『呪術廻戦』第3期3話/50話はどうなった?
芥見下々の同名漫画を原作にしたアニメ『呪術廻戦』は2020年に放送を開始し、2026年1月8日より、第3期となる「死滅回游 前編」がスタート。シリーズのクライマックスへ向けて物語が再び動き出している。
今回は、『呪術廻戦』第3期、死滅回游編の第3話(通算第50話)をネタバレありで解説しつつ感想を記していこう。なお、以下の内容はアニメ『呪術廻戦』第3期3話/通算50話のネタバレを含むが、アニメでまだ扱われていない範囲の原作漫画のネタバレは行わない。アニメの方を視聴してから読んでいただきたい。
以下の内容は、アニメ『呪術廻戦』第3期3話/50話の内容に関するネタバレを含みます。
アニメ『呪術廻戦』第3期3話/50話ネタバレ解説&感想
「加茂憲倫」の正体
アニメ『呪術廻戦』第3期死滅回游編の第2話では、ラストで天元がついに登場。円柱状の頭に目が四つという姿を見せた。第3話/50話「死滅回游について」の冒頭では、天元は九十九由基に対して「君は初対面じゃないだろう」と発言しており、二人は以前にも接触していたことが示唆されている。
そして天元は、「加茂憲倫」とされていた敵の名前が「羂索(けんじゃく)」であることを明かす。加茂憲倫、虎杖香織(虎杖悠仁の母)、夏油傑の身体を乗っ取り、数百年に渡り謀略を進めてきたのは羂索という名の術師だったのだ。
なお、「羂索(けんさく/けんじゃく)」というのは仏教用語で仏が持っている投げ縄のような道具のこと。この場面で九十九が触れている通り、仏教には「羂索とは慈悲の索なり」という教えがあり、羂索は仏が迷える人々を救うためのものとされている。
さらに天元は、『呪術廻戦』懐玉・玉折編で描かれた12年前の星漿体・天内理子の同化失敗後、老化が加速したと明かしている。天元は存在を維持するために、同化する素質を持つ“星漿体”と同化する必要があったが、金で雇われた伏黒甚爾によって阻止されていた。
ちなみにその後、懐玉・玉節編の終盤に、別の星漿体が現れたらしいと夏油に告げたのは九十九だったが、実際には別の星漿体は存在していなかったということらしい。確かに当時の九十九は、天元が引き続き安定していることから、新しい星漿体が現れたと推察したという口ぶりだった。
一方で天元は結果として「天地そのものが私の自我となった」と語っており、天地と同化して自我が消えて安定が保たれていることを示唆している。しかし、九十九がかつて夏油に理子以外にも別の星漿体がいたのだろうと示唆したことは、ではなぜ理子は殺されねばならなかったのかという“絶望”を夏油に与えたとも考えられる。なかなか、うまくいかんね……。
因果を破壊した存在
天元は、羂索の狙いが「人類と天元の同化」にあると指摘する。日本全土の人々の進化を強制する実験を試みる羂索は、自我が天地そのものとなった天元と日本の人間を同化することで人類を次の領域に押し進めるつもりらしい。
つまり、死滅回游は『エヴァンゲリオン』の「人類補完計画」のようなもので、個体の集まりであった人類を、一つの存在へと進化させる計画なのだ。この“人類の同化”というテーマは『シン・仮面ライダー』の「ハビタット計画」など、様々な作品で扱われるようになったが、天元が「個としての境界がなくなれば悪意の伝播は一瞬」と語っている通り、近年のネット社会の定着も影響しているのかもしれない。
自我が天地そのものとなるまで進化を遂げた天元は、今や呪霊に近い存在であり、故に羂索が乗っ取った夏油の術式である呪霊操術の術式対象となってしまっていた。天元といえど羂索から身を隠す必要があり、ここでは2人は護衛として残ってもらうと一行に告げている。
天元によると、「天元」「星漿体」「六眼」の三つは全て因果で繋がっているという。数百年以上に渡りこの計画の遂行を狙っていた羂索だったが、過去に二度、六眼の持ち主に阻止されていた。二度目は羂索も万全を期して生まれたばかりの六眼と星漿体を殺したが、天元の同化の日に六眼と星漿体が現れたという。
つまり、天元と星漿体の同化が阻止されれば、天元が「天地そのもの」となり、人類と天元を同化させる計画を進めることができるが、いつの世でも六眼の持ち主がそれを阻止してきたということだろう。故に三度目の正直に挑む羂索は今回、六眼の抹殺というプロセスを「封印」に切り替え、五条悟の獄門疆への封印を実現したのだ。いかに五条悟が“最強”であるかを示すエピソードでもある。
だがその呪術界の因果を破壊する者が現れた。呪力を全く持たない伏黒甚爾である。甚爾は呪力を持たないが故に結界が張られた呪術高専と薨星宮への侵入に成功し、六眼を持つ五条悟の打倒と星漿体である天内理子の殺害に成功。同化は阻止され、羂索を苦しめてきた因果は突如として崩れ去ったのだ。
九十九は12年前、呪力を持たない伏黒甚爾の存在が人類を呪いから解放するきっかけになるかもしれないと考えていたが、もう一つの解決策は全人類が術師になることだった。羂索が仕掛ける人類と天元の同化は後者に近く、故に天元は九十九が羂索に同調している可能性を警戒して薨星宮を閉じていたのだと考えられる。
さらには呪霊操術を持つ夏油傑が同じ時代にいたことで、羂索は進化した天元を取り込む術も手に入れた。獄門疆も手に入れて全てのピースが揃ったところで、渋谷事変を起こし、夏油との思い出を利用して五条悟を封印。天元と人間の同化を行う“地慣らし”として、死滅回游をスタートさせたのだった。
死滅回游の終わりと五条悟の解放
羂索が始めた死滅回游だが、巨大な儀式を成立させるために羂索自身も縛りを結んでおり、羂索は儀式のゲームマスターになっていないという。しかしそれは、羂索が死んだとしても死滅回游は終わらないという意味でもある。
この辺りの理解が死滅回游の難しいところだ。羂索はあくまで、結界内での大規模な「呪い合い」を行わせることで呪力を活性化させ、結界の間に生じる境界にいる人間を天元との同化に備えさせるために死滅回游を始めたに過ぎない。死滅回游の終了条件は端から設定されていないのだ。
だから、虎杖悠仁たちは五条悟の封印解除と共に、「100得点を消費してルールを追加できる」という条件を活用し、死滅回游からの離脱を認めるルールを追加することを目指す。ゲームチェンジャーになり得る圧倒的戦力の復活を狙いつつ、ゲームにも参加してマシなルールを作っていく作戦だ。
天元の護衛は九十九と脹相が担うことに。「僕はもう皆と離れたくない」という乙骨憂太の言葉は、国外にいた寂しさというより、五条先生に後輩たちを託された特級術師としての責任感から出た言葉だろう。
天元は五条悟の解放に必要な獄門疆「裏」を授けるが、加えて術式を解除できる「天逆鉾(あまのさかほこ)」または「黒縄(こくじょう)」が封印解除には必要だと話す。天逆鉾は甚爾が使っていた武器で、五条悟の無下限呪術を解除して五条を倒すことに成功した。黒縄は『呪術廻戦0』の百鬼夜行でミゲルが使用していた呪具で、五条に傷を負わせることに成功している。
共に五条悟によって封印されたか破壊されているといい、準備周到ではあるが、今回はそれが裏目に出てしまった。また、乙骨はミゲルとアフリカにいた理由について、残りの黒縄を探しに行っていたと明かしている。おそらく五条悟の指示だと思われるが、その目的は破壊だったのだろう。
これからの行動
そんな中でも、一つだけ策は残されていた。死滅回游のプレイヤーとして、「天使」を名乗る1000年前の術師がおり、その術式はその術式はあらゆる術式を消滅させるという。つまり、呪具ではなく術式によって獄門疆「裏」の術式を解除することを目指すのだ。
「天使」は東京の東側の結界にいるとされているが、この説明の時に北海道だけは巨大な霊場としてすでに慣らしが済んでいることに触れられる。これについて九十九は「呪術連の結界」と表現しているが、『呪術廻戦0』では夏油の百鬼夜行計画が明らかになると、呪術高専東京校の夜蛾学長は「アイヌの呪術連」にも協力を要請するよう指示を出しており、北海道の先住民族であるアイヌの人々の中で独自の呪術連が形成されていることを示唆していた。
やるべきことが固まり、九十九と脹相は天元の護衛、真希は一旦禪院家に向かい五条悟の封印後に呪術高専から回収された呪具を取り戻すことに。ここで天元が名前をあげる「組屋鞣造(くみやじゅうぞう)」は、『呪術廻戦』の第18話、姉妹校交流会編に登場した呪詛師で、人体を用いて呪具を作っていた人物だ。真希は禪院家に向かう前に、天元から組屋鞣造のアトリエの場所を教えてもらい、呪具を調達するつもりのようだ。
乙骨は情報収集のため先に死滅回游に参加、恵と虎杖は「金次」という停学中の高専3年生をリクルートしに行くことに。「ノッてる時は」という留保付きだが、乙骨が「僕より強い」と表現すると、真希が「それはない」と口を挟むのが印象的だ。真希は乙骨憂太の実力を高く評価しているのである。もう一組のペア、虎杖と脹相のやり取りも微笑ましい。
そして、アニメ『呪術廻戦』第3期 死滅回游編3話/50話では、お笑い芸人の髙羽が登場。先輩芸人の「ケン」は、ケンドーコバヤシをモデルにした人物だっ、アニメ化にあたってケンドーコバヤシ本人が声優を担当している。
ケンは、売れ続ける人間として、「ずっとおもろい奴」と「ずっと自分のことおもろいと勘違いできる奴」の二種類に分かれると話す。そして、髙羽史彦が死滅回游のプレイヤーであることが明かされ、“お笑い”と髙羽の術式に関連があることが示唆されている。
『呪術廻戦』第3期3話/通算50話は、想定外に潔く第3期1話&2話で省略された死滅回游のルールを視覚的に説明することに費やされていた。ここから五条悟の封印と死滅回游の開幕が世界をどう動かしていくのか、引き続き注目しよう。
アニメ『呪術廻戦』第3期は2026年1月8日(木) より、毎週木曜深夜00:26~、MBS/TBS 系列全国28局にて放送。配信先は公式サイトで。
『呪術廻戦』第3期3話の続きは原作漫画の17巻途中から描かれる。
『呪術廻戦』公式ファンブックは発売中。
岩崎優次が『呪術廻戦』のその後を描いたスピンオフ『呪術廻戦≡(モジュロ)』はコミック第1巻が2026年1月5日より発売中。
漫画『呪術廻戦』最終巻の第30巻は発売中。
アニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」編のBlu-rayは発売中。
アニメ『呪術廻戦』 懐玉・玉折/渋谷事変 公式ガイドブックは発売中。
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『呪術廻戦』第3期1話&2話/48話&49話のネタバレ解説&感想はこちらから。
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