コロナ禍に"SFマスク"で注目を浴びた"中央町戦術工芸" 未踏領域に挑戦する グラフィックデザイン×機械工芸サークルのこれからVG+ (バゴプラ) | VG+ (バゴプラ)

コロナ禍に“SFマスク”で注目を浴びた“中央町戦術工芸” 未踏領域に挑戦する グラフィックデザイン×機械工芸サークルのこれから

コロナ禍で注目を集めた中央町戦術工芸

コロナ禍で世界中が一変しはじめた3月上旬、とある“旬”なツイートが投稿された。

日本中がマスク不足に困窮する中、“中央町戦術工芸”なるチームが発表したのはSF感満載の“装甲マスク”。未来的なデザインを提示したこのマスクは、Twitter上で瞬く間に話題となった。

マスク完成は12月

今回取材に応じてくれた“中央町戦術工芸”のアクセサリーデザインを担当しているg3p氏はこう語る。

確かに、メインモデルのマスクが完成したのが12月だったので、不思議なタイミングでしたね。

驚くべきことに、マスク自体の制作は去年のうちに終わっており、それを活用する時期がたまたま今年の上旬に重なっただけだという。

g3p氏が「もちろん感染症予防の効果はなにもないのですが、通常のマスクの上に装着することはできます。」というように、最初は”コロナ需要”に乗じる気はなかったという。あくまで“中央町戦術工芸”のプロダクトの一つにすぎなかったものが、混迷を極めたコロナ禍の中で「クールな感染症予防」の最前線を担ったといえる。

装甲マスクユニットmk4_gray
マスクは特に人気商品で、売り切れも多く散見される。

中央町戦術工芸とは

Twitterでも人気の”中央町戦術工芸”は、製品のデザインと設計を担当するg3pと、プロモーションや広報を担当するluchiaの二人で運営しているサークルだ。マスクのみならず、多くの商品をオンラインで販売している。

サイバーパンク風のアクセサリーも。画像はIDカード掲示ユニット。

「作品作りにあたって、SFに影響を受けましたか?」と質問すると、g3p氏の返答はこうだった。

ウィリアム・ギブスンニューロマンサー』(1986)、ヤン・ヴァイス『迷宮1000』(1929)、海猫沢めろん『零式』(2007)。

雑然としたストリート感のあるやつがいいですね。逆に企業支配や帝国主義による抑圧も大好物です。

g3p氏の言葉を解釈すれば、“雑然としたSF空間での、企業支配や帝国主義の抑圧”、そしてその中で生まれ、“型押し的”に作られたものが、中央町戦術工芸のプロダクトのコンセプトなのだろう。(実際、マスクにも意味深なバーコードや品番のような数字が書かれている。)

グラフィック×機械工芸の今後の展望

g3p氏はこうも語る。

中央町戦術工芸は、いまだ人類が言語化できていないタイプの欲望をショートカットで具現化していく試作ラボです。
これからも未踏の領域で誰もやったことのない事をやっていきたいですね。
そうすると結果的に「SF」とカテゴライズされている領域と重なることも多いんだと思います。

ジョージ・オーウェルの『1984』(1949)の世界が、実際に実在していたなら生まれていたであろうID掲示ユニットなどのアクセサリーや、そのうちの一つにすぎなかったマスクが、今回のコロナ禍の中で、多くの人のマスクへの意識を変えた。

人は自由でありたいと願いながらも、たまにはラベリングされたマスクを装着して気分を高揚させたくなる時もある。もしあなたが今そういう気分なら、“中央町戦術工芸”のプロダクトがぴったりだ。

中央町戦術工芸のtwitterはこちら
プロダクトの購入はBOOTHまたはminneから。

Kanae Iwakawa

1995年生まれ。Kpopアイドルとゲームと本が好き。

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