定らしく、同作が米国で公開された1990年7月13日以降のシーンであることが分かる。

大人達のその後

ダファー兄弟は『ストレンジャー・シングス』に登場した大人たちのその後についても解説している。ホッパーとジョイスがレストランのエンゾでデートをするシーンはかなり前から構想していたといい、ホッパーとジョイスが人生の新しいチャプターを始められるようにしたかったと意図を明かす。ちなみにホッパーがモントークへ行くのは、『ストレンジャー・シングス』は元々モントークを舞台にする予定であり、その事実を知る熱心なファンへのサービスだったという。

青年組については、スティーブだけがホーキンスに残る決断を下した。マット・ダファーはスティーブのその後についてこう語っている。

私たちにとっては、ごく自然な流れに感じられました。スティーブがホーキンスに残る選択をするのは、いつだって理に適っていると思っていました。彼はまるで、私たちの身近にもいるような、故郷に残って子ども達と関わる仕事に就く人間です。

彼がその分野で非常に優れているということは証明されましたよね。彼が教師やコーチとして働くというアイデアは気に入りました。彼自身には子どもはいませんが、仄めかしていた通り、それも今のうちでしょうね。

ロス・ダファーは、大学を中退したナンシーについては「絶対にありきたりな道を進ませたくなかった」と語る。ナンシーはずっと自立した人物であり、自分自身と世界に対し何を望むのかの答えを探し続けているといい、だからこそジョナサンとは結ばれず、あの結末を与えたかったと話している。

ロビンがスミス・カレッジに進むというのは演じたマヤ・ホークの提案で、ジョナサンがニューヨーク大学で何をしているのかを具体的に考えたいと撮影前日に提案してきたのは演じたチャーリー・ヒートンだったのだとか。長年にわたり演じてきた俳優達の意見も取り入れ、『ストレンジャー・シングス』の“その後”は決められていたのだ。

制作陣、キャスト、そしてファンと共に歩んできた『ストレンジャー・シングス』。その結末には、キャストにもファンにもキャラクター自身にも愛のあるラストが用意されていた。

『ストレンジャー・シングス』はシーズン5までNetflixで独占配信中。

『ストレンジャー・シングス』配信ページ

『ストレンジャー・シングス』シーズン1の裏側の世界を描くコミック『ストレンジャー・シングス:裏側の世界』は長沢光希の翻訳でフェーズシックスより発売中。

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シーズン2とシーズン3の間の話を描く『ストレンジャー・シングス:イブウェンの忘れられし墓』はルビー翔馬ジェームスの翻訳でフェーズシックスより発売中。

Source
Tudum

『ストレンジャー・シングス』シーズン5フィナーレの解説&感想はこちらから。

ダファー兄弟が語ったヘンリーの最期についての意図はこちらから。

『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.2の解説&感想はこちらから。

『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.2 でナンシーとジョナサンの関係がどうなったのか、制作陣が明かした答えはこちらの記事で紹介している。

『ストレンジャー・シングス』シーズン5 Vol.1の解説&感想はこちらから。

シーズン5 Vol.1のヴェクナについて製作陣と俳優が語った内容はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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