実写版『ヒックとドラゴン』の見どころは? 世界的ヒット作で注目すべきポイントを解説 | VG+ (バゴプラ)

実写版『ヒックとドラゴン』の見どころは? 世界的ヒット作で注目すべきポイントを解説

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実写版『ヒックとドラゴン』世界興行収入522億円突破

世界累計興行収入4億9000万ドルを記録し、アカデミー賞2部門(長編アニメーション賞/作曲賞)及びゴールデングローブ賞(最優秀長編アニメーション映画賞)ノミネート、アニー賞10部門受賞したアニメ版『ヒックとドラゴン』(2010)。その後も続編映画やアニメシリーズがつくられ、ドリームワークスの看板作品になった『ヒックとドラゴン』が2025年に実写映画化し、公開される。

監督・脚本はアニメ版『リロ・アンド・スティッチ』(2002)でも監督と脚本を務め、アニメ版「ヒックとドラゴン」三部作でも監督と脚本を務めたディーン・デュボア。さらに主人公の父親ストイックにはアニメ版『ヒックとドラゴン』でも同役を務めたジェラルド・バトラーが続投するなど、アニメファンにも嬉しいキャスティングとなっている。また、映画関係者向けに行われた試写会では、アニメを観たことのない観客も楽しめる作品として高い評価を得た。

実写版『ヒックとドラゴン』は2025年6月13日(金)にアメリカで公開されると初週で8,463万3315ドル(約123億円)を記録、2週目には3,657万7190ドル(約53億円)と首位を独占し続けた。2週目はディズニーピクサーの『星つなぎのエリオ』や人気ゾンビ作品待望の続編の『28年後…』が公開されており、その2作品を抑えて1位に輝くという快挙を成し遂げている。さらにお隣の国、中国でも公開初週に興行収入1位を獲得するという人気っぷりだ。

2025年秋の話題作になること必至な実写版『ヒックとドラゴン』。本記事ではその見どころについて解説していこう。なお、本記事は一切ネタバレなしなので、未視聴の方も安心していただきたい。それどころか、これを読めば、実写版『ヒックとドラゴン』だけではなく、アニメ版「ヒックとドラゴン」三部作も一緒に観たくなるかもしれない。

実写版『ヒックとドラゴン』見どころ解説

ときにシリアスなストーリー

ヴァイキングの少年ヒックとドラゴンのトゥース。敵対する種族同士の友情を描く実写版『ヒックとドラゴン』だが、その道のりは険しい。ヒックの父親で最強のヴァイキングと評されるストイックはドラゴン退治の名人だ。ストイックの友人であり、ドラゴン訓練官兼鍛冶屋のゲップは腕をドラゴンに食いちぎられている。

ドラゴンたちはバーク島を襲撃し、生活の基盤である羊など家畜を連れ去っていく。元々血気盛んなヴァイキングたちは剣や斧でドラゴンに対抗してきた。そのせいか、ヴァイキングたちには四肢が欠損した者も多く、実際に脚を事故で失った俳優が演じるキャラクターも実写版『ヒックとドラゴン』には登場している。

そのような背景があるからこそ、大人たちは容易にはヴァイキングとドラゴンの友情を受け入れられない。予告編でも使われている名シーンだがストイックはトゥースを相棒と呼ぶヒックに対し「(ヴァイキングはドラゴンに)何百人も殺されてきた」と言い、ヒックも「こっちだって何千頭も殺してきただろう」と返す。このようなシリアスなストーリーも作品に深みを与えている。

長年敵対してきた者同士で友情は芽生えるのか。そしてその友情の行方は。そのような単純な友情物語ではないストーリーや台詞、人物の背景がどう描かれるのかも実写版『ヒックとドラゴン』の見どころの一つだろう。そのような深い溝で分断された集団同士でも理解し合えるのではないか。「ヒックとドラゴン」シリーズはそう訴えかけてくる。

映画館でドラゴンライド

「ヒックとドラゴン」シリーズはアニメ版と実写版の両方を通して、映像美とそれによって描かれる青空を縦横無尽に飛び回る爽快感に引き込まれる作品だ。その視聴体験は正しく、ドラゴンに乗って空を飛んでいる感覚と言うにふさわしく、自分がドラゴンライダーになったかのような気分にしてくれる。

ヴァイキングたちの暮らすバーク島は海に囲まれており、海を飛び越え、雲を突き抜け、空を滑り降りるように飛ぶ感覚は作品が進むごとにより素晴らしいものになっていく。そして、もっと空を飛ぶ感覚を体験したい、何度でも味わいたいと思わせてくれる。

アトラクション的な要素も「ヒックとドラゴン」シリーズの見どころの一つであり、実写版『ヒックとドラゴン』ではそれを観客により一層体験してもらうため、IMAXやDolby Cinema、SCREEN X、4DXなど様々な上映方式を取っている。DVDやBlu-rayを待つ人もいるかもしれないが、可能ならばぜひ映画館でドラゴンライドを体験してみてほしい。

緻密なドラゴンの生態設定

「ヒックとドラゴン」シリーズの見どころとして、熱烈なファンの間で挙げられるのがその世界観の緻密さだろう。特にドラゴンの生態では、それが顕著だ。「ヒックとドラゴン」の世界にはドラゴンは存在しても、魔法のようなファンタジーは存在していない。ドラゴンたちは極めて科学的かつ野性的な自然界の生き物として描かれているのだ。

例えばオーロラのような青い体色が美しく、棘を矢のように飛ばすことが出来るのが特徴のデッドリー・デンジャーというドラゴンの炎は白く眩い。これは炎の燃料がマグネシウム100%によるものであり、一直線に吐かれるデッドリー・デンジャーの炎は鉄をも溶かすとされている。

実写版『ヒックとドラゴン』ではマグネシウムの燃焼による発光に適応するため、デッドリー・デンジャーは炎を吐く際に目を保護するための黒い瞬膜を閉じるという演出がなされている。これは『シン・ゴジラ』(2016)でも行なわれた演出だ。このような生物学的なリアリティが観客を「もしかしてドラゴンという生き物は実在するのかも?」という錯覚に陥らせてくれる。

他にも、グルーサム・グロンクルという種類のドラゴンはヘプタンと岩石の混合物を火球として吐くが、岩石という固形物を使っているため、一度に6発までしか吐けない。さらに視力が悪く、聴覚に頼っている部分が大きいため、各所で大きな音を立てられると混乱してしまう。なので、複数人でけたたましく騒ぎ、混乱させて火球切れを待つ作戦が訓練で若いヴァイキングたちに教えられる。

二つの頭を持つダブル・ジップは左の頭が硝酸アンモニアと無水ヒドラジンの可燃ガスを吐き、右の頭がそのガスを着火するので、若いヴァイキングたちは咄嗟に左右どちらの頭に水をかけるべきか判断する訓練を行なう。このようなドラゴンの種類ごとに対策方法が練られているのも、実際の野生動物のようなリアリティを感じさせる「ヒックとドラゴン」シリーズの見どころの一つだ。

このようなドラゴンの生態には原作者のクレシッダ・コーウェルの幼少期の体験が大きく影響していると考えられる。クレシッダ・コーウェルの父親は環境保護主義者で野鳥観察の趣味があり、休日は家族と無人島で過ごした。その際、島に棲息しているドラゴンの話を娘に聞かせ、それが創作の原動力になったと語られている。

クレシッダ・コーウェルは無人島で父親と過ごしていたとき、父親が海で蛇に噛まれたのを目撃し、幼心に「海には本当にドラゴンがいるんだ」と強く感じたという。実際、彼女の父親の腕を噛んだのは蛇ではなくウナギであったが、その思い出が深く心に残ったのか、ドラゴンたちはウナギが苦手という設定が登場している。

豊かなヴァイキングの文化

何も緻密なのはドラゴンの生態だけではない。ドラゴンと敵対しているヴァイキングたちの文化の設定も緻密だ。主人公ヒックは自分の暮らすバーク島を殺風景と評しているが、その建造物はどれも北欧の民俗的な彫り物が施されており美しい。その伝統的な建築物は実写版『ヒックとドラゴン』でもしっかりと描かれ、撮影スタジオには大規模なバーク島の集落のセットが組まれた。

独特なキャラクターの名前も忌み名という文化をもじったものになっている。ヒック曰く、これは赤ん坊がトロールに攫われないように汚い名前を付ける文化で、ヒックはしゃっくり、アスティは錆など奇妙な名前が付けられている。ちなみにドラゴンは存在する世界だが、トロールは迷信とされている。また、神に祈るときはイエス・キリストではなくオーディンに祈るなど、キャラクターは北欧神話を信仰している。

ヴァイキング文化の豊かさは建造物や名前だけではなく、登場キャラクターにもあらわれている。実写版『ヒックとドラゴン』では有色人種のヴァイキングが登場している。これはディーン・デュボア監督の「バーク島はドラゴン対策の旗印のもと、世界各国から人々が集まってできた集落」という発想から生まれたものだ。しかし、これはあながち間違いではなく、現実のヴァイキングにも有色人種がいたという説がある。

それを裏付けるように、ヴァイキングの墓にイスラム教の祈りの言葉が刻まれた銀貨が埋葬されていたのが発見され、ヴァイキングがコロンブスよりも先にアメリカ大陸に上陸し、ネイティブ・アメリカンの人々と出会っていた記録も残っている。実写版『ヒックとドラゴン』ではヴァイキングたちの神話を広げ、それによってより豊かなキャラクターたちが描かれているのも見どころだと言えるだろう。

実写版『ヒックとドラゴン』は公開を前にして続編『ヒックとドラゴン2』の制作が決定している。すでに公開されている海外ではその期待を裏切らない高い評価を評価を獲得している作品だ。また、実写版『ヒックとドラゴン2』ではアニメ版からストイック役にジェラルド・バトラーが続投したように、アニメ版『ヒックとドラゴン2』で声優を務めたケイト・ブランシェット、キット・ハリントン、ジャイモン・フンスーが出演することも期待されている。

世界的に高い評価を獲得し、映画の賞レースのノミネートや受賞も期待できる実写版『ヒックとドラゴン』。トゥースの愛らしい姿から「ハリーポッター」シリーズや「ファンタスティックビースト」シリーズなどのファンタジー作品ファンならば、この不思議な生物にハマることは間違いないだろう。実写版『ヒックとドラゴン』の公開を機に、「ヒックとドラゴン」シリーズに足を踏み入れるのも良いかもしれない。

実写版『ヒックとドラゴン』は2025年9月5日(金)より全国劇場公開。

実写版『ヒックとドラゴン』公式サイト

アニメ版「ヒックとドラゴン」三部作はBlu-rayが発売中。

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実写版『ヒックとドラゴン』の主要キャストの紹介はこちらから。

ミュージカルなど実写化の不安を払拭してくれるような舞台版『ヒックとドラゴン』とその評価や演出に関する記事はこちらから。

 

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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