第1話ネタバレ解説&感想『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』新しい東映特撮と新たなヒーロー像を考察 | VG+ (バゴプラ)

第1話ネタバレ解説&感想『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』新しい東映特撮と新たなヒーロー像を考察

©テレビ朝日・東映AG・東映

スーパー戦隊は終わっても、東映ヒーローは止まらない

『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975-1977)から半世紀にわたり続いてきたスーパー戦隊シリーズは『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』(2025-2026)をもって休眠期間に入った。しかし、東映特撮の歩みが止まるわけではない。東映は新たにPROJECT R.E.Dを始動。赤いヒーローたちがクロスオーバーする新シリーズを発表した。

その第1弾が、『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』(2026-)である。本作は『宇宙刑事ギャバン』の精神を踏まえつつ、“ギャバン”という存在を再定義した。かつて個人名だったその名は、各宇宙で一人しか名乗れない“称号”へと変わった。その名は、人々の平和を背負う象徴へとなったのだ。

多元宇宙(コスモレイヤー)にいる多種多様なギャバンたちの活躍を描く『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』。宇宙ごとによって人種も性別もまるで違う“ギャバン”が存在することは、バリエーション違いのギャバンを表現しているだけではない。異なる出自や価値観を背負う“ギャバン”の存在は、かつてのオープニングの歌詞のように「愛ってなんだ」とヒーロー像について問いかけてくる。

東映による新たなヒーロー像の更新、そして世界そのものの拡大の第一歩となる『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第1話「赤いギャバン」について、ネタバレありで解説しつつ感想を記していこう。なお、以下の内容は『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第1話「赤いギャバン」のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第1話「赤いギャバン」の内容に関するネタバレを含みます。

『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第1話「赤いギャバン」ネタバレ解説&考察

PROJECT R.E.D始動と多元宇宙構造

PROJECT R.E.Dのはじまりは宇宙空間での艦隊同士の衝突であった。多元地球に迫りくる無数の宇宙船に立ち向かうのは銀河連邦警察のスペースシップ“コスモギャバリオン”。その上には赤いスーツを蒸着した宇宙刑事“ギャバン・インフィニティ”の姿があった。

敵の狙いは多元地球を“魔空空間”へ引きずり込むことだった。かつてのシリーズで描かれた異空間の概念を、本作は多元宇宙構造(マルチバース)へと拡張している。そのためコスモレイヤーのどこかに、旧シリーズの敵勢力“宇宙犯罪組織マクー”が存在していても不思議ではない。

ギャバンは3人だけではない?広がる称号の考察

もしかすれば、『宇宙刑事ギャバン』で描かれたように、旧作同様、魔空空間に飲み込まれた人類や“ギャバン”が存在する可能性も否定できない。そのような最悪の未来をギャバン・インフィニティは回避することができるのだろうか。

また、この最終防衛ラインまでに敵艦隊が迫ってきている場面では、ギャバン・インフィニティの他、キャストが発表されているギャバン・ブシドーとギャバン・ルミナスが登場している。このことから、ギャバン・インフィニティがコスモレイヤーを繋ぐ存在になることは明らかだ。

劇中には既に発表済みのギャバン・ブシドー、ギャバン・ルミナスに加え、別カラーのギャバンも確認できる。これは三人に留まらないギャバンという“称号”の存在を示唆している。それが過去なのか未来なのかは明示されないが、多元宇宙を繋ぐ存在としてギャバン・インフィニティが配置されているのは明らかだ。

21世紀の宇宙刑事とは何か

人類の科学は発展し、地球には多くの宇宙人が来訪。それにより、多種多様な種族が暮らすようになった地球。しかし、それに伴い、悪意ある宇宙人による犯罪も増加したことで銀河連邦警察が犯罪の抑止のために地球を守っていた。

本作の鍵を握るのが感情によって活性化するエネルギー“エモルギー”だ。善意も悪意も増幅しうるこの力は、多元宇宙崩壊の危険性を孕んでいる。銀河連邦警察はそれを制御すべく、エモルギアを回収している。

この回収の役割を担っていたのが、多元地球Α0073(アルファ マルマル ナナサン)ではギャバン・インフィニティ/弩城怜慈(どきれいじ)である。なお、表向き、弩城怜慈は銀河連邦警察の窓際部署である資料課に所属していることもあってか、他の刑事からは栄光ある“ギャバン”の称号を汚す存在として嘲笑されている。

他の部署の捜査官から“ギャバン”の称号は名誉とされているため、多元地球Α0073でかつてギャバンの称号を持つ宇宙刑事が活躍した可能性が高い。弩城怜慈は他の多元宇宙を救いに行く際、喪った先輩刑事のことを思い出しているので、もしかすれば彼こそが先代の“ギャバン”なのかもしれない。

多元地球Λ8018(ラムダ ハチマル ヒトハチ)

弩城怜慈がネガティブ波動を感知して向かったコスモレイヤーの一つ、Λ8018はギャバン・ブシドー/哀哭院刹那(あいこくいんせつな)がいる多元地球である。ここで、ギャバンがいても、すべてのコスモレイヤーがエモルギアに対抗できるわけではないことが解説される。

Λ8018では、搾取と隷属を強いた政府に対抗する組織によるテロ活動が発生しており、銀河連邦警察との衝突していた。注目すべきは、弩城が葛見仁志の主張そのものは否定していない点だ。彼が問題視したのは“声の上げ方”であり、感情の押し付けだった。

ギャバン・インフィニティは怒りのエモルギー“ゲキドー”で蒸着するギャバンだ。怒りの感情をもとにしつつも、その怒りを犯人には向けず、罪に向ける。これは「罪を憎んで人を憎まず」を体現したヒーロー像だ。また、変身時に蒸着のプロセスを解説するのが『宇宙刑事ギャバン』の頃の懐かしさを感じさせる。

怒りそのものは否定されない。問題は、その向け先だ。弩城怜慈は“人”ではなく“罪”に怒りを向ける。それこそが、本作が掲げる“宇宙刑事”の在り方である。罪なき人を巻き込んでしまっては、どんなに素晴らしい思想を掲げていても、暴力として一蹴されてしまう。『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第1話「赤いギャバン」では、現代ならではの犯罪との向き合い方をしていると考察できる。

『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第1話「赤いギャバン」ネタバレ感想

スーパー戦隊休眠後の東映特撮はどこへ向かうのか

「スーパー戦隊の跡を継ぐ新たな東映特撮ヒーローとはどのような存在なのか」。多くの特撮ファンをはじめ、幼少期にスーパー戦隊を観てきた人々の期待と不安を一身に背負った『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』。

その第1話は迫力ある宇宙での艦隊同士の衝突からはじまった。スーパー戦隊のロボと怪人同士のバトルを彷彿とさせつつ、「スターウォーズ」シリーズを思わせる三次元的な戦闘が冒頭から視聴者を作品世界に引き込んだ。

第1話「赤いギャバン」で監督・アクション監督を務めたのは『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001)から多くのスーパー戦隊レッドのスーツアクターを務めた福沢博文。それもあってか、派手なアクションや火薬の爆破など、見応えのある演出となっていた。

そして、宇宙人を侵略者ではなく良き隣人として描いた点も興味深い。多文化共生社会における“犯罪”というテーマは、「宇宙刑事」シリーズを現代社会に合わせて更新している。

宇宙”刑事”ギャバンとしての正義とは何か

ギャバン・インフィニティ/弩城怜慈は、反政府組織トップの葛見仁志の「政府指導者が搾取と隷属を強いているので反抗する」という姿勢そのものは否定していない。どちらかと言えば、自分の妹を傷つけてしまっていることに気づかないところに対して怒りを見せている。

おそらく、ギャバン・インフィニティが蒸着に用いる怒りのエモルギアの怒りとは、罪を憎んで人を憎まずに基づく犯罪そのものへの怒りなのだろう。これは刑事という職業が抱える“職業的な怒り”に近い。

それに対して、Λ8018のギャバンであるギャバン・ブシドーは哀しみのエモルギアで変身する。これはおそらく被害者への哀しみや、罪を犯してしまった人々への哀しみが源になると考察できる。これらは公開前のインタビューで語っていた刑事っぽさを突き詰めた結果の設定ではないだろうか。

新たな東映特撮の幕開けとして、宇宙っぽさを突き詰めたクオリティの高いCGによる艦隊同士の衝突と、刑事っぽさを突き詰めた感情の昂りを描いた『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』。福沢博文監督によるアクションや爆破も特撮ファンとしては満足のいく仕上がりだった。

『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第2話「二つの刃」では、哀しみの宇宙刑事、ギャバン・ブシドー/哀哭院刹那の物語が描かれる。Λ8018は過去に大戦があり、戦争用の人工生命体が生み出されたコスモレイヤーだ。戦争の爪痕が残るコスモレイヤーで、宇宙刑事は何と向き合うのか。本作が描こうとする“感情と正義”の物語は、ここから本格的に動き出す。

『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』第1話「赤いギャバン」は2026年2月15日(日)9:30より放送開始。

『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』公式サイト

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鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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