スティーヴン・コスタンスキ監督インタビュー! 『デスストーカー』『フランキー・フリーコ』と日本特撮の関係とは? | VG+ (バゴプラ)

スティーヴン・コスタンスキ監督インタビュー! 『デスストーカー』『フランキー・フリーコ』と日本特撮の関係とは?

© 2025 HANGER 18 DEATHSTALKER MOVIE INC.

スティーヴン・コスタンスキ監督の特撮とアニメ愛に迫るインタビュー

『サイコ・ゴアマン』(2020)や『マンボーグ』(2011)で日本の映画ファンからも注目されているカナダの異才、スティーヴン・コスタンスキ監督。その最新作である『デスストーカー』と『フランキー・フリーコ』が2026年7月3日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開されることが決定した。

カナダの過激映像集団「アストロン6」のメンバーとして『パシフィック・リム』(2013)などに参加してきたスティーヴン・コスタンスキ監督は、日本の特撮作品などへの造詣が深いことでも知られている。本記事ではスティーヴン・コスタンスキ監督にインタビューした。

『デスストーカー』はロジャー・コーマンが製作総指揮を務めた1984年製作『勇者ストーカー』のリブートで、傍若無人な戦士デスストーカーが自分にかけられた呪いを解くため、世界を覆う邪悪と戦うことになるファンタジー。また、『フランキー・フリーコ』は周りから馬鹿にされている仕事人間が、テレビCMに電話したことでクリーチャーたちの騒動に巻き込まれるコメディとなっている。

80年代~90年代のモンスター・パニック映画を思わせる展開と、大量のクリーチャーが登場するなど、特撮愛に溢れる2作品。スティーヴン・コスタンスキ監督は今回どのようなこだわりを持って撮影に挑んだのか、話を伺った。

ファンタジー作品に対する“エネルギー”をどこかで出したいと思っていました

――『デスストーカー』は80年代ソード&ソーサリー映画の空気感を現代に蘇らせた作品だと感じました。なぜ今、この作品をリブートしようと思ったのでしょうか?
※ソード&ソーサリー:ロバート・E・ハワード「英雄コナン」シリーズに代表される冒険者、剣士、魔法使いが神秘的な世界で危険なクエストに挑むファンタジーのサブジャンル

© 2025 HANGER 18 DEATHSTALKER MOVIE INC.

スティーヴン・コスタンスキ監督(以下、コスタンスキ):もともと、自分はレンタルビデオ店で作品を借りて観る世代です。当然、ファンタジー映画も観ていた作品の一つでした。また、ファンタジー作品を映画監督として撮ったことが無かったのも理由の一つですね。

もちろん、ファンタジー作品は観客としても映画監督としても好きなのですが、ゲームでもファンタジー作品も好きで、ファンタジー系のトレーディングカードゲームにもハマっていました。そのようなファンタジー作品に対する“エネルギー”をどこかで出したいと思っていたのが本作の撮影につながりました。また、眠っていたサブジャンルを蘇らせたいという想いも『デスストーカー』を撮った理由の一つです。

――『デスストーカー』では個性的なクリーチャーたちが次々と登場しますが、特にお気に入りのクリーチャーはいますか?

コスタンスキ:一つ目のミイラである“伝説の殺し屋”スカラバスがお気に入りですね。自分はミイラというキャラクターが大好きで、映画全般にもっとミイラが登場すればいいのに、と思っています。スカラバスもそういった理由でミイラにしました。

© 2025 HANGER 18 DEATHSTALKER MOVIE INC.

また、スカラバスの武器である鎖付きの丸ノコはゲーム『モータルコンバット』(1992-)のスコーピオンのオマージュとなっています。『デスストーカー』という作品そのものが『モータルコンバット』の影響を受けていて、その代表例がスカラバスではないか、とも思っています。

ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

――スカラバスの目が機械的に飛び出してくるところは印象的でしたね。

コスタンスキ:クリーチャーのパペットの頭部を変わった形でつくるのが好きなので、スカラバスの目も、そのような形になりました。

© 2025 HANGER 18 DEATHSTALKER MOVIE INC.

――過去作『サイコ・ゴアマン』も含め、コスタンスキ監督は日本の特撮作品から影響を受けていると伺っていますが、『デスストーカー』制作時に特に影響を受けた作品はありますか?

コスタンスキ:『デスストーカー』の物語の構造自体も日本の作品の影響を受けていますね。川尻善昭原作のアニメ『獣兵衛忍風帖』(1993)や小池一夫原作の時代劇「子連れ狼」シリーズの影響が見て取れると思います。

また、クリーチャーに“岩の巨人”のデスペリオンが登場しますが、これは大映特撮映画『大魔神』(1966)をモチーフにしました。子どもの頃から日本の特撮やアニメなどを観てきたので、自分のつくるものすべてに何かしらの形で日本の影響が入り込んでしまっているのです。

角川エンタテインメント

――確かに岩の巨人のデスペリオンの顔が切り替わる場面は『大魔神』の影響を強く感じました。

コスタンスキ:気づいていただいて嬉しいです(笑)。

© 2025 HANGER 18 DEATHSTALKER MOVIE INC.

――1984年版『デスストーカー』ではセクシャルな演出やキャラクター描写も印象的でしたが、今回の作品ではそれよりも、ブリスベインとデスストーカーの関係性や、クリーチャーとのアクションが強調されているように感じました。現代で『デスストーカー』をリブートするにあたって、特に意識したことはありますか?

コスタンスキ:1984年版『デスストーカー』ではクリーチャーと戦う筋骨隆々の主人公と、半裸の女性が半分ずつ描かれているポスターが使用されていました。しかし、実際映画を観てみると、胸を出した女性や薄着の女性はたくさん登場するものの、クリーチャーは全然登場しませんでした。

最初の「デスストーカー」シリーズは4作品あるのですが、クリーチャーとの戦いが少なく、若い頃の自分はずっとクリーチャーとデスストーカーの戦いが観たいと思っていました。なので、自分が撮る『デスストーカー』ではクリーチャーとずっと戦う展開にしようと考えて、撮影に挑みましたね。

映画が成立するかどうかは劇伴の役割が50%以上

――『デスストーカー』や『フランキー・フリーコ』では、80年代ポップカルチャーを感じさせる音楽も印象的でした。音楽面で意識していることや、こだわりはありますか?

コスタンスキ:やっぱり時代性というものを伝えたいと思っていました。そして、スクリーンで起きることを伝えることが、効果的な音楽だと考え、それを目指していました。自分は映画が成立するかどうかは劇伴の役割が50%以上だと思っています。映画を観ていて楽しいと思わせてくれるのは音楽や劇伴ですし、それが良くないと映画の完成度も落ちてしまいます。

『ザ・ヴォイド 変異世界』(2016)以来、カナダ出身の3人組作曲家・音楽プロデューサーチーム「ブリッツ//ベルリン」と一緒に仕事をしており、今回の2作品も手掛けてもらっています。とても良い関係性で、彼らは自分のやりたい映画を理解してくれるのです。自分からは時代性や1984年版『デスストーカー』を参考にしつつ、オリジナル性を出してもらっています。

また、キャラクターのモチーフと劇伴がしっかりつながっているものが好みなので、『デスストーカーⅡ(原題:Deathstalker II)』(1987)のキャラクターのテーマ曲を意識しました。そこから魔術師ドゥーダドや盗賊の少女ブリスベインをモチーフにして、それぞれのテーマ曲をつくってもらいました。最近はそのようなものが減っていると感じて、『デスストーカー』では意識的にお願いしました。

『フランキー・フリーコ』もその姿勢は一緒で、宇宙から来た3人組のそれぞれにテーマ曲となる劇伴がありましたし、ヴィランのマンチ大統領にもテーマ曲の劇伴がありました。一つの映画的言語として、ヴィジュアルだけではなく、音楽も非常に大事であるということを感じてほしいですね。

© 2024 Hangar 18 Freako Movie Inc

――両作品ともに音楽も非常に印象的だったので、それぞれのキャラクターの劇伴も注目ですね。 

コスタンスキ:ブリッツ//ベルリンに伝えておきます(笑)。

――『フランキー・フリーコ』には個性豊かな3人の宇宙人が登場しますが、彼らのデザインのインスピレーションはなんでしょうか?

コスタンスキ:80年代の終わりから90年代の頭にかけて、『グレムリン』(1984)や『グーリーズ』(1985)などで、印象的な小さいクリーチャーが映画界に登場しました。『フランキー・フリーコ』の3人組は彼らのスタイルを踏襲したキャラクターになっています。

色はアナログのテレビ放送でよく見られた赤と緑と青(RGB)をはっきりさせることで区別しやすいものにしています。また、3人はそれぞれ宇宙の別の場所から来ているという裏設定があって、フランキーはコンドール、ボインクはサイボーグ風の腕の良いメカニック、ドッティはカウガールのようなファッションになっています。

また、自分が子どもの頃のアメリカは、土曜日の朝に必ずカートゥーン番組が放送されていました。そこでは「一つの鍋に思いつくアイデアを放り込んでしまえ」といった作品が多かったので、『フランキー・フリーコ』も“クレイジー”と言われるぐらいアイデアが満載であることを感じてほしいと思って撮りました。

© 2024 Hangar 18 Freako Movie Inc

 

CGは本物には勝てない

――CGの発展が著しい現在において、敢えて80~90年代の手触りが残る特撮技術で映画を撮り続ける意味について教えてください。

コスタンスキ:いつかはCGも学ばなければならないかもしれませんが、小さな頃から自らの手でものづくりをするのが大好きだったので、特殊メイクや特撮の道に進むのは自然な流れでした。また、CGは本物には勝てないとも考えています。

 

グリーンバックよりも実際に目の前に実物がある方がスタッフも、キャストも好みますし、“共演相手”が目の前にいる方が演技はしやすいです。撮影監督やカメラマンも実際に目の前に実物があるだけで、照明もうまくつくれます。

自分の作品で誇らしいのは、撮影日がどんなに長く、大変なものになっても、朝集合するときにはみんながワクワクしてくれるところです。アクションやスタントが大変でも、たくさんのクリーチャーたちが今回はどのようなことをするのだろうと、毎日が新しい冒険になります。

『フランキー・フリーコ』では俳優を糊まみれにしたり、『デスストーカー』ではクリーチャーの頭を素手で引きちぎったりするのですが、キャストも、スタッフもこれらを楽しみにして撮影を始めます。映画業界に入るきっかけの多くは、こういった喜びだと思いますし、自分も喜ぶみんなを見るのが幸せです。これはテニスボールを棒の先にくっつけた撮影手法ではなかなか味わえないものだと思います。

(聞き手・構成:鯨ヶ岬勇士)

『デスストーカー』と『フランキー・フリーコ』は2026年7月3日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開。

『デスストーカー』公式サイト

『フランキー・フリーコ』公式サイト

『フランキー・フリーコ』は、ユニークなパペットをふんだんに使用し、漫画から飛び出したかのようなビジュアルを実現。コスタンスキ監督ならではの世界観が炸裂するモンスター・フリーキー・コメディとなっている。キャストには、〈アストロン6〉のメンバーでもあるコナー・スウィーニー、アダム・ブルックスらが参加。

『デスストーカー』は、ロジャー・コーマンが製作総指揮を務めたことでも知られる1984年製作のカルト的名作『勇者ストーカー』(原題:Deathstalker)を原作としたリブート作品。剣と魔法の世界観を、コスタンスキ作品に通底する、コメディとダークネスが交錯する悪夢的ホラー&ゴアセンスを存分に発揮させ再構築。主人公デスストーカーを演じるのは、『マトリックス リローデッド』(03)、『ジョン・ウィック』(14)などで知られるダニエル・バーンハード。製作と音楽には、ロックバンド「ガンズ・アンド・ローゼズ」のギタリスト・スラッシュが参加している。

【あらすじ】
●フランキー・フリーコ
仕事中毒のコナーは、あるジレンマを抱えている。上司にも同僚にも、そして妻にも尊敬されていないのだ。ある夜、怪しげな深夜番組で流れたCM――フランキー・フリーコ主催のパーティーの広告を目にし、思わず電話をかけてしまう。すると、ゴブリンの姿をしたクリーチャー、フランキーとやっかいな仲間たちが襲来し、彼の家はめちゃくちゃに。フランキーたち、そして暴れまわるモンスターたちを止めようと奮闘するコナー。しかしその騒動は、思いがけず彼自身を見つめ直す“自分探し”の旅へとつながっていく。

 

●デスストーカー
剣と魔法が支配する混沌の世界。アブラクシオン王国は、突如現れた真紅の騎士集団ドレッドナイトの襲撃に苦しみ、衰退の一途をたどっていた。人々の間では、この戦乱が古代の魔術師ネクロメムノン復活の前兆ではないかという不穏な噂が広がっていく。そんな中、戦場を渡り歩く傍若無人な戦士デスストーカーは、呪われたアミュレット(護符)を手にしたことで、ドレッドナイトの刺客に狙われることとなる。自らにかけられた呪いを解き、迫り来る邪悪を退けるため、命がけの旅に出るデスストーカー。やがて彼は、世界の命運を左右する戦いへと導かれていく――

●フランキー・フリーコ
監督・脚本・編集:スティーヴン・コスタンスキ
製作:マイケル・パスト、パシャ・パトリッキ
出演:コナー・スウィーニー、アダム・ブルックス、クリスティ・ワーズワース
2024年|85分|カナダ|原題:FRANKIE FREAKO|5.1ch|ビスタサイズ|G
日本語字幕:平井かおり
配給:クロックワークス
© 2024 Hangar 18 Freako Movie Inc

●デスストーカー
監督・脚本:スティーヴン・コスタンスキ
製作:スラッシュ
出演:ダニエル・バーンハード、クリスティーナ・オルセロ、ポール・レーゼンビー
2025年|103分|アメリカ・カナダ|原題:Deathstalker|5.1ch|ビスタサイズ|PG12
日本語字幕:髙橋彩
配給:クロックワークス
© 2025 HANGER 18 DEATHSTALKER MOVIE INC.

 

『デスストーカー』と『フランキー・フリーコ』の予告編と場面写真の解禁はこちらから。

『デスストーカー』のモザイク満載の本編映像が公開。そして『デスストーカー』と『フランキー・フリーコ』のキャラクターポスターも公開された。詳しくはこちら

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
お問い合わせ

関連記事

  1. 新『スーパーマン』続編の構想あり?ジェームズ・ガン監督の描くDCUとは?

  2. 『ザ・バットマン2』は2026年10月2日米公開 「バットマン・クライム・サーガ」の幕開け

  3. ブラックマンタの兵器は実現可能か『アクアマン/失われた王国』ネタバレ考察

  4. 『モータルコンバット/ネクストラウンド』続編はある? 『モータルコンバット3』とあの人のスピンオフの可能性も